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ファンが“真似したい”と思ってくれるロゴ
──CDやDVDだけでなく、作品のタイトルロゴもデザインされていますよね? 内古閑 はい。監督さんとお会いしてからロゴをつくる場合もありますし、プロデューサーさんとだけ打ち合わせてつくる場合もあります。いずれにしても、具体的に「こういうロゴをデザインしてください」といったオーダーは少ないように思います。シナリオや絵コンテ、キャラクターデザインを見せていただいて、そのうえで提案します。だけど、監督さんにイメージがある場合は最初に要望を聞きますし、監督さんによってはご自分で、ロゴイメージ案をつくられてくる方もいたり、タイプによりけりですね。
──ジャンルに偏らず、いろいろな作品のタイトルロゴを手がけてらっしゃいますね。 内古閑 その作品がどうあるべきか、何が作品のキモであるかを最優先に考えます。そういう意味では、自分にあまり作家性はないのかも知れません。僕の会社は“チャンネル・プロダクション”といいますが、「チャンネルを変えれば、違うものが出てくる」という意味が込められています。NHKっぽいデザインがあってもいいし、ドラマに強いTBS風のデザインがあってもいい。バラエティ色の強いフジテレビっぽいデザインでもいいし、チャンネルを切り替えて、いろいろなデザインをしたい……と、学生時代から一貫して考えてきました。だから、割とバラバラなデザインでも対応できるんでしょうね。
「Angel Beats!」(2010年)のときは、「同人誌をつくっているファンから真似されたい」「パロディにされるようなロゴ」、もっと言うなら「スタッフの人が落書きしたとき、パッと描きやすいロゴ」を考えました。今のアニメってお祭になって、流行ったり、拡散されてナンボですよね。当時「Angel Beats!」は、ファンの方によりロゴジェネレーターみたいなものが作られたり、「模倣しやすいロゴ」という点ではうまくいったように思います。「コスプレしたくなる」「描きたくなる」「やってみたくなる」ことが、今の時代には重要な気がします。
──もうひとつ、アニメ本編内に登場するアイテムもデザインされていますよね。 内古閑 ええ、最初は「Angel Beats!」で、劇中に登場するバンドのロゴも作ってほしい、という依頼が来ました。そのロゴは劇中で使うだけでなく、グッズにも転用したいとのことでした。「アイカツ!」では、スターライト学園の校章をデザインして、それがカードゲームにも使われました。「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 The Animation」(2013年)は「Angel Beats!」の岸誠二監督から、劇中のいろいろなアイテムやグラフィックをデザインしてほしいというお話がありました。「ゼーガペインADP」(2016年)も同様で、劇中に出てくる広告やモニター類をデザインしてほしいという話からの延長で、包括的にBlu-rayなどのパッケージ関係もデザインする話に発展しました。
ですから、世界観を伝えるためにパッケージやロゴなど、外側のデザインをしていたら、今度は劇中に登場するアイテムなど内側のデザインを頼まれるようになったのですが、どちらが先というわけではありません。なぜなら、「アイカツ!」でデザインしたCDジャケットが、アニメ本編で使われたことがあったからです。聖地巡礼もそうですが、現実とアニメとの相関関係、相乗効果が重要なんでしょうね。