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作劇上どうしても必要なセリフこそ、難しい
── 「RWBY」の主人公たちは10代なので、「ガン無視OK」「超絶いい」「~っぽさ全開」など、若者同士のセリフが生々しくて面白いんですよね。 瀬尾 今風の作品なので、ちょっとやりすぎなぐらい若者言葉を突っ込んでいます。もし現場で何か言われたら直せばいいかな……という気持ちで、ちょっとチャレンジしてみました。「こんなセリフで大丈夫なのかな?」と思って書いたら、直されていなかっただけなんです(笑)。とにかく、初稿では自分の思ったままにセリフを書くようにしています。
── 「~だし」「~みたいな」といった語尾も、いい雰囲気を出してますね。 瀬尾 VOLUME 2~3の前半までは楽しいシーンが続くので、意識して明るく弾んだ会話にしています。普段は実写ドラマの仕事が多いのですが、そちらでも若者言葉は割と多く使います。ディレクターさんによってはカットされてしまうこともありますが、「RWBY」の音響演出の打越領一さんはご理解くださって、とてもありがたく感じています。
── 「RWBY」が特殊なんでしょうか? 瀬尾 特殊というか、意識して積極的に若者言葉を使った作品が「RWBY」なんです。福原愛ちゃんがオリンピックのインタビューで「鬼強い」と言っていたので、「これは使える!」と思って入れてみたり……ただ流行り言葉なので、賞味期限が心配ですけど。
── 今後10年ぐらいは大丈夫でしょう。訳していて難しかったところはありますか? 瀬尾 VOLUME 1の最後のエピソードで、ルビーとペニーが「お友だちさん」という言葉を使うところで、とても悩みました。ルビーがペニーに告げる“Take care, friend !”は英語特有の言い回しで、本来なら単に「じゃあね」と訳すべきところです。“friend”は訳さないほうが自然なんです。だけど、それだとペニーの「お友だちさんって言いました」というセリフにつながらないので、ルビーにも「お友だちさん、バイバイ」と言わせる必要がありました。ちょっと白々しいので、視聴者の方が現実に引き戻されてしまうんじゃないかと、今でも悩んでいます。
── 「お友だちさん」と訳すか訳さないかが、難しいわけですね。 瀬尾 見ていただければわかりますが、ペニーは孤独だけど愛らしいキャラクターです。彼女のキャラクターづけやVOLUME 2以降の展開にも関わってきますから、どうしても「お友だちさん」という言葉は残したかった。だけど、日本語としては不自然かもしれない……そういうセリフが、いちばん難しいですね。
── ほかに、工夫したところというと? 瀬尾 ヤン役の小清水亜美さんの演技が、とても男らしくてかっこよかったので、VOLUME 2以降のヤンが怒ったシーンなどは、粗雑なぐらい男っぽいセリフにしています。また、VOLUME 3ではオズピン学長が“四季の女神”についての神話を語ります。長いセリフになるので、普段の会話とまったく違う言葉づかいにして雰囲気を変えています。