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「現代的なテーマ」と「旧作の思い出」のバランス
──「約束にこだわる男」古代ですが、「2199」ではクールな性格だったのが「2202」では少し熱血ですよね。
羽原 性格自体は2199から引き継いだつもりですが、カメラワークなどの表現方法の違いですかね。
福井 「2199」って「世界」を描こうとしていたと思うんですね。前作では世界観を作り込んでいって、その世界観に浸って楽しむという描き方が大きかった。でも、一般層に向けた映画って、やっぱりお客さんは「誰が何をやったか」に興味が向くんですよ。なので、今回は人間を描こうと。より普通の人が見やすい感じにしようと考えていくと、基本的に「古代進という男の物語」をきちんとやろうということで。それは、前とは明らかに違うところだと思いますね。
羽原 古代はめちゃめちゃ悩んでますしね、気の毒になるほど。やっぱりがんばってほしいと思いますもんね。
福井 今、多くの人が社会に出れば直面するようなことを、1人で片っ端から引き受けている状態です。
――旧作の熱さを引き継ぎつつも、現代的な問題を突破する力にしていこうと。
福井 そうですね。あまり熱すぎると、恋愛関係においては裏目に出ることもあると。そういうことも、また大人への一歩だと思います。
――古代が宇宙の今後に熱心なおかげで、いきなり森雪との恋愛がこじれてますよね。
福井 そうですね、森雪が出ない出ない。
──画面から受ける印象は、旧作の「さらば」「2」のテイストが強いですよね。
羽原 当初の本読み(シナリオ会議)の段階から、「みんなが知っているあの画面」をなるべくおさえていこう、という体でした。たとえ違う流れであっても、この絵が出るおかげで盛り上がるという。
福井 「さらば」のリメイクを見ているんだなという高揚感がありますね。ただ、同じような展開が続くと、逆に退屈しちゃうわけですよ。だったら前のを見るよって話なので。新しい部分と、旧作に戻す部分のバランスは、わりと腐心していますね。
――現代的世相や新ギミックと、旧作の思い出が波を作るように構成していると。
羽原 新しいところに興味がいってふと戻り、また新しいところに行くという流れですかね。そこは本当に、脚本段階から計算されてできている感じなので。
――さまざまな要素を盛り込むということで、脚本作りは大変だったのでは?
福井 ああじゃないかこうじゃないかと意見は出し合ったんですが、すごく悩んだことは今回なかったですね。「どう終わらせたらいいんだろう」というのはなくて、おのずと「こうかな」と見えてきた気がします。それはこのタイトルを付けた段階で方向性は最初から決まっていたところがあって。再び「愛」をテーマに掲げて、新聞やニュースで「自爆テロ」という言葉を頻繁に見かけるこの時代に、言ってみれば「最後は特攻で終わっちゃう話」を現代的に解体するのは、ある意味で狭い一直線の道だったかもしれないです。いろんな選択肢があるわけではなく、その一直線のゴールを一撃で撃ち抜く作業をやったという。大変は大変だったけど、迷いはそんなになかったです。