心の中に棲んでいる「青い獣」──分島花音、最新アルバム「luminescence Q.E.D.」を語る

2016年12月01日 16:520
初回生産限定盤(CD2枚+Blu-ray)

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私の中には、飼い慣らせない「青い獣」が棲んでいます


01. Unbalance by Me

分島 今年(2016年)のツアータイトルと同名の曲で、ツアーのテーマソングとして書き下ろしました。前回のアルバム「ツキナミ」では、アニメーションのために作った曲を「脳の音楽」、自分の気持ちを書き記した曲を「心臓の音楽」と言い表して、その両方が私にとっては大切なんだ、どちらも手放すつもりはない、ということを表現することができました。その次にくるツアーでは、今度はファンのみなさんに、その思いを伝えようと思って、出来上がったのが、この曲です。
楽曲によってジャンルがばらばらで、一見アンバランスに見えるアーティストかもしれないけど、自分にとっては、それでバランスが取れているんだと。歌詞はまわりくどい言い方をやめてストレートにして、サウンドもとても華やかで明るいものになりました。アレンジャーのsugarbeansさん(Tommy & Sammy)は、ずっとライブでバンマスを務めてくださっている方で、私が書いたメロディを何倍にも輝かせてくれます。


02. RIGHT LIGHT RISE

分島 TVアニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のエンディングテーマです(シングルは、2015年4月29日リリース)。主人公の少年ベル・クラネルとヒロインのヘスティアをイメージした曲ですが、自分自身の想いにも置き換えられる歌詞にしようと思って、私の音楽を聴いてくださるみなさんとの関係性を意識して書きました。 アレンジは、千葉“naotyu-”直樹さんで、私の曲にはめずらしくストリングスが入っていないんです。それはベルたちが、使われていない教会で寝たり、庶民的な旅を続けているからで、高嶺のイメージのある弦よりも、ホーンを使って元気で力強い感じにしたほうがいいなと。ドラムもマーチ風にして、作品の世界観を曲で盛り上げようと思いました。といっても、一応、私のチェロは入っているんですけど。


03. the BEAST can’t BE STOpped

分島 自分の中の衝動をテーマにした新曲です。プロになって大きく変わったのは、自分が好きなように、自分のためだけの音楽を作るのではなく、聴いてくれる誰かに届く音楽を作るという意識でした。でも、私を音楽に向かわせた、一番最初の気持ち、つまり衝動はいつになっても失いたくないという思いもあって、それを自分自身の戒めのためにも曲にしておこうと思ったんです。
歌詞の中に「Blue beast」という言葉が出てきますが、それは「衝動」のことで、理性でだけで音楽をやっていてもつまらない、飼い慣らせない「青い獣」を、いつまでも心の中に棲ませていたいという歌詞を書きました。
「青い獣」という言葉は、「Unbalance by Me」や、アルバム「ツキナミ」の中の「モンスター・スター」にも入っていて、青は青春の青なんです。アレンジは江口亮さんで、衝動というテーマにふさわしい、アップテンポのロックナンバーになりました。


04. odette

分島 ライブでずっとやり続けていて、今回初CD化となった曲の1つです。作ったのは10代の頃で、何者かになりたくて、憧れを追いかけ続け、それがかなわなくて鬱々としている女の子の歌になっています。つまり、私自身が、そういう10代だったということですね。あの頃はダウナーな曲ばかり作っていました(笑)。
タイトルの「odette」は「白鳥の湖」のオデット姫のことで、歌詞のテーマは愛憎。今回の収録でも歌詞はほとんど変更せず、当時の私が考えていたことがそのまま入っています。アルバムの中では一番、ダークな内容になんですけど、女の子のファンの支持がすごく高いんです。


05. 平凡な僕

分島 今回初CD化された、ライブでの人気曲その2です。こちらは男性のファンの支持が高い曲ですね。主人公も男の子で、光のような女の子がいて、その前にいくと、自分は本当に平凡な、モブのひとりになってしまうという、ピュアな思いを描いています。つまり、「odette」とは正反対の、光溢れる存在に対する賛歌になっています。
この曲も、sugarbeansさんにミュージカル風のアレンジをしていただいて、日常的な歌詞を非日常に感じていただけるようなサウンド感を目指しました。イメージとしては、ミュージカルで、普通のお芝居をしていたかと思うと、突然歌い出す、あのニュアンスです。平凡に生きている中で、光を感じたら、いきなり非現実に、ドラマチックになれる。そんな男の子の曲です。

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