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Gomさんとshitoさんでは、ディレクションの仕方が違うんです
──では、まず「カヌレ」から。CHiCOさんの第一印象はいかがでしたか?
CHiCO 女の子らしい曲で、春にアコギを持って歌っているようなイメージがありました。主人公の女の子は、仲良しの友達がいて、その子たちにおそろいのシュシュを配ったり、得意な料理を作ったりしていて。気になる男の子にも、手作りのお菓子をあげたりしているんです。でも、2番になると、友達との関係がほころんできて、いつの間にかひとりぼっちになっちゃって。でも、男の子だけは信じてる、というストーリーですね。
──「泡恋」の主人公・由花そのものですね。
CHiCO そうなんです。作曲のGomさんからは、女の子の曲だけど、かわいい声で歌わなくていい、私の素の声で歌ってほしいと言われました。私の前の曲でいうと、「恋のコード」のようなかわいい演技をした歌い方ではなく、「世界は恋に落ちている」のようなちょっと大人っぽい、等身大な女の子の歌い方になっています。「カヌレ」の主人公の女の子は、自分を切り捨てた友達の女の子たちに執着せずに、男の子との恋にスッとシフトしていっているように見えて、その潔さは、私と似てるなあと。あまり後ろを振り返らないんですよね。
──今回の2曲は、1番と2番で、歌の主人公の気持ちが大きく変化していくのが特徴です。「カヌレ」の最後は、「好き」を10回も連呼して、とても明るい、希望のある感じで終わるんですよね。
CHiCO 男の子を信じてる、という気持ちがよく出ていると思いました。「好き」を10回言った後の「愛してるよ」は、感情のニュアンスをこめて歌おうと思ったんですけど、Gomさんから「入れすぎると重たくなる」と言われて、ちょっと加減しました(笑)。
──高校生らしく、さわやかな「愛してるよ」ってことなのでしょうね。
CHiCO そうですね。あざとさが一切ない「愛してるよ」なんだと思います。
──男の子目線の「ウルフ」はいかがでしたか?
CHiCO ポップな「カヌレ」に比べて、「ウルフ」はロックで、ハニワの「今好きになる。」とチコハニの「プライド革命」に近い印象の曲だなって思いました。曲の一部に、その2曲を連想させるようなフレーズが入っていて、ファンの方はニヤッとしてくれるんじゃないかなと思います。
──ボーカルは、ワイルドですよね。
CHiCO 作曲のshitoさんからは、クールな男の子の歌なので、かっこよく歌ってほしいと言われました。「プライド革命」は、まさにそういう感じで歌って、とても楽しかったのを覚えていたので、今回も気持ちよく歌えました。ですが、shitoさんはGomさんよりも細かいニュアンスにこだわる方で、難しい指示も多くて。
──たとえば、どこでしょうか?
CHiCO 「嫌いだ」という歌詞が、1番と2番で2回出てくるんですけど、そこのニュアンスがはっきり違っています。1番の時は、本当に女の子のことをイヤだと思っていて、吐き捨てるような「嫌いだ」なんです。でも、2番では気になる存在になってきて、「嫌いだ」の中に、好きかもというニュアンスが入っているんですね。それを、shitoさんは、「“き”と“ら”は憎しみを残して歌って、“い”と“だ”はやわらかく歌ってほしい」と。
──それは細かい(笑)。
CHiCO なので、2番の「嫌いだ」は、時間をかけて何度も録りました。
──もう1つ、歌い方で印象に残ったのが、1番の「数合わせ はみ出して」という部分でした。「数」の音を、すごく強く歌っているんですよね。
CHiCO ここも吐き捨てるように歌ったところです。「泡恋」で由花の恋の相手になる賢太郎は、恋愛にトラウマを持っている男の子で、女の子のことが信じられないんですね。でも、私がちょっとやり過ぎたのか、実は最後にもう一度、録り直した個所なんです。
──賢太郎が内に抱えている怒りが出ている個所だなと感じました。
CHiCO 悩みを持つ男の子なので、苦しそうなニュアンスを出して歌った個所が多いですね。でも、女の子に対して、だんだん心を開いていくので、2番の「負けるな」という箇所では、逆に、「ちょっと憎しみが残っているから、もう少しやさしく」と言われたりもして。試行錯誤しながらレコーディングした曲でした。
──最後はやさしくなっていますよね。
CHiCO はい。ですから、歌っている時も、眉間にシワが寄らないように気をつけました。 歌に感情をこめる時って、自分自身の表情にも、それが出てしまうんです。だから、レコーディングの姿は恥ずかしくて、みなさんにはお見せできないです(笑)。
──それだけ気持ちが入っているということですね。お話を聞いていると、Gomさんとshitoさんでは、ディレクションの仕方が違うということがわかりました。
CHiCO より細かなニュアンスを求めるのは、shitoさんですね。今回の2曲は曲調が違うので、2人のディレクションの特徴が、より鮮明に感じられました。