ハリウッド監督が作ったミニシアター映画「ストーンウォール」日本語吹替版で、主演を演じた声優・梶裕貴の思い

2016年12月23日 11:000

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ニューヨークの片隅にあるグリニッジ・ビレッジのクリストファー・ストリート。ゲイであることを父親にとがめられ、インディアナの田舎町からグリニッジ・ビレッジにやってきた青年ダニー。そこはセクシャル・マイノリティの若者たちが固まって暮らす街だった。セクシャル・マイノリティに対する理不尽な法律が彼らを苦しめていた時代、たくましく生きようとする仲間を得たダニーは、差別や迫害に対して声をあげる――。

1969年に起きた初めてのLGBT権利運動“ストーンウォール事件”をベースに作られた、小さいけれど大きなパワーを持つ映画「ストーンウォール」が日本公開される。監督は、「インデペンデンス・デイ」や「2012」など、ハリウッドSF作品を得意とするドイツ人監督ローランド・エメリッヒ。日本公開も小規模ではあるが、字幕版に加えて日本語吹替版も上映されることが決定した。主人公のダニーを演じるのは、人気声優の梶裕貴さん。映画好きでもある梶さんに、作品への思いをたっぷりと語っていただいた。


生半可な気持ちでは演じられないテーマ


──ミニシアター系の映画で日本語吹替版も公開するというのは珍しいことですし、主人公のダニー役が梶さんと聞いて驚きました。

 実は僕、(劇場公開する)実写映画の吹き替えで主人公の声を担当させていただくのは初めてなんですよ。だから今回「ストーンウォール」のお話をいただいて、とてもうれしくて。僕自身も映画が大好きで、映画館にもよく行きますし、吹き替え映画も子どもの頃から身近にあるもの。映画館に見に行ったら僕の声が流れることになるので、新人のようによろこんでいます(笑)。その反面、「ストーンウォール」という作品は、性差別に立ち向かった人たちの実話をもとにした、とても深いテーマの作品。生半可な気持ちで演じてはいけないと思いましたね。“ストーンウォール事件”は実際に起きたことなので、それについてはきちんと調べて臨もうと思いましたし。とはいえ主人公はダニーという架空の青年なので、ドラマチックにする意味でも、彼の人間的な成長や恋愛模様にきちんと向き合えたらいいなと思いましたね。


──梶さんが演じた主人公ダニーは心やさしい青年なだと思いましたが、梶さんから見てどのように見えましたか。

 いろんなタイプのキャラクターが登場する中で、ダニーって最初は存在感が薄いんですよね。だけどゲイの人たちが集まるニューヨークのグリニッジ・ビレッジに来たことで、いろんな経験をして変わっていく。ダニーは本当にピュアで、まっすぐだからこそ傷つきやすい青年。そのために自分の街を出なければならなくなってしまうわけですし。体はもう大人だけれど、実は少年のような心を持っているんだなという印象でしたね。

──ダニーに当てている梶さんの声は、低めのトーンですね。普段の梶さんのイメージと違うことに驚く人もいるかもしれません。どのように声の芝居を作っていきましたか。

 ダニーは高校生なので僕よりずっと年下なんですが、演じているジェレミー・アーヴァインは欧米の役者さんなので体格がいい。観客の方が吹き替え版をご覧になったときに、見た目と声の違和感がないようにと考えました。でもそれに縛られすぎずに、しっかりと幅を持って演じられたらなとも思っていましたね。ダニーは、レイたちのように、見た目を女性に寄せているわけではない。ということは、誰かを好きという気持ちに男性も女性も関係ないということが、この作品のメッセージなんだと僕は思いました。何も知らない青年が新しい世界に飛び込んで、いろいろな衝撃を受けたり恋をしたりして、壁にぶち当たる。好きになる対象が同性か異性かという違いだけであって、僕が感じ取るべき部分に差はないんじゃないかなと思いながら、ダニーを演じさせていただきました。

画像一覧

  • (C) 2015 STONEWALL USA PRODUCTIONS, LLC

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  • (C)Claudette-Barius

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