やわらかい歌声とサウンドが詰まった、実力派アーティストmaoのニューアルバム

レコーディングのディレクションは、私がみずからやっています

──本番のレコーディングで、ゲーム会社のスタッフさんや、レコード会社のディレクターさんから、もっと濃い表現を求められることはないのですか？

mao　それはたまにありますね。そういう時はみなさんの要求通りに歌いつつ、私から別の表現の仕方を提案させていただいたりしています。私は基本的に、レコーディングの時は自分でディレクションしているんですよ。ティームエンタテインメントさんのプロデューサーさんが、すごく私を理解してくださっていて、好きにやっていいよと任せてくださっていて。歌の解釈が、スタッフのみなさんのイメージと少しずれている時は、しっかりと話し合って、お互いの意見をすり合わせていきます。もちろん、「ここをこうしてください」と言われて、「イヤです」と拒否したことはありません（笑）。

──たとえば、11曲目の「forever & ever」は、収録曲の中では、かなり歌い上げている曲ですが、どのようなレコーディングだったのでしょうか？

mao　この曲はレンジがすごく広い曲で、低いところから始まって、クライマックスに向かって、これでもかこれでもかと盛り上がっていく曲ですよね。この曲と4曲目の「starlight fantasy」は、「PsychicEmotion6」というゲームの主題歌なんですけど、実はこの2曲だけは私のディレクションではなく、作曲の小野貴光さんとディレクターさんの指示通りに歌っています。

──「starlight fantasy」は、ボーカルにエフェクトがかけられた、エレクトリックな楽曲です。

mao　そうなんです。だから、ニュアンスを一切入れないで歌ってほしいと言われました。

──この曲に限っては、maoさんのボーカルも素材のひとつになっていて。

mao　そうですね。ニュアンスを考える必要がないので、「starlight fantasy」は1時間くらいでレコーディングが終わりました。その次にエンディングテーマの「forever & ever」を録った時も、小野さんとディレクターさんの中で、曲のストーリーがしっかり練り込まれていて、それに合わせたニュアンスで歌ってほしいと言われたんです。説明を聞いたら納得できたので、その通りに歌いました。

──それでめちゃくちゃ壮大なボーカルになっていったと。

mao　はい。大草原の中で両手を広げて歌うような、映画音楽のようなニュアンスになりました。この2曲はゲームファンの女子の方々の反響が大きくて、自分でディレクションしていたらわからなかった可能性に気づかせてもらえました。お2人に感謝しています。

──5曲目の「floatable」はトリッキーな曲で、maoさんのボーカルの技巧を味わえる、という感じでした。

mao　3拍子の曲ですね。作曲はmyuさん。いつもハッとさせられる曲を書かれる方で、いい意味での毒気があるんですよね。それが私はすごく好きで。myuさんの曲って、最初に聴いた時と10回目に聴いた時では、印象が違うんです。聴けば聴くほど、いろいろな発見があるスルメソングだと思います。

──「floatable」も、たしかにそういう曲ですね。

mao　音が自由に動いていて、第一印象からして難しいなと。ニュアンスの問題ではなく、メロディをきちんととらえるために、この曲だけはたくさん練習しました。メロディを体にしみこませないと、自然に歌えないぞと思ったんです。難易度が高い曲なので、カラオケに入ったら、ぜひ、みなさんにトライしていただきたいですね（笑）。