ホビー業界インサイド第23回:美少女フィギュアか伝統工芸か? 永島信也が彫る“美少女根付”は、どこへ向かう?

2017年05月21日 12:000

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「アキバ系」と言われるのは、むしろ本望?


── 大規模な根付の展覧会(「根付 ~江戸と現代を結ぶ造形~」展)に行ってみたんですが、アニメっぽい作風の人は永島さんだけでした。

永島 そうかも知れません(笑)。根付は、作っている方たちの年齢層が高くて、僕より上の世代というと、10歳ぐらい離れていました。その状況で自分にしか出来ないことを考えると、現代のサブカルチャー的なモチーフが、一番しっくり来るわけです。だけど、今は僕と同世代の根付作家も増えてきてはいます。

── 年上の先輩たちから「こんな美少女フィギュアみたいなのばかり作って」と、怒られたりはしないんですか?

永島 うーん……(笑)。何か思われているかも知れませんが、根付のモチーフは、ジョークやダジャレが多いんです。僕とは別の意味で尖っている作風の方たちは、ほかに大勢いますので、僕が特別なことをやっているとは思われてない気がしますね。根付の世界は意外と自由で、皆さん、自分らしさを保ちながら作っておられます。


── いっそのこと、根付ではなくてフィギュアメーカーに勤めようなどとは考えませんでしたか?

永島 そこまで、フィギュア文化に詳しくないんです。生まれは島根県ですので、そんなにアニメも放送してなかったし(笑)。もちろん、小さい頃に触れていたオモチャやマンガは根底にありますが、どちらかというと、東京に出てきてからフィギュアやアニメに濃い人たちの存在を知りました。自分の視野を広げるために、そういう濃い世界にも足を踏み入れてみた感じです。

── 商業的な、フィギュア原型の仕事が来たらどうしますか?

永島 版元の監修が入って、「元のキャラデザインにしっかり似せて作ってください」「ただし木で彫ってください」というだけのオーダーだけであれば、なにも僕が作る必要はないと思います。ちょっと穴があいていれば根付になるというほど単純なものではないので、根付としてしっかりした物を作れる自信はあります。ですから、特定のキャラクターを根付で作るようなコラボでしたら、ぜひお請けしたいですね。

── 永島さんの作品は展覧会「美少女の美術史」(2014~2015年)でも取り上げられましたよね? そういう目線で見られることに抵抗はないのですか?

ええ。僕は小さいサイズの木彫の作品を作りたいのであって、正確にいうと、根付を作ることが目的ではありません。女の子の形を造形することがメインですから、そこに着目してもらえるのはうれしいですね。美術雑誌で取り上げられるときも「アキバ系」と言われたりするのですが、それが狙いなので本望です。好きなものを作っていたら、たまたま根付の世界にうまくハマった。せっかくハマったのだから、そこに乗っかってみよう……という気持ちなんです。

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