アニメ業界ウォッチング第22回:“キャラクター”として認めてもらえるCGメカを作る、動かす! オレンジ代表・井野元英二インタビュー!

2016年06月25日 12:000

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現在でこそ、3DCGは2Dアニメーションに欠かせない表現となっているが、かつてはセル画とCGの相性は悪く、マイナスイメージで見られることがもっぱらであった。

そんな嫌われものだったCGに2コマ打ち、3コマ打ちといった作画的な動きを取り入れ、トゥーンシェイドでセル画のような質感を多用したのが、有限会社オレンジ代表の井野元英二さん。井野元さんの評価を決定づけたのが「ゾイド –ZOIDS」(1999年)、そして「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(2002年)のタチコマである。今年完結をむかえた「コードギアス 亡国のアキト」のすさまじい戦闘シーンを担当したのもオレンジで、CGディレクターは井野元さんだ。

スタート当初は、たったひとりでCGアニメを作っていたという井野元さんに、オレンジ設立までの経緯、オレンジのこれからについてお話をうかがった。


イラストレーターとしての出発と、CG会社設立まで


──もともと井野元さんは、漫画家になろうとしていたと聞きましたが?

井野元 そうです、小学~中学まで、ずっと漫画を描いていました。高校の頃に描いた4コマ漫画が「少年サンデー」に佳作で入選したりもしました。大学卒業後、一度は企業に就職したものの、「やはり漫画を描きたい」と思って、すぐ辞めました。 その当時は「少年ジャンプ」に応募していて、担当者が付くことになりまして、それを機会に上京してきたんです。担当者がつくと、漫画家のアシスタントなどの小さな仕事を紹介してもらえるんですが、やはり経済的にも才能的にも、苦しくなってしまいました。「どうしようかなあ」と思い悩んでいるとき、Photoshopのバージョン1が発売されたんです。そのPhotoshopを買い、イラストの仕事を紹介してくれるマネジメント会社に登録しました。イラストなら、それこそ何でも描きましたよ。森高千里の足だとか(笑)。 そのうち、ゲーム会社からムービーの仕事が入ってくるようになったんです。しかし、Macはアニメーションの機能が弱くて、限界を感じていました。当時好きだったディズニーの「アラジン」で、「Alias」というソフトを使っていたので、それを買おう……と言っても、当時はアニメーション用のソフトを揃えるだけで数百万円はかかりましたから、崖から飛びおりるような気持ちでしたね。「もう後戻りはできない、CGで食っていこう」と決めて、それがアニメーションの仕事をはじめたキッカケですね。


──その頃は、ゲームのムービーの仕事だけだったんですか?

井野元 「ウルトラマンティガ」(1996年)、「ウルトラマンダイナ」(1997年)の仕事が入ってきました。がんばってCGで変身シーンを作ったのですが、すぐ実写に差しかえられてしまいました(笑)。だけど、特撮番組でもCGを使いはじめた過渡期だったんですね。 同じ頃、プレイステーション2などのオープニングムービーの仕事が、CG屋の中では花形のように扱われていました。「フルCGで、映画を1本作れるんじゃないのか」という雰囲気があったのですが、自分でオープニングムービーの仕事をしていて、「どうも違うな……」と感じていました。というのも、ゲームのムービーは、演出の訓練を積んでいないCG屋が、見よう見まねで絵コンテを切っていたからです。 そのうち、「ゾイド -ZOIDS-」(1999年)の仕事が回ってきました。自分は絵を描いていたくらいなので、アニメの仕事はとても面白い。それから、どんどんアニメの仕事に傾倒していったんです。

──その頃は、おひとりで仕事されていたんですか?

井野元 ええ、当時はフリーランスでした。その後、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(2002年)の話が来まして、タチコマのみ、ひとりで担当しました。

──有限会社オレンジをつくられたのは、その頃ですか?

井野元 「攻殻~」のあと、サテライト制作の「創聖のアクエリオン」(2005年)に誘われたとき、プロデューサーに「法人化するので、予算を増やしてください」とお願いしました。さすがにもう、ひとりで仕事するには限界がある(笑)。それでオレンジを設立したのですが、僕を入れても3人しかいない。「アクエリオン」は、サテライトさんとウチともうもうひとつの会社で、話数ごとに交代で担当していました。サイライトさんの担当話数では10名ぐらい、スタッフ名がクレジットされていました。だけど、ウチの担当話数のときは、3名しかクレジットされていない(笑)。 それでも、「絵を描いてメシを食う」夢には半分ぐらい近づけたわけで、アニメの仕事に絞っていったんです。

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関連作品

ゾイド -ZOIDS-

ゾイド -ZOIDS-

放送日: 1999年9月4日~2000年12月23日   制作会社: ジーベック
キャスト: 岸尾だいすけ、大本眞基子、鈴木琢磨、藤原啓治、渡辺久美子
(C) 1983-2006 TOMY (C) ShoPro

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

放送日: 2002年10月1日~2003年11月30日   制作会社: プロダクションI.G
キャスト: 田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子
(C) 士郎正宗・Production I.G / 講談社・攻殻機動隊製作委員会

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG

放送日: 2004年1月~2005年1月   制作会社: プロダクションI.G
(C) 士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会

コードギアス 亡国のアキト 最終章「愛シキモノタチヘ」

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上映開始日: 2016年2月6日   制作会社: サンライズ
キャスト: 入野自由、坂本真綾、日野聡、松岡禎丞、日笠陽子、藤原啓治、茅野愛衣、甲斐田裕子、川田紳司、森久保祥太郎、石塚運昇、寺島拓篤、伊瀬茉莉也、松風雅也、工藤晴香、櫻井孝宏、福山潤
(C) SUNRISE/PROJECT G-AKITO Character Design (C) 2006-2011 CLAMP・ST

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

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放送日: 2016年1月7日~2016年3月24日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、村田太志、相坂優歌、花江夏樹、大川透、大西沙織、鳥海浩輔、緑川光、大原さやか、山下大輝
(C) 創通・フィールズ・フライングドッグ/ACTIVERAID PARTNERS

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd

放送日: 2016年7月10日~2016年9月25日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、大川透、鳥海浩輔、大西沙織、花江夏樹、緑川光、大原さやか、相坂優歌、黒沢ともよ、田村ゆかり、田中あいみ、新井里美、速水奨
(C) 創通・フィールズ・フライングドッグ/ACTIVERAID PARTNERS

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