No.11 食べられそうで食べられない人面パンのキーホルダー 300円 バカねプロダクション
群雄割拠のカプセルトイ戦国時代において、これほどまで謎めいたガチャメーカーは見たことありません。
本商品を発売している「バカねプロダクション」ですが、カプセルに入ってるミニブックはもちろん、台紙にも連絡先が書かれていません。ネットで検索をかけても、公式情報はまったくヒットせず、その全容は一切が不明。集まった情報は2016年11月頃に発売され、SNSで徐々に話題を集め、今もなお買った人による写真だけが拡散され続けているということくらい。
まるで演歌のように口コミで広まっているガチャなのです。メーカーについて詳しく知ってる方がいたら、ぜひ教えてチョーダイ!
そんな本商品は、「次はオレ達のことを食べてくれないか?」と、ずいぶんと男らしいキャッチコピーが躍る人面パンのキーホルダー! 「アンパンマン」のようなものか? と思いきや、出てきたものはパンの表面にリアルな人面がついているというなんともキモイ商品。その表情はリアル過ぎて、まるで生きているようです。「この商品は食べ物ではありません」という注意書きに、内心「食うかっ!」ってツッコミを入れつつ、恐る恐る手に取ってみると……、ずっしりとした重さにびっくり。造形にも一切の妥協が感じられません。
何だ! このこだわりは……。そんな製作者の真剣さを感じながら、全4種類を紹介しましょう。
まずは鼻の周りに白ごまを散りばめたアンパン。君は高級アンパン? とても凛々しい表情で、何か言いたげです。じっと見てると、本当にしゃべりかけてくるんじゃないか思うほど。白ゴマがニキビにも見えなくもないような。大人になり切れない、思春期のもどかしさが表情からにじみ出ているかのようです。
次はカレーパン。いるいる、こんな上司! 表情筋がリアルで、「いいんだ~俺なんかっ」、なんて具合にいじけているの? 勝手にアフレコして楽しもう!
お次は、自信なさげな色白の食パン。できれば目立ちたくない、事なかれ主義の性格をうまく表現してますね。パンの耳も彩色が抜群です。
そして最後は「あんぱん・欠け」。思わず笑っちゃいます。ひと口食べられ、「お前……、食べたなっ!」とすごみある声で迫ってきそうなパンの表情に、こちらが罪悪感を抱くほど。なんだこの緊迫感は……! そして、その欠け口から覗くのは、アン! しかも、つぶあん! さらに裏面の素敵な焼き色にもこだわりが感じられます。全てが超リアルです。
キーホルダーは取り外し自由という点にも注目。気が利いています。手に取って眺めていると、ずっとこの世界に浸っていたくなるますね。
いや~、「バカねプロクション」の真面目なおふざけのセンスに脱帽です。このメーカーのことをますます知りたくなります。
……ん? そういう販売戦略なのか? 人面パンのリアルな表情に惹かれ、うまく煙に巻かれる。そして妄想が暴走モードへ。追っては逃げ、逃げては追う。そんな感じで、すっかり「バカねプロダクション」に心が奪われ始めています。
※今回紹介している商品は、現在は販売を終了している場合もあります。
<プロフィール>
ワッキー貝山
フリータレント兼ガチャガチャコレクター(カプセリスト)
7歳からガチャガチャを集めだし、10万個所有。「愛しのインチキガチャガチャーコスモスの全て」「素晴らしきインチキガチャガチャの世界―コスモスよ永遠に」「最終決定版!インチキガチャガチャの真相―コスモス、その愛」(双葉社)「日本懐かしガチャガチャ大全」(辰巳出版)などの関連本を出している。