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レコーディングの日は、朝起きた時から自分を整えるんです
── では新曲中心に、曲順通り聞いていきたいと思います。2曲目の「Eye of the Beholder」も、勢いのある曲ですね。 ナノ アルバムの新曲の中で最初にレコーディングした曲です。デモを聴いた段階で、個人的にどストライクな曲で。音がかっこよくてパワフルなので、歌詞もどちらかと言ったら挑発的な、外向きな歌詞のほうがいいなと思いました。1曲目の「MY LIBERATION」が自分を解き放つ曲だったので、2曲目の「Eye of the Beholder」では、自信を持って、解放した自分を表に出していくということをテーマにしました。
── ”Beauty is in the eye of the beholder.”という英語のことわざがあるんですよね。 ナノ そうなんです。英語詞で書く代わりに、日本人のリスナーさんにもわかりやすいように、Googleとかで調べたらパッと意味が出てきそうなことわざとか格言を中心に、タイトルを付けてみようと。「Beauty is」を取ったのは、美しさだけでなく、苦しさも悲しさも、経験や感情にはすべて、人それぞれの価値があるということが言いたかったからで、それが歌詞のテーマになっています。
── アルバムの新曲では最初のレコーディングということで、気合いが入ったのではないでしょうか? ナノ この曲の勢いに乗って、アルバムを作っていこうということで、自分をしっかり整えてから収録に臨みました。早口だしリズム感が大事な曲なので、難しくはあったんですけど、レコーディングはすごく楽しくて。終わったらすぐに、作曲者の中西航介さんに「いいものが録れたよ」とメールしました。
── 自分を整える方法というのは、具体的にはどんなことをするんですか? ナノ 朝、これからレコーディングする曲を聴くんですけど、その時から役作りをしたりします。この曲は挑発的な一面があるので、朝からちょっと尖った態度を取ってみたりして、若干、家族に迷惑をかけたかもしれないです(笑)。
── スタジオに入ってからではなく、朝起きた時から曲に気持ちを合わせていくというのが、ナノさんの方法なんですね。次の3曲目は「Nameless Nemesis」。「名前のない敵」というような意味ですね。 ナノ 自分が今までで一番苦しんできたことを、詞に書きました。正直に言ったら、自分のコンプレックスをテーマにした曲ですね。コンプレックスというのは、乗り越えるというよりも、それと一緒に生きていくというほうが重要だと思うんです。最初はうまく付き合えなくて苦しくて、自分の内側にある一番の敵というものなんですけど、結局それは消えることがないから、戦いつつも一緒に生きていくという。自分にとってはすごくリアルな思いで、5周年のこの機会に改めてそれに向き合ってみようと。今の自分にとって、必要な曲になりました。
── 「Nameless Nemesis」も中西さんの作曲で、激しい曲調ですね。 ナノ 冒頭の3曲は、勢いのある曲を並べました。まずは強さを打ち出して、そこから、いろいろな曲調に展開していこうと。4曲目の「Hybrid Heart」もアップテンポですが、苦しさのあった「Nameless Nemesis」から解放されるような、広がりのある曲になっています。自分と向かい合ったからこそ得ることができた解放感、自分を受け入れることができた瞬間を描いたのが、「Hybrid Heart」です。
── 自分の中にある二重性、みたいな意味を持つタイトルですね。 ナノ アメリカで生まれ育った日本人である自分というモチーフから歌詞を書き始めた曲ですが、アメリカと日本の違いをテーマにしたわけではなく、どこにいても、その場所にどこかなじめていない自分、真っ二つに分かれた心を書いてみました。
── それでもサウンド感に明るさがあるのは、そんな自分を受け入れることができたということなんですね。 ナノ はい。サウンド的には、懐かしい場所に戻ってきたという思いもありました。作曲のbuzzGは、1stアルバム「nanoir」からの付き合いで、彼の曲は苦しさも表現しつつ、音自体はすごく開放的なんです。そのギャップがすごく好きですし、歌い慣れている感があって、レコーディングは楽しかったです。