これが綾野ましろの原点。あの頃の気持ちを思い返して歌った、コンセプトアルバム「early days」

2016年01月11日 11:000

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冬の札幌で、路上ライブをしていた頃を思い出しました


──4曲目から6曲目は、デビュー前に北海道で制作された幻の音源ということですが?

綾野 この3曲は、「early days」に収録するために新たに録り直しました。デビュー前に出会っていた曲を、今の私が歌うという形になっています。

──どんな出会いだったのでしょうか?

綾野 「re:rain」は「刹那クロニクル」を「リスアニ!」さんに持ち込んだ頃に録っていて、「どっちを提出しようかな?」と安田さんと迷った曲でした。タイトルの「re:」はメールを返信する時に付く「re:」から取っていて、雨が降って上がったその後までを描いた曲になっています。歌詞は安田さんと一緒に考えていったんですけど、雨がやまない時ってモヤモヤするじゃないですか。「早く晴れればいいのにな」って思ったり。それを心の中のネガティブな感情に結びつけて、雨音がずっとやまないような気持ちでいる主人公を描きました。でも、必ずいつか雨は上がって晴れるんだよって。

──「re:」には、希望がこめられているんですね。

綾野 そうですね。私も歌手を目指して活動していた頃、順風満帆ではなく、路上ライブをやったり、自分でブッキングしてライブハウスで歌ったりする中で、なぜ自分の歌は人に届かないのかなって悩んで。その頃の心境と重なる歌詞になったので、「early days」を作ることになって、絶対に収録したいなと思いました。安田さんと出会う前の自分を思い返しながら歌ったので、より感情が入ったボーカルになりました。

──しっとりとした、いい曲ですよね。

綾野 当時は、私が書いた歌詞を見て、安田さんが「今回の曲は特に暗いね~」とつぶやかれたりして(笑)。でも、悩んだ時間も大切だったなと。路上やライブハウスで、自分で作ったつたない曲をたまたまその場にいた人たちに聴いてもらったりした経験が、今に生きていると思うんです。あの頃のことがあったから、今はもの怖じせず人の前に出て行けるのかなって。

──5曲目の「春想の街」は、いかがでしょう?

綾野 私の他の曲とはタイプが違う、ミディアムのやさしい曲です。歌詞は北海道の冬を思わせるものになっていて。北海道の冬って、絶対に雪が降るので、毎年、「来たな」という感じなんです(笑)。最初は雪がきれいだなと思うんですけど、だんだん雪かきに追われていったりして、冬って大変で。でも、あんなに雪が見られるのは特別なことなのかもなって。冬が来て雪が降るのは、春が訪れる前触れなんだよと解釈して、冬に寄り添って春を待ちわびている気持ちを歌いました。私にとっては、故郷に思いをはせることができる曲で、洞爺で過ごしていた頃の思い出も、歌詞には入っているんです。

──洞爺の冬って、どんな感じなんですか?

綾野 雪は多いんですけど、積もれば積もるほど、逆に暖かく感じるんですよ、ほわっと。だから洞爺の冬は寒くて厳しいという印象はなくて、私にとっては暖かいんです。

──「降りしきる 春のカケラ」というサビの歌詞は、北海道の人じゃないと書けないのかなと。

綾野 そうかもしれないですね、この「春のカケラ」は、雪をイメージしているので。この部分は安田さんから提案いただいたんですが、私も「そうだよなあ」って納得しました。この曲を歌うことで私も雪のことを考えるようになって。路上ライブを、冬の札幌でやっていたんですよ、私。

──路上なのに、ですか?

綾野 そうなんです。家から重たいスピーカーを引きずって、狸小路まで行って歌うんですけど、通りを歩いている人が全然立ち止まってくれない時もあれば、なんでこんなに集まってきたんだって思う時もあって。ライブが終わると冷たくなった体で、またスピーカーを引きずって帰って。カートが壊れて、スピーカーが雪に埋もれて、動けない!ってこともあって(笑)。雪には苦労した思い出が多かったんですけど、安田さんから「春のカケラ」という話を聞いた時に、雪も悪くないなって。さみしかった思い出がほっこり暖かい思い出に変わりました。

──「re:rain」と「春想の街」には、ひとりで歌っていた頃の思い出がたくさん入っているんですね。

綾野 私が生きてきた時間が詰まった2曲です。

──6曲目の「RAY OF LIGHT」は一転して明るい曲ですね。

綾野 この曲は基本的にはyukaricoさんのプロデュースで、安田さんに色づけしていただきました。yukaricoさんと出会ったのはメジャーデビューが決まった頃で、その段階でデモをいろいろ聴かせていただいて、「RAY OF LIGHT」もそのひとつです。

──yukaricoさんというと、「燐光」「幻燈」「邂逅」3部作に深く関わった方ですね。

綾野 バラード3曲が先に世に出たので、今回はアップテンポな曲を入れたいということで、「RAY OF LIGHT」を選びました。曲調は違いますが、yukaricoさんの独特のフレーズや展開のさせ方は今回も共通していて、不思議な感触になっています。安田さんの曲はきれいな流れが多いんですけど、yukaricoさんはいい意味でそれをくつがえす、びっくりするような展開が多くて、ハッとさせられるんです。「RAY OF LIGHT」はアップテンポですが、明るくなり過ぎていない曲で、ぜひ歌いたいなと思いました。

──yukaricoさんは、どういう方なのでしょうか?

綾野 安田さんは、趣味だったり好きな物だったり話すそぶりだったりで、きっとましろと通じるものがあるんじゃないかと思っていたらしくて、紹介していただいたら、すぐに意気投合しました。変わった小説がお好きで、歌詞には独特の世界観があって。それ以上の情報はナイショにしておきます(笑)。


次のワンマンライブ「growing wing」でさらなる飛躍を


──7曲目から9曲目は、2015年11月に行われたファーストワンマンライブからのライブ音源です。

綾野 ライブ音源のCD化は私にとって初めてで、うれしいですね。ファーストワンマンライブはデビュー1周年記念という意味でも大切なライブで、会場に来られなかった方にも聴いていただきたいなって。それに、ライブを見てくださった方には、あの時の熱をもう一度感じていただけると思います。特に「vanilla sky」のものすごい盛り上がりは、多くのみなさんに伝わるんじゃないでしょうか(笑)。


──僕もあの場にいましたが、「vanilla sky」でのフロアの反応は、ものすごかったですからね。今回収録されている3曲は、デビュー曲の「ideal white」、バラードの「燐光」、ライブのクライマックスの「vanilla sky」とバランスのいい選曲ですね。

綾野 ライブのエッセンスを抜粋しました。本当はライブ全部を聴いていただきたいんですけど、それはまたの機会ということで(笑)。「ideal white」は綾野ましろの最初の曲ですし、「燐光」はライブのタイトルでもある“lycoris”(リコリス)という言葉が入っている曲でもある「邂逅」につながる3部作の1曲目になります。あの日の雰囲気を感じていただけたらうれしいです。

──そして4月には、東京と札幌で2回目のワンマンライブが予定されています。最後に、次のライブへの抱負を聞かせてください。

綾野 ファーストワンマンは初めて尽くしでつたない部分もあったかと思いますが、次はもっともっと成長した姿をお見せしたいなと。ファーストワンマンを越えて、私の中にもライブでやりたいことが増えてきましたし、会場も少し大きくなるので、たくさんの人に集まっていただけたらうれしいです。

──ライブタイトルの「growing wing」には、どのような思いが詰まっているのでしょうか?

綾野 Mashiro名義なんですけど、みなさんに一番最初に聴いていただいた曲が「Wingless Diver」で、この曲のタイトルは羽根がないじゃないですか。そこから自分の手で羽根を育てていくんだという意味をこめて、このタイトルを付けました。それにシングルのジャケットとも意味が繋がっていて。1stシングルの「ideal white」で繭だったのが、2ndの「vanilla sky」でちょっとだけ飛んで、3rdの「infinity beyond」でまた力を溜めて、「growing wing」でさらに飛び立とうとしている私というイメージなんです。このライブをきっかけにさらに飛躍していきたいと思います。

──今年も応援させていただきます!


綾野ましろプロフィール

北海道洞爺湖町出身、札幌在住。2014年5月、Mashiro名義によるプレデビュー曲「Wingless Diver」を、「リスアニ!」vol.17誌上に発表。同年10月、デビュー曲「ideal white」をリリースする。2015年には「vanilla sky」「infinity beyond」2枚のシングルと、配信限定ソング「focus light」を発表。ロサンゼルスで行われた「Anime Expo 2015」や、さいたまスーパーアリーナでの「Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-」など、大型イベントに次々、出演。11月には「綾野ましろ 1st Anniversary One-man Live 2015 ~lycoris~」を成功に導く。2016年4月には、「綾野ましろ One-man Live 2016~growing wing~」の東京・札幌での開催が決定している。


コンセプトアルバム「early days」

レーベル:アリオラジャパン

2016年1月13日CD発売/音楽配信スタート

1852円+税


〈収録曲〉
01. white feel ~overture~
02. Wingless Diver
03. 刹那クロニクル
04. re:rain
05. 春想の街
06. RAY OF LIGHT
07. ideal white from 1st one man live lycoris
08. 燐光 from 1st one man live lycoris
09. vanilla sky from 1st one man live lycoris




(取材・文/鈴木隆詩)

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