「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章」上映記念インタビュー第4回!「2202」が描くテーマとは? 羽原信義監督×福井晴敏インタビュー【後編】

2017年07月04日 10:430

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新生アンドロメダが象徴する「約束を守らない社会」

 

――「さらば」の代名詞のひとつである戦艦アンドロメダが、第一章から活躍してますね。今回は拡散波動砲も強くて、存在感もあります。

 

福井 原作のアンドロメダって「残念な二枚目」だったじゃないですか。今回はちゃんと、カッコよく見せてやろうと。

 

――登場シーンでも威圧感があり、悪のオーラが出ていましたね。

 

福井 それも「波動砲が禁じられたものだ」という設定があってくれたおかげなんです。それで波動砲を2つも積んだ艦を使うということは、悪役にする以外ないってところです。前は見かけ倒しのライバルみたいでしたが、今回は拡散波動砲の強さをきちんと見せ、浮遊大陸ごと大艦隊を消滅させたりして、怖いものだと前面に出しつつ。

 

――拡散波動砲が大艦隊を包み込んで蒸し焼きにするビジュアルは、正義の姿じゃないですよね。

 

羽原 よく福井さんも言われますけど、波動砲1個でもだめなのに2個も積んでるっていうのを見せたことで、南部(康雄)が(アンドロメダに対して)「バッキャロー」という叫びが、今後どうなっていくのかわからない世界に対しての「バッキャロー」につながる感じが出た。波動砲が封印されていたおかげってところですね。

 

――ヤマトがイスカンダルと結んだ条約を破って、波動砲艦隊構想を推進してしまったという。

 

福井 あれは「約束」であって条約じゃないというのが、地球側の言い抜けですね。でも人にとっては、条約より約束のほうが大事だろうと。そこにこだわり続けているのが、古代進という男なんです。俺たちも、約束を守らない社会に生きているじゃないですか。人間としての約束よりも、経済の都合が優先されることを経験していかざるを得なくなって、それは年々ひどくなっている感じがする。俺達が子供の頃の大人も、時には自分たちの信念を裏切らなきゃいけない局面に立たされていたかなとも、今は想像もしてなかった未来を生きちゃってる部分もあると思うんです。そういう意味では、いい材料が揃っていましたよ。

 

羽原 時代に合っていましたね、今やる意義がとてもあると思います。

 

――そういうテーマをアンドロメダが背負ういっぽうで、第一章でヤマトが浮上しなくてビックリしました。

 

羽原 ポスターでもザバーンと登場してますからね。

 

――でも、主砲だけでガトランティスの大戦艦を撃沈していて、メチャクチャ強くなってますよね。

 

福井 アンドロメダがあれだけ撃ち込んでも平気だった大戦艦が、ヤマトが一発主砲を撃ったら沈んじゃったと。でも、このことに文句を言った人は誰一人いない。だって「ヤマトだからそうでしょう」と。その時点で、みなさんには「ヤマト」ならではのリアリズムがあるんですね。なんだか知らないけどとにかく最強という。そこはちゃんと守っていかなきゃなと。

 

――そこが「ヤマト」の美学であると。きっと真田さんがとんでもないパワーアップ改造をしたんでしょうね。

 

羽原 個人的には、改装途中のヤマトをどうしても動かしたかったというのがあって、それでああいう登場に落ち着きました。

 

──そして第二章のクライマックスでは、ヤマトとアンドロメダが対決しています。

 

羽原 実際に激突してますからね。当初からすれ違うだけじゃだめじゃんみたいな話があって。

 

福井 艦なんだから、とりあえず撃たないとだめだが、撃って当たっちゃったらしゃれにならないだろうと。でも威嚇射撃だけでは盛り上がらない。そこで、ちょうどまだ使ってなかったアステロイドリング(細かな岩盤群を回転させて防御と攻撃とする)を使うことにしました(旧作で出てきた本設定が「2199」では未使用だった)。

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