ホビー業界インサイド第24回:シタデルカラーは、本当に魔法の塗料なのか? 高久裕輝(マックスファクトリー)が塗って語る、シタデルカラーの模型的活用法

2017年06月24日 12:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

「BASE」「DRY」「SHADE」、……それぞれの使い分けを知る


── シタデルカラーについて、聞かせてください。

高久 シタデルカラーは、GWのミニチュア用に開発された塗料です。GWのミニチュアの完成見本では、黒いところにマグマのように光った色が見えているとか、白い羽に細くて黒い骨が走っているとか、黒と金が隣り合わせているとか、僕たちモデラーが「どうやって塗ろうか?」と悩んでしまう個所が、多く見られます。明度の異なる色をはっきりと塗り分けするのに、僕らは面倒なマスキングするか、下地をおかさないように超人的なテクニックで筆塗りをするか、どちらかしか選択肢がありませんでしたよね。

── 下地をラッカーで塗って、ラッカーの下地をおかさないエナメルやアクリルでていねいに塗り分けるなど、知識と技術が求められましたね。

高久 ええ。シタデルカラーは水性塗料なんですけど、僕らはプラモデル用の水性塗料を見くびっていたような気がします。水性塗料は乾燥が遅くて塗膜も弱い……しかし、他社の水性塗料も品質が向上していますよね。まず、シタデルカラーは隠ぺい力が非常に高い。「BASE」と表記してあるカラーは、いちばん下に塗る種類です。
まず、フタを閉めたまま振ります。そしてフタを開くと、裏にベロが付いているので、そこから適切な量の塗料を筆にとることができます。ちょっと塗料の粘度が高いと感じたら、紙パレットの上で調整します。水道水を1滴加えるだけで、十分です。ここでは黄色い塗料を青いパーツの上に塗りますが、今までの塗料だったら、ここまで発色しないと思います。


── 黄色の塗料は、下地に白を塗るのが常識でしたからね。

高久 シタデルカラーでは、その必要はありません。水性ですから、机にこぼしたら水をふくませたペーパータオルで拭けば大丈夫です。シンナー臭さがありませんから、長時間作業しても疲れないところも利点ですね。
次に、「BASE」のゴールドを塗ってみましょう。防具のフチなど細い突起に塗ると、はみ出してしまいますよね。だけど、気にせずに乾燥を待ちます。シタデルカラーは乾燥したら、その上からシタデルカラーを塗っても、下に塗った塗料は溶け出しません。だから、はみ出した側の色で修正すれば問題ないわけです。

── 「BASE」カラー以外には、どういう種類があるのですか?

高久 まず、「DRY」。ドライブラシに最適な濃度の高い塗料が入っていますから、使う量が少なくてすみます。色数も多いので、何色でドライブラシしたらいいのか迷う人でも安心です。「SHADE」はスミ入れ専用で、あらかじめ流動性が高い塗料が入っており、ビンが大きいのでコストパフォーマンスも高いです。「GRAZE」という透過性のある塗料、「SPECIAL EFFECT」という血液やサビ色の塗料もあります。エアブラシで塗りたい人には「AIR」という、吹きつけ専用のものも出ています。200色も出ていますから、混色しなくても、きっと欲しい色が見つかると思います。
シタデルカラーは万能のようですが、大きな戦車のプラモデルをシタデルカラーでぜんぶ筆塗りするというのは抵抗があるかも知れません。でもプラモデルに使うなら、お勧めしたいポイントがあります。

画像一覧

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連記事