映画「BLAME!」公開記念インタビュー! 第1回「目指したのは、多くの人に見てもらう作品にすること」原作者・弐瓶勉が語る映画版の魅力とは

2017年05月15日 12:000

総監修としてこだわったポイントとは


――弐瓶さんは今回の映画で「総監修」として参加されています。原作からかなりストーリーも変わっているということですが、どのように関わられたのですか?

 

弐瓶 最初から参加しています。それこそ、最初の会議が始まる前飲み会の席での話からですね。ちょうど「シドニアの騎士」の連載が2015年の9月に終わって時間に余裕があったので、そこから毎週のように会議に参加していましたね。そのたびにいろんなアイデアを描いて持っていって……。原作の一部を切り取って映像化するというアイデアもありましたけど、話し合った結果、1本の映画としてまとまりのある話を作るために、ちゃんと新しくひとつの話を作ったほうがよいということになりました。だから、物語もシンプルなものになっています。そこは結構こだわりましたね。

 

というのも、「BLAME!」のような作品を映像化するときって、どうしても格好よさをひたすら追求した芸術寄りのものにになってしまいがちじゃないですか。好きな人だけが見に来るくればいい、というスタンスで。でも、それをやってしまうと広がらないですよね。今回僕たちが目指したのは、多くの人に見てもらう作品にすることでした。だから、面白いものを作ればちゃんと見てもらえると信じて、できるだけ「BLAME!」をわかりやすく面白い作品にすることに専念しましたね。

 

――それこそ今回の「BLAME!」は、「シドニアの騎士」で弐瓶さん作品を知った新規のファンでも楽しめる作品になっていますよね。

 

弐瓶 そう言っていただけると嬉しいですね。そういう狙いは近作では結構成功したんじゃないかなと思っています。今回、人間である電基漁師の「づる」の目線で物語が描かれているんですけど、原作とはほぼ別人になっています。

 

――づるは視聴者目線のキャラになっていますよね。原作とはビジュアル面でもかなり変わっていますし。

 

弐瓶 やはりメインの女子キャラはかわいくするに越したことはないですよね。もし僕が「原作のデザインのままで作ろう」と言ったら、やっぱりプロデューサーたちは止めたと思うんですよ(笑)。でも、むしろ、僕が最初に「づるを全力でかわいくしましょう」って言ったんじゃないかな、確か。というのも、アニメ「シドニアの騎士」の時の反省があって、そうすべきだと思ったんです。

 

「シドニアの騎士」では、「ちょっと原作寄りのキャラクターデザインで」ということを僕が言ったので、最先端のアニメ絵柄と原作の絵柄の中間くらいの調整になっているんですね。もちろん「シドニアの騎士」は全然悪い結果ではなかったんですけど、もし全力で美少女の絵柄を取り入れていたら、また変わっていたのかもしれないな、とも考えたんです。なので、「BLAME!」では中途半端なことはせずに、「全力でやってください」とお願いしました。

 

ただ、あんなに「原作を好き!」と言ってくれてた皆さんが誰も反対しなかったので、それはそれでちょっと寂しかったんですけど(笑)。

 

――「徹底する」という意味では、今回の劇場版では主人公の霧亥(キリイ)のキャラクターもかなり突き詰められているように感じました。

 

弐瓶 霧亥のキャラ作りは相当こだわりました。プレスコの現場でも「霧亥はこんなこと言わないんじゃないか?」みたいな話が出て、ただでさえ少ない霧亥の台詞が削られたりもしているんです。それくらい徹底した細かい調整をして、あのキャラができあがっています。

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