「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」特集 スタッフ連続インタビュー 第2回 秋田谷典昭監督

2016年03月10日 22:300

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ダイハチはアニメスタジオ?


──秋田谷監督は撮影出身とうかがっていますが、その経験はどのように生かされていますか?

秋田谷 私が撮影をしていたのはセル画を使っていたフィルム時代なので、今とは作り方がまったく異なります。けれど絵作りのベースとなるノウハウは共通した部分も多くて、デジタルの撮影さんとはスムーズに話し合いができてますね。

──撮影監督にこだわってほしいとオーダーした部分はありますか?

秋田谷 撮影だけではなく色彩とも絡んできますが、ハッキリとしたメリハリのある画面にしたいと最初に伝えました。特に時間がかかったのは瞳の中の処理です。ウィルウェアを装着した状態で中のキャラクターを映すには、ウェアの内側にカメラを置いて撮る形になるわけですが、そうすると目だけしか映らないカットがどうしても出てきます。そういったように描写する対象の情報量が少ないときは、そのクオリティをひたすら高めるしかないんですよ。瞳にグラデーションを描き込み、撮影処理も乗せてディティールを底上げしていく。そうでなくてもキャラクターの目は重要なパーツですから何パターンもテストして、いかに映えさせるか試行錯誤を重ねました。


──撮影後に制作進行も経験されています。そちらはどう役立っていますか?

秋田谷 スケジュールの相談に乗れることが大きな強みです。アイムズは2013年にできたばかりの若いスタジオなので新人の制作も多かったんです。それが昔の自分と被って、ついつい「これやると失敗するんだよ。俺も経験者だからさ」なんて横槍を入れていました(笑)。今では制作も十分に経験を積んでいますから安心して任せられます。

──実体験からアドバイスを送れるのは多くのセクションを知っている利点ですね。制作の頑張りが印象的だった場面はありますか?

秋田谷 「アクティヴレイド」は各話数ごとにフィーチャーするキャラクターが違います。エピソードのメインとなるキャラには、スケジュールが少し押しても修正を入れたいと相談してくる子が多いですね。制作がそう言うのは作品を少しでも良くしたいという気持ちがあってこそですから、こちらも「何かあれば責任を取るので、納得するまでやってほしい」とバックアップしています。そんな姿を見ていると、チームとして成長している実感が生まれますね。

──3Dはオレンジが担当しています。こちらにはどのような指示を出しましたか?

秋田谷 リアルなメカ同士の格闘ではなく戦隊モノのノリが強いといったアクションの方向性を示すぐらいでした。アイムズも含めて、メカものを単独でやれるスタジオは今やほとんどありません。そのためオレンジのノウハウを借りて、可能な限りお任せしています。他作品でもその技術力は見てきましたから、仕上がりには何の不安もありませんでした。コンテも作画出身の人だと細かく描く場合もありますが、ざっくりとした指示のときも多いんです。オレンジは職人気質のクリエイターが多くて、アドリブで蹴りやパンチを入れたりカメラを回り込ませたり、いろいろとやってもらえました。3D制作もスケジュールギリギリまで折衝してくれましたし、スタッフ全員で作っている作品なんだなと改めて思いました。


──お話をうかがっていると、ダイハチとアニメスタジオが似ているような気がします。

秋田谷 なんだか被ってきますね。いつもむさ苦しい格好で、端から見るとゴミ屋さんと呼ばれてしまう(笑)。けれど心の中には熱いものを持ってるんですよ。


チーム感あふれるフィルムを目指す


──「アクティヴレイド」は常識にとらわれない作品のイメージがあります。とくに第6話「夢は、彼方の黄昏」の巨大ロボバトルには驚きました。

秋田谷 メインスタッフとして勇者シリーズの山根まさひろさんが関わっているので、せっかくなら「ガン×ソード」のエルドラVのような巨大ロボットの回をやりたいねと話が出たんです。そこで山根さんやプロデューサーのツテで「大きな花火を打ち上げたいので力を貸して下さい」とスタッフを集めました。ある種のお祭りですね。

──空が緑色に塗られているアニメは久々に拝見しました。

秋田谷 アレには私もビックリしました。「アクティヴレイド」は近未来のリアルさを出す方向性だったので、そういうイメージの色彩は使わないと思っていたんです。でも谷口さんが「いやいや、昔のサンライズには戦闘色というのがあってね」と、特別な色指定に変えてしまった(笑)。いつのまにか山根さんも空気に引っ張られて「よし半分BLだ!」と黒で塗りつぶしたり、現場も当時のノリそのままでした。



──スタッフの自由裁量に任されている現場だったんですね。アフレコでも声優のアドリブが飛び出すことはあったのでしょうか?

 

秋田谷 もちろんありましたよ。キャラクターの大きな設定は決まっていますが、いざアフレコがはじまると声優さんもキャラをどんどんつかんでいって、私たちの想像をはるかに追い越していきます。お芝居を見て「そうか、黒騎だったらこう言うよね」と気付かされることも多かったですね。声優さんがキャラを自分のものにしたら、それに乗っかっていくスタイルでした。アドリブを入れようが、言い回しが変わろうが、そのほうがキャラに合っているのなら我々の負けです。そちらを使いましょうと。

 

──オリジナル作品のためキャストも手探りな部分があったと思います。持ち味が出たのはいつ頃でしょうか?

 

秋田谷 谷口さんは初回のアフレコをやる前に声優さんに集まってもらって、キャラクターの資料を配って説明会をするんです。それがあったので、第1話から皆さんキャラをつかんでいました。オリジナルなのでキャラを早く確立しなきゃという意識が強かったのかも知れません。お芝居を根本から直さなければいけなかった人はいませんでしたし、アフレコもスムーズに進みました。

 

──自由度が高い作品を作ることはクリエイターとしてはどのような経験でしたか?

 

秋田谷 自由ということは逆にプレッシャーでもあるんですよ。今のアニメの潮流ですと、原作があって設定が細かく決め込まれていることが多くて、そういう環境に慣れてしまうと演出家も処理仕事が中心になってしまう。そのため自由度のある作品は教材としても必要だと思っています。演出家や作画を信じて「これを叩き台にして自分の好きなことをやってみなよ」と投げかける。それに応えた作品を「今週もバカなことをやってるよ」みたいなノリでファンに膝を崩して見てもらえれば、スタッフとしてもうれしいですね。

 

──2016年7月スタートの2期ではどのようなことに挑戦したいですか?

 

秋田谷 チームとしてまとまってきたので、それがフィルムに反映された作品になっていればと思います。1期よりも確実に面白くしていきたいです。

 

──ライブや巨大ロボに次ぐサプライズも?

 

秋田谷 きっとあると思いますよ(笑)。



 

(取材/高橋克則、日詰明嘉、 文/高橋克則)
(C) 創通・フィールズ・フライングドッグ/ACTIVERAID PARTNERS

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アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-

放送日: 2016年1月7日~2016年3月24日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、村田太志、相坂優歌、花江夏樹、大川透、大西沙織、鳥海浩輔、緑川光、大原さやか、山下大輝
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