※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
ナギの服はもっとセクシーに
──2期ではキャラクターも掘り下げられています。とくに番場の敵役である木村は深みが増したように感じました。
高嶋 僕たちも1期の制作中には木村の人物像がつかめていなくて、置鮎龍太郎さんの声を聞いて「こんなキャラクターだったのか」とわかったんです。だから2期では木村の語れなかった部分を見せようと思いました。でも1期で退場させるときに「バキッ!」と噛み殺される音を入れてしまったんですよね(笑)。「アレでどうやって生きてるんだろう……」と悩みました。
──確かに木村が再登場したときは少し驚きました。
高嶋 木村を生き返らせるため最初に浮かんだアイデアは、ロボットにすることでした。でも少し滑稽すぎる気がしたので、最終的には「オペラ座の怪人」風の仮面を付けることにしました。それなら木村の優雅な感じが出ますし、体が機械化されていることもほのめかせるだろうと。
──木村の真の姿も話題になりましたね。胸の部分を吸引口にしたのはなぜですか?
高嶋 1期では番場の傷跡に影鰐のクローンが吸い込まれる描写を入れたので、それに繋がるようにしたかったんです。そのままイメージを膨らませていったら、なぜかダイソンの掃除機っぽくなってしまいました(笑)。ニコニコ動画を見たら関連商品にダイソンが貼られていて、しかも数台売れてたのでビックリしました。
──木村のラストはこれまでになかった切ない仕上がりでした。あのシーンは力が入っていましたね。
高嶋 木村の最期はとにかく美しく描きたかったんです。彼を影鰐に喰わせるかどうかは非常に悩みました。木村を描いていくうちに愛着が湧いてきて「『影鰐』という作品は番場と木村がいてこそじゃないか」という想いが芽生えてきたほどです。けれど物語を締めるうえでも木村の死は必要になってくる。それなら美しい結末にたどり着かせたかった。 また木村と番場の影鰐は異なるデザインを採用しています。番場の影鰐は憎悪の固まりのような存在なので、にらんだような目と鋭い牙があります。いっぽう、木村の影鰐は進化を遂げるためにさまざまなものを取り込もうとしていて、そのための触手を持っているんです。影鰐はみずから持つ思想によってビジュアルを変化させていきます。そこはもし次があれば掘り下げていきたい部分ですね。
──新キャラクターとして、猿楽製薬の本間とヤグル族のナギが登場しました。その意図について教えてください。
高嶋 本間は木村の新たな一面を引き出すための相手役として描きました。構想の段階ではイヤミなデブキャラだったのですが、木村と並び立つには弱すぎるだろうと考え、会社で成り上がって反旗を翻す武闘派キャラに変更しました。それにキャストの木村昴さんの芝居がすごく力強かったんです。本当はすぐ死ぬ予定だったのですが木村さんの本間をもっと見たくなって、最終話に再登場させてしまいました。あんなしぶとそうな声だったら復活しても問題ないなと(笑)。
──置鮎さんと同じように、木村さんの声が本間のキャラクターを引き出していったんですね。紅一点のナギはいかがですか?
高嶋 ナギは影鰐を追う部族についてのバックグラウンドを広げたいという狙いがありました。影鰐を生み出したメイ族と対立していて、手が付けられない狂犬キャラとして描きました。でも彼女もストーリーが進んでいくうちに愛着が湧いてきて、「もっとファンに愛されてほしいな」と思いはじめたんです。ナギのトラウマを描いたのもそれが理由ですね。 佐藤聡美さんのお芝居も大きかったです。ナギは佐藤さんが普段演じているキャラからは少し外れている役だと思うんですよ。声はドスを効かせていますし、過激なセリフもありますしね。そこをうまく合わせていただけたのでありがたかったです。ファンの方にとってもいつもとは違う役柄で好評だったと聞きましたし、自分の作品でそういった瞬間が生み出せたことをうれしく思っています。
──余談になりますが、ナギの衣裳は胴の部分がスリットになっていてセクシーですね。
高嶋 キャラクターデザインでは抑えていたのですが、本編では大胆になっていましたね。実はスリットは少しもめた部分なんですよ。ナギ担当のイラストレーターが「もっと横乳を見せたい」とこだわっていました。
──監督は反対されたんですか?
高嶋 いや、僕も見せたいと賛成してました(笑)。というのも僕はB級ホラー映画に影響を受けた人間ですから、お色気の要素が恐怖をより引き立てると考えているんですよ。「影鰐」はショートアニメですから視聴者が食い付ける場面はできるだけ多く入れたかった。そういったトリガーとしても横乳は必要だろうと思いました。 元々の企画自体が長編映画を想定したので、8分という尺に収めるのはとても難しかったんです。数時間分あったシナリオをどうやって凝縮するか、話を複雑にせず理解してもらうためにはどうすればいいのか、試行錯誤を重ねました。ファンの反応をよく見ているのも尺の影響が大きくて、どんなことを求められているのかを知ることで作品に効率よく反映させたかったんです。