澤野弘之、「甲鉄城のカバネリ」の仕事を語る

2016年05月17日 15:000

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荒木監督からは、「アガる」と言われました


──サウンドトラックの曲名には、個性的なものが多いですね。

澤野 しょうもないタイトルばかり付けてと、よく言われます(笑)。特に深い意味はなく、僕としてはお遊びの要素が強いので、そこは面白がっていただければと。逆に、タイトルにはなるべく意味を持たせたくないと思っているんです。

──タイトルからイメージを限定してほしくないと?

澤野 サウンドトラックなので、劇中のシーンを思い浮かべながら聴かれる方が多いと思うんですけど、アルバム単体としても楽しんでいただきたいという希望があって。たとえば2年後くらいにこのアルバムを聴く機会があったとしたら、作品から離れて、自由なイメージで聴いていただけるのではないかと思うんです。そんな時に、タイトルに意味がないほうが、よりリスナーの方がそれぞれの想像力を喚起できるかなと。中には、「1coma」みたいに、キャラクターの名前をそのまま付けたタイトルもあるんですけどね(笑)。

──「1coma」って、今の澤野さんの発音で気づきました。主人公・生駒の曲なんですね。

澤野 そうなんです(笑)。これも、読める人が読めればいいかなというくらいの気持ちで付けてます。

──特にこのシーンで使いたいという、話数限定の曲はあったんですか?

澤野 追加で依頼された分に、この話数のこのシーンで使うから作ってほしい、というものがあったように思います。それに加えて、荒木監督から、美馬(びば)というキャラクターには中東の民族風の音楽を当ててほしいと言われました。逆に他の曲では、民族系の音は使わないでと。

──美馬は、異国風のキャラクターだということですね?

澤野 異国風の音楽アプローチは、美馬のためにとっておきました。でも、それはサウンドトラックの一部で、アニメ制作サイドからいただいた音楽メニューに合わせて作っても、オンエアではまったく違うシーンやキャラクターに使われていることがわりとあるんです。僕はそれが面白くて、余計にタイトルでイメージを固定したくないなと。

──選曲は、アニメ制作サイドの判断ですからね。もうひとつ特徴的なのは、サウンドトラックとしては各曲のタイム数が長めだということです。

澤野 これも僕のサントラではよくやっていることで、音楽メニューではM1、M2と30数曲くらいの発注があるところを、僕の制作過程で、いくつかを合体させているんです。今回は「カバネリ」なので、KK1、KK2と音楽番号も振り直して。なので、1曲に音楽メニュー2、3曲分が詰まっているんです。

──なぜ、そういう作り方をしているのでしょう?

澤野 まずは制作上の理由ですね。サウンドトラックは曲数が多くて、レコーディングは時間との戦いなので、細かい曲をいくつも作るよりも、長い曲として作ったほうが、プロツールスでの曲の立ち上げも早いし、時間短縮になるんです。それから、いくつかの曲を繋げて1曲にすると、リスナーは1曲の中でいろいろな展開があるというふうに受け取ってくれるのではないかと。個人的にそれも面白く感じていて、長い曲を作るようになりました。

──オンエアを見た感想を教えていただけますか?

澤野 荒木監督は、曲の展開や構成を理解したうえで、効果的に使ってくださるので、いち視聴者としてオンエアを見ています。音楽を大事にしてくださる監督の作品では、音楽メニューの指定とは違うシーンやキャラで使われたとしても、「なるほど、そんな使い方があるんだ」と納得できることが多いんです。それに、荒木監督からは打ち合わせをした時から作品への熱を感じていたので、毎回のオンエアが楽しみですね。

──荒木監督の熱というのは?

澤野 打ち合わせで、熱っぽく語るというわけじゃないんですけど、説明が丁寧ですし、音楽の感想をしっかりと伝えてくださるので、うれしくなるんです。それから、映像から伝わってくるパワーですね。表現が直接的に熱いというのではなく、画面や演出の密度から熱量を感じます。

──監督がおっしゃった音楽の感想で、印象に残っている言葉はありますか?

澤野 「いつもよりもお茶目な一面を感じさせる楽曲があって、面白かったです」みたいなことを言われた覚えがあります。それから、曲を聴いて「アガる」とおっしゃって頂きうれしかったですね。

──「カバネリ」には、遊び心がある曲、ユーモアを感じさせる曲があると?

澤野 そういう印象を持ったということかもしれませんね。僕も細かく聞かなかったので、真意はわかりませんが。サウンド的に、いつもと違う部分を感じられたのかもしれません。

──全体的にはかっこいいサウンドで、荒木監督の「アガる」という表現が合っているなと思いました。

澤野 そう感じていただけたのならうれしいですね。僕が音楽を作る時に意識しているのは、単純に「かっこいい」ということなんです。

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