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少し古めのテクノを意識した「紅殻のパンドラ」
──「紅殻のパンドラ」の劇伴も2015年のお仕事になりますよね? フジムラ ほとんどは2015年内で、クライマックスの曲とか、いくつかを年明けに制作したという感じです。
松井 すごい昔のような気がする。「パンドラ」は面白かったですね。
石川 まずは「攻殻機動隊」の流れにある作品だということですね。だったら、テクノがマッチするだろうというところから入って。
松井 「攻殻」の前時代の話やから、「攻殻機動隊ARISE」のテクノよりも古いテクノがいいんじゃないかという話を、石川くんが当時していたのを、思い出しました(笑)。
石川 記憶力いいなあ(笑)。
フジムラ 最近の「攻殻」はエレクトロニカ寄りだったじゃないですか。現代的なサウンドだったので、それをかわいい女の子が出る「パンドラ」でやるのは違うなと。それよりも80年代寄りの音のほうがいいんじゃないかと。
松井 わざとオールドスクールのテクノにして、要所に新しい要素を足しました。ちょうど80年代的な機材で勝負できる環境が整ったところだったので、あえて古い機材をどんどん投入したんですよね。アナログシンセとかドラムマシンとか。
フジムラ オールドスクールな曲ばかりじゃなく、戦闘シーンとかは、けっこう攻めた曲を作っているよね。サウンドは今風じゃないんですけど、音楽的には攻めていたなと。その前に手がけた「櫻子さん」の劇伴は、テクノの要素があまりなかったので、「パンドラ」は自分たちのサウンドに戻ってきたという感覚がありました。
松井 しかも今の僕らじゃなくて、ちょっと前の僕らという。
フジムラ 劇伴では、「打ち寄せられた忘却の残響に」の大竹佑季さんにも歌ってもらったり、洋平の歌もあったりと、歌モノがけっこう多かったんですよ。
松井 劇伴としての歌が、4、5曲はあったと思う。
──エンディングで、挿入歌としてクレジットが出た曲も2曲ありました。 松井 佐咲紗花さんと中野瑠璃子さんを、それぞれフィーチャーした曲ですね。佐咲さんの「EX-librist」は、挿入歌らしいことをやろうと。その前に水樹奈々さんの「DISCOTHEQUE」のカバーを僕らがアレンジしたりしていて(カバーアルバム「SAYAKAVER.」収録)、佐咲さんの声、いいねと言っていた頃で、今回も歌っていただきましょうかと。レコーディングでは、すごい難しいって言われたけど(笑)。
石川 中野さんの「ex-ist/entia」はオペラアリア的ですね。これは監督の指定だったんです。やるからには、本物の歌手を呼ばないとねと。
松井 石川が音楽大学に通っていたので、当時のツテをたどって紹介してもらったのが、中野さんでした。
石川 20代の若い方で、歌ってもらったら、すごくよくて。
松井 もともとクラシック畑の石川が、正面からオペラを作曲して、それを自分で壊して作った曲でした(笑)。伸ばす音が多いので、歌詞を付けるのが は難しくて。「これを参考にしろ」と、サミュエル・バーバーの曲を石川から渡されて、久しぶりに勉強しながら英語詞を作りました(笑)。
石川 サミュエル・バーバーの「ノックスヴィル、1915年の夏」を聴いておけと、音のハメ方の参考に。
フジムラ いろいろな要素が合わさって、最終的には印象深い曲になりました。
石川 そう、サイバーオペラ。
松井 あれで1枚アルバム作りたいくらいだよね。
──さらに、ED「LoSe±CoNtRoL」のアレンジもされてますね。 松井 ZAQさんの曲ですね。このアレンジは石川がメインでやってます。
石川 僕がアレンジをする時は、だいたい元曲がなくなるまでいじり倒すので、「よく頼むよね」と思いますけど(笑)。でも、制作サイドからも、やりたいようにやってくれと。
松井 元曲はリズムが裏になってたけど、最終的には表に来てた。
フジムラ 本編からの流れで聴くと、そのほうが合うんです。
松井 どの作品もそうですが、「パンドラ」もまた、新たな試みができた作品でした。