ユナは重要なキャラクターでした。──梶浦由記が語る、『劇場版 ソードアート・オンライン –オーディナル・スケール-』の音楽

2017年02月21日 12:000
(C) 2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

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みなさんに待ち望まれている音楽を、素直にお聴かせしたいと思いました


── キリトやアスナたち、メインキャラクターのためのBGMについては、どのような作り方をしましたか?

梶浦 アスナに付ける音楽が比較的多かったという印象ですね。アスナを巡るドラマが、ゲーム外の現実世界では、ひとつの軸になっていたので。アスナの心境の変化によって、音楽が厚くなったり、薄くなったりしています。

── コンテ撮の段階だと、当然、声優さんのお芝居は入ってないですよね。

梶浦 最初の頃は、入っていませんでした。でも、仮の方がセリフを読み上げる声は入っていたので、一応のガイドにはなりました。アニメ制作が進んで、新しい映像がこちらに送られてくるごとに、絵に色が入ってきたり、声優さんのお芝居が入ってきたりして、具体的にイメージしやすくなっていきました。

── TVシリーズのおなじみのメロディも、いくつか使われていますね。

梶浦 これはやらなきゃダメだと思いました。私がお客さんだったら、絶対に聴きたいなと。やっぱりアスナが活躍するところは、聴きなじみのあるアスナの曲がかかってほしいし、最後に「みんな、行くぞ!」という展開になったら、『ソードアート・オンライン』のメインテーマが来てほしいじゃないですか。そういう気持ちのままに、おなじみのメロディを使ってみたらOKがいただけたので、やっぱり正解だったと思いました。

── 伊藤監督や岩浪さんから、TVシリーズのメロディを使ってほしいと言われたのではなく、梶浦さんの判断だったと?

梶浦 そうですね。でも、岩浪さんと話し合ったことがあって、劇場版で初めてアニメの『ソードアート・オンライン』を見る人もいるから、唐突にTVシリーズのメインテーマが流れても、ピンと来ない人もいるだろうと。ですから、メインテーマならメインテーマのメロディを、少しずついろいろなシーンに入れていって、慣れていただいて、本当の使いどころでバーンと来ると。BGMの作り方としてはオーソドックスな手法ですが、そういう流れを作ることには気を配りました。

── 今回のサウンドトラックを総括して、いかがでしたか?

梶浦 楽しかったですね。歌モノが多くて、ミュージカルテイストがあったので、今までのTVシリーズとは違った作り方ができましたし、テンポ感がよくてパキパキとしている作品なので、作っていて気持ちが高まりました。

── TVシリーズの積み重ねがあり、新たな挑戦もあり、と。

梶浦 ただ、『ソードアート・オンライン』に関しては、ファンのみなさんが待ち望んでいるものを、ストレートに差し出したいという思いが強いですね。観客を驚かせるための音楽、観客の期待をいい意味で逆手に取る音楽というのも、作品によってはありだと思いますが、『ソードアート・オンライン』でそれをやるのは違うだろうと。

── TVシリーズの頃から、『ソードアート・オンライン』の音楽は、素直にストレートに作っていると、おっしゃっていましたね。

梶浦 今回も、その方向になりました。ただ、《オーグマー》とか《オーディナル・スケール》という新しいテクノロジーに付ける曲では、新しいモノに触れるワクワク感を出すために、よりキラキラした音を付けてみました。

── 『ソードアート・オンライン』とは、これからもお付き合いが続きそうですね。

梶浦 末長く、お付き合いさせていただきたいですね。ここまで来たら、あの夫婦の孫まで見たいという気持ちになってます(笑)。

── 最後に、完成した劇場版のご感想をお聞かせください。

梶浦 とにかくテンポ感がよかったです。シリアスも笑いも、時には涙も混ぜつつ、魅力的なストーリーが展開していました。バトルシーンは迫力満点で、キリトくんが神々しいほど、かっこよかったです。アスナちゃんは、本当に尽くすタイプで、いい夫婦だなあと思いました(笑)。

── ユナも、いいキャラクターですよね。

梶浦 歌姫としての存在感、説得力がすごくて、神田さんが完璧なユナを演じられていました。思わずホロリとしてしまいました。



梶浦由記プロフィール


作詞・作曲・編曲を手掛けるマルチ音楽コンポーザー。
1993 年、See-Sawのコンポーザー兼キーボディストとしてデビュー。2002 年、TV アニメ「機動戦士ガンダム SEED」のエンディングテーマ「あんなに一緒だったのに」がヒット。個人名義で、アニメを中心とした劇伴音楽を多く手がける。2004 年からは、個人プロジェクト FictionJunctionの活動を開始。楽曲制作とともに、「Yuki Kajiura LIVE」を精力的におこなっている。2016年春に開催された#13は、「ソードアート・オンライン」の楽曲オンリーという内容だった。
劇伴の最近作に、TVアニメ「僕だけがいない街」、OVA「クビキリリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」など。


■劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-Original Soundtrack

レーベル:アニプレックス

2017年2月18日劇場先行発売/2月22日一般発売

3,500円(税別)

〈収録曲〉
【DISC1】
01. in the digital world
02. a promise
03. story of the past
04. Augma
05. back ground music No.1
06. welcome to "Ordinal Scale"
07. logging in #1
08. beginning of the fight
09. fight in the OS
10. you won!
11. mystery of OS #1
12. night time
13. logging in #2
14. she has a luminous sword
15. Yuna #1
16. mystery of OS #2
17. starting to solve the mystery
18. Yuna #2
19. logging in #3
20. her dream
21. loss of memory
22. to find her memory
23. to find her memory #2
24. his anger
25. I have to regain her memory
26. logging in #4
27. another field to overcome
28. Yuna #3
29. Yuna #4
30. mystery of OS #3
31. he has something to hide
32. the lost daughter
33. in her room
34. I will be close to you
35. I will fight to regain her memory
36. who are you?
37. it's just only a game
38. he knows something
39. a short break
40. facing each other
41. something wrong is happening
42. father and daughter
43. can we save them?
44. we are always together
45. the place we should have reached
46. for your bravery
47. I will fight with you!
48. let's join swords
49. he is here
50. shooting stars

【DISC2】
01. Ubiquitous dB
02. longing
03. delete
04. Break Beat Bark!
05. smile for you




(取材・文/鈴木隆詩)
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(C) 2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project

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(C) 川原礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project

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