「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」特集 スタッフ連続インタビュー 第1回 シリーズ構成・荒川稔久氏

2016年03月03日 22:300

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色とりどりな人間模様の中で捜査は進んでいく


──若者代表のようなあさみや警察組織の中にはるかのようなオタクがいるさまなど、この作品における現代性を描くうえでどんな点に気をつけていますか?

荒川 あさみは自分の娘と同じ世代なので、ある意味、それは見えやすかったですね。世の中の捉え方について自分の世代とは確かに違うのですが、それをいろいろ調べなくて済んだ部分があります。はるかは仕事を完璧にやってれば文句ないから、空いている時間は思い切り自分の好きなことをやらせてねという、ちゃっかりはしているけどやるところはきちんとやってくれる人物ですし、円はいわゆるコミュ症的なところはありつつも心根のところでは人間味の強いところがあるんだろうとか、そういうことを思い馳せながらキャラクターを乗せていきました。基本に決めた属性とかベクトルさえハッキリしていればそんなに時代性とかを採り入れすぎなくてもいいかなと。世代差については考え過ぎてしまうと何もできなくなるので、そこはある程度想像したりマンガを読んだりする中で、今の若い子はもしかしたらこんな感じかなということを想像してやるしかないですからね。むしろやりすぎちゃうと、見ているほうもしんどくなっちゃうようなところがあるかもしれないし、自分たちとはちょっと違うけどこれはこれで面白いかも、というぐらいのところで留めておくのもありかなと思いますね。

──あくまでキャラクターが物語の推進力に。

荒川 推進力というより潤滑剤かな。「小難しい要素」も入れたいという要望が谷口さんからあったので、それを生真面目な人が演じてしまうとどうしても重苦しくなる。そういう意味でもチャラチャラした感じの人が語ったほうがよかろうと。協会さんのような人があのたたずまいでいるのもそれに則った振り分けでしょうね。あれはキャラクターデザインの西田亜沙子さんの功績が大きいです。メカニックというと少し無骨な人を想像しがちなのですが、デザイン上がりを見てこんな人なんだとビックリしました。それによって説明を見てもらいやすくなったかな。考えてみると、「デカレンジャー」で石野真子さんに白鳥スワンというメカニックを演じてもらったのもそれだったんですよ。あのキャラも当初の予定では菅原文太みたいなキャラにしようとしていたんですが、それだけにしちゃうと刑事モノの定番要素である、飲み屋の女将さんみたいな人がいないよねというところで、両方兼ね備えられるようにと彼女に(笑)。話を戻すと、そういう意味で協会さんはただのメカニックではない。もちろん機械は愛しているんですけど、そこをいかに楽しく出せるかというところでうまく行っている気がします。



──今のお話に出た「小難しい要素」というのは?

荒川 いわゆる政治的なことだったり、いろいろなしがらみであったりというのを描くということです。地味なところなので刑事ドラマでは一般的にはしょる部分なんですけど、この作品ではある程度そういうところにもこだわってやってみようと。ただ、それを淡々と事務的にやってもしょうがないので、そこにおいてはある程度ボヤキであったり怒りであったりといった、人間の感情に乗せながら表出していくようにキャラ配置も含め考えて作っています。手続きを守るのは当然と、ごく自然に受け入れている人もいれば、渋々従っているる人もいるといった、色とりどりな人間模様の中で粛々と捜査は進んでいくというところを出せればいいかなと。

──その際の描写で気をつけたことは何ですか?

荒川 やりすぎないということですね。やり始めちゃうと、どんな法令があるんだろうとか、それはそれで突き詰めていくのが面白くなっちゃうんです。たとえば線路を利用するとしてもリアルに寄せすぎるとこの時間内では収めきれないので、そこはある程度事前の取り決めで決まっていて緊急の要請に応じてくれるというシステムが整っているんですよというふうにして、うまく切り出しています。そこは谷口さんとの相談でだんだん積み重ねてあんな形にしていますね。電車で発進するというのは男の子的にもワクワク感がひとつ増すのではないかと思います。



──この作品は基本的に1話完結のスタイルで進行していくのがひとつの特徴となっていますが、シリーズについてはどのように構成していきましたか?

荒川 1話完結のスタイルは谷口さんからの提案でした。連続性のある物語だと深く掘り下げていくことは出来ますが、反面、一見さんお断りになってしまうのがもったいないという思いがあったようです。そこで、どこから見ても面白くて、振り返って最初から見てみたらストーリー全体としても繋がりがあり二度楽しめるようにしたいと。1話完結の面白みはかなり意識してやっています。

──シリーズ構成からの立場として意見は返されましたか?

荒川 構成表を作る段階でバラエティ感をどう出すか、どの脚本家にどの段階で発注するかという計算をさせてもらったというのはありましたが、そこに関しては大きく異論は出ませんでしたね。

──2クール分の物語を作るうえでのポイントは?

荒川 実はこの作品、最初は1クールの企画だったんですよ。そのときは、あさみを軸にした1クールと捉えていて、そこである程度のメインストーリーを収める形でした。裏設定的なことも含めて広げられるだけ広げておいて、回収できなかったものは、もし2期ができるんだったらそっちでやってもいいかもねというぐらいのゆるさだったので、2クールに決まったところで、それじゃあこの要素は2クールめに回したほうが各話の密度が上がるよね、という判断はありました。

──2クールめにはその散りばめていた要素が徐々に回収されていくお話になるのでしょうか?

荒川 見かけ上の謎は回収できているはずなんですけど、2クールめにどの部分を引き継いで、どの部分を置いておくかというところは四苦八苦しながらやっているので、どうなるかはまだ不透明な部分もありますが、1クールめで面白かった人間関係はある程度踏襲しつつ、少し変化を加えるという形で何か新しいものを見いだせるといいなとは思っています。2クールめも基本的には1話完結スタイルです。ただ、1クールめで大きな流れを意識してもらっている分をどれくらい取り込んで増幅していくかが模索のしどころで、もしかしたらその大きな流れをもう少しハッキリしたほうがいいのか、それをこれから検証しながらやっていこうというところですね。それぞれ階級が変わったりとか、1クールめでの活躍を踏まえてそれぞれにちょっとずつ変化があるので、そこをお楽しみにしていただければと思います。




(取材・文/日詰明嘉)
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放送日: 2016年1月7日~2016年3月24日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、村田太志、相坂優歌、花江夏樹、大川透、大西沙織、鳥海浩輔、緑川光、大原さやか、山下大輝
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