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「ごはんの支度」では、すずさんの鼻歌のようなスキャットを入れました
──サントラはこぢんまりとした楽器編成がいいと、先ほどおっしゃっていましたが、ほかに制作にあたって片渕監督と話をされたことはありますか? コトリンゴ 「すずさんの時代の音楽を意識して作ったほうがいいですか?」とうかがった時に、「コトリンゴさんの音楽で作ってください」というお言葉がありました。ですから、時代に合わせた音作りは、ほとんどの曲でしていないんです。
──サントラは、各シーンの長さに合わせて作っていったのでしょうか? コトリンゴ はい。映像ができていない段階での制作だったので、絵コンテ上のカットの何番から何番までは、こういう曲がほしいです、というメニュー表をいただいて、それを元に作っていきました。曲が出来上がるたびに、監督さんと話し合って、何度も直して完成させた曲もあります。
──直しを入れた曲で、印象に残っているのはどれでしょうか? コトリンゴ たとえば9曲目の「すずさんと晴美さん」ですね。晴美さんは元気いっぱいという感じの子供ではないので、いかにも子供らしい音楽ではなく、やさしい感じにしてほしいと。それから7曲目の「朝のお仕事」は、すずさんが北條家に来て最初に、朝ご飯の支度をするシーンに付けた音楽なんですけど、私ははじめ、朝日のイメージの音楽を作っちゃって。
──早朝、家族みんなが寝ているうちに、すずだけ起きて、働き始めるんですよね。 コトリンゴ そうなんです。絵コンテは色が付いてないので、暗いうちから起きて働いているということに気づかなくて。監督さんは、「まだ、こんなに外は暗いんだよ」と背景の絵を見せてくださいました。
──12曲目の「ごはんの支度」も、すずが朝ご飯の支度をする、別のシーンに付いた音楽ですが、この曲だけスキャットが入っています。これは片渕監督からのリクエストだったんですか? コトリンゴ これは、私が入れたくて。ごはんの支度のシーンはすごく好きで、私自身ウキウキしながら曲を作っていたんです。すずさんも楽しそうですし、鼻歌の代わりみたいにスキャットを入れたいなと思いました。
──11曲目の「戦艦大和」は、大和が登場するシーンの曲ですが、軍隊らしい感じはないんですよね。 コトリンゴ 実は、監督さんからのリクエストで、やわらかな曲に直したんです。私は最初、軍隊らしい、トランペットがパパーンと鳴る曲を作っていったんですけど、監督さんの意図としては、あくまでもすずさんから見た戦艦大和を描いているから、ピアノでやってみてください、と。
──映画の前半は、のんびりとした日常描写が多いので、音楽も全般的にやわらかいんですよね。 コトリンゴ はい、私も作っていて楽しかったです。逆に後半は、物語の雰囲気が変わっていくし、スケジュールは逼迫していくしで、難しかったです。
※以降ネタバレあり。映画鑑賞前の方は、ご注意ください。