映画「BLAME!」公開記念インタビュー! 第3回「見どころは“ナイスな「へい!」”と“すげぇビーム”!?」櫻井孝宏(主人公・霧亥役)×宮野真守(捨造役)インタビュー!

2017年05月19日 17:560

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キャストの「間」まで取り込んだ映像


――「BLAME!」を制作するポリゴン・ピクチュアズでは、画作りよりも先に音声を収録をする「プレスコ」という手法で制作されています。今回の「BLAME!」もプレスコでしたが、実際にできあがった映像を見て、どうでしたか?

 

櫻井 僕ら2人はポリゴン・ピクチュアズさんとのお仕事は何度もあったので、絶対に素晴らしいものを作ってくるというのはわかっていたんですけど、(「BLAME!」の映像は)ポリゴン・ピクチュアズさんの真骨頂という気がしました。「BLAME!」の世界では、排除されようとしている人間が細々と隠れ住んでいて、そこに霧亥という謎の男が何千階層も下からやってくる。“何千階層”っていわれても、僕の想像だとそのスケール感には追いつかない。(できあがった映像を見て)そういった果てしない世界というのが目に飛び込んでくるすごい映像表現だな、と思いました。

 

宮野 (ポリゴン・ピクチュアズ制作の前作)「亜人」の時は会話劇といった要素も強かったので、(演者として)想像しうる部分はキャラクターとの距離感でしたが、今回はSF作品ということで、セリフ数もそんなに多くなく、行間を楽しむといった感じだったんです。明らかにセリフ数よりもト書きのほうが多い台本でしたし(笑)。

 

櫻井 そうだったね(笑)。

 

宮野 だから、どういう映像になるんだろうっていうのは、すごく興味のあるところでした。収録でも、映像がない中で、声優みんなが頑張って映像の共通認識をすり合わせてセリフを録っていった感覚です。実際に映像を見させてもらったら、櫻井さんがおっしゃったスケール感だったり、そのスピード感に圧倒されました。「CGでどれだけ動かしまくるか」という瀬下寛之監督が作る世界観の真骨頂が、ものすごく出ていた気がします。スリリングな冒険から物語が始まって、ワクワクしながら見られました。

それに加えて、「声優さんってすごいな」って(笑)。いや、ものすごいんですよ! 本当にまるで画が見えていたかのような臨場感で、セリフにも何の違和感もなくて……。

 

櫻井 とても画がないような状況で録ったとは思えないよね。

 

宮野 それくらい、スピード感とスリルに圧倒されます。ちゃんとあの世界観の中でキャラクターが生きていて、すごく感動しました! プレスコでああやって作れるのってすごいことなんだって、僕らも改めて感じました。……「俺ら声優って、すごいなー」って(笑)。

 

――プレスコの現場では、どのようなやり取りをして芝居を作っていったんですか?

 

宮野 瀬下監督は、僕ら役者陣が作り出す“間”をできるだけ採用しようとしてくれるんです。僕らは、その間も含めたキャラクターの心情や生きているスピード感をリアルに感じながらお芝居をしていたと思います。おやっさん(CV;山路和弘)と捨造が警戒してるシーンで、「おやっさんの命令に対する捨造の『へい!』って応えるまでの間がすごくいい」って、さっき櫻井さんがポロッと言ってくれて、すごく嬉しかった。すぐに「へい!」って言うんじゃなくて、それが僕らのお芝居の必然的な間だったんです。それをそのまま使って、映像にしてくれてます。

 

櫻井 本当は「油断するんじゃないぞ」(間を置かずに)「へい!」っていうのが、アニメーション的なセオリーなんです。でも、おやっさんと捨造はセーフガードが迫ってくる中、すでにピンチを経験している2人なのでそれを打開できるたくましさがある。だから、「油断するんじゃないぞ」っていうおやっさんの問いに対して、捨造は警戒心を一切解かない空気感の中で「へい!」って応えるんです。ちゃんと意識を前後左右に向けていて油断していない、っていうのがセリフから伝わってきて、その間が格好よくてシビれました。作中でも、その2人のやり取りが1、2を争うくらい好きなシーンなんですよ。あそこだけ巻き戻して、何度も見ますもん。この「へい!」は、今までのアニメ史に残る“ベスト「へい!」”だなって(笑)。

 

宮野 “ベスト「へい!」”(笑)。

 

櫻井 それと、宮野くんもさっき言ってましたけど、ト書きの情報量が多いんです。たとえば、「逃げる」という描写があったら、「どれくらいの距離のイメージで走ろう」とか、その場でキャストたちが必要な情報をやり取りして組み立てていく。時には瀬下監督の「もっとあわててください」とか「ピンチだと思ってください」っていう細かなレクチャーも入ったりして、息を合わせながら。捨造はちょっとリーダーっぽいキャラクターなので、宮野くんがイニシアチブを取りながら作っていくシーンもあって、ピタッと合う場面は見ていてすごくステキだった。霧亥はスタンドアローンというか、ほかのキャラクターと交わるような交わってないようなキャラなので、僕は収録の様子を見て結構楽しんでましたね(笑)。

 

僕と宮野くんはポリゴン・ピクチュアズさんの作品の勝手が多少わかっているので、キャストの間で「こういうふうにやっていこうか」っていう提案ができたんです。なので、プレスコに初めて参加する人たちも、そんなにとまどうみたいなこともなかったと思います。

 

宮野 僕らのほうから、積極的に監督に状況確認をできる感じでしたね。あと、細かいことですけど、プレスコでは映像を後で作るために、基本、セリフがあまり被らないように録るんです。でも、「このシーンは被ってもいいですか?」っていう提案をしてみたり。ダメな時もあれば、「ここは同じような距離感にいるので大丈夫です」っていう場合もあって、そうやってより臨場感が出るやり方を色々提案できました。

 

櫻井 あと、大前提として、キャラクターは食料もない中でひっそり生きてきて、みんな腹ペコでそんなに覇気がない。それを念頭に置いておいてください、という話は瀬下監督からありましたね。

画像一覧

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BLAME!

BLAME!

上映開始日: 2017年5月20日   制作会社: ポリゴン・ピクチュアズ
キャスト: 櫻井孝宏、花澤香菜、雨宮天、山路和弘、宮野真守、洲崎綾、島﨑信長、梶裕貴、豊崎愛生、早見沙織
(C) 弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

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