映画「BLAME!」公開記念インタビュー！ 第1回「目指したのは、多くの人に見てもらう作品にすること」原作者・弐瓶勉が語る映画版の魅力とは

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予想よりもかなり上の仕上がりとなった映画版「BLAME!」

――実際にモデリングされたキャラクターを見て、いかがでしたか？

弐瓶　キャラクターデザインの原案を描く時、霧亥の場合、装備品品を全力で描いて、できるだけ付けてみたんです。3Dモデルで作るから、全部を反映してもらうのは無理だろうなと思っていたんですけど……そうしたら、そのまますべてがモデリングされて出てきましたのでびっくりしましたね。ただ、その後、実際に動かす段階になって「サーバーに負荷がかかりすぎてアニメーションが動かなくなってしまうので、要素を減らしてもいいですか？」みたいなことを言われました。これは本当に悪いことをしたなって（苦笑）。

あと、電基漁師のスカートについてる丸いリベット状のものがあるんですけど、あれって1個1個が動くんですよ。ゲームの物理エンジンのようにプログラム的に自動で動くのかなって思っていたので設定画を描くときはたくさん付けてたんですが、どうも人力でアニメーションをさせてたみたいで……。あのリベットの数もちょっと減らすことになりました。

ただ、手描きのアニメだったら、そういうこと（オブジェクトの細かい描写）そのものが難しいですよね。描き手のコンディションに左右されずデザインのクオリティをちゃんと維持できて、安定感があるのは3DCGの魅力のひとつだと思います。

――変な話、超大作級の予算でない限り、作画のアニメで細かいキャラクターデザインのキャラを描写しきるのは難しいですもんね。

弐瓶　アニメをどうやって作っているのか技術的な部分はわからないことが多いのですが、今回の「BLAME!」に関しては皆さんがかなり頑張ってくれたのがひと目でわかるクオリティのものに仕上がってると思いますよ。

――ちなみに、劇場版「BLAME!」でのお気に入りのキャラはいますか？

弐瓶　「BLAME!」のファンは、だいたいシボ派かサナカン派に分かれるんですよ。僕自身でいうと昔は強いキャラが好きだったので、どちらかというとサナカン派だったんですけど、今はシボ派ですかね。年齢を取って、踏みつけられたりするよりも、やさしくしてもらいたいのかな（笑）。シボのデザインやキャラクターはすごくよくできていると思うので、人気が出るといいですね。。シボの金属的で硬そうな足音とかも気に入ってます。劇場版「BLAME!」は音響や音楽ももすごくいいんです。

――霧亥の武器である「重力子放射線射出装置」の音なども、本当に格好いいですよね。そのほか、本作ではアクションも見どころだと思うんですけど、そのあたりの監修は？

弐瓶　いくつかのシーンについては、マンガの絵コンテのように荒くコマ割りをしたものでイメージを伝えました。毎週会議に出ていたこともあって、キャラクターだけでなく、背景資料やそういった動画のイメージ画のイラストは相当数描きました。あまりにたくさん書いたので、「劇場版『BLAME!』 弐瓶勉描きおろし設定資料集」（講談社）として1冊にまとまるくらいの分量になりました。ただ、基本的にはそういったイラストを描いて、脚本ができあがったところまでしか僕は関わってないです。映像制作は専門外なので。新連載（人形の国）が始まったこともあり、脚本会議が終わってから1年くらい完成品を見るまでは全然見てなかったんですけど、できあがったものを見たら、びっくりしました！　本当に予想のかなり上をいく作品を作っていただいたな、と。

――弐瓶さんが頭の中で思い描いていたクオリティを超えてきた？

弐瓶　基本的に「シドニアの騎士」と同じスタッフの方たちなんで、信頼関係もあって、すごくやりすかったんです。ですからあまり不安はなかったんですけど、予想よりもかなり上のものを見せてもらったので、大満足ですよ。