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ヨーロッパ滞在中に制作した「櫻子さん」ED
──「櫻子さん」のエンディングテーマ「打ち寄せられた忘却の残響に」は、どのように作っていったのでしょうか?
石川 サウンドトラックに合わせつつ、北欧っぽい感じの曲というオーダーでしたね。舞台が旭川なので。まず、基本的な部分は彼(フジムラ)が作りました。
フジムラ それで、その頃、他の2人はヨーロッパにいたので、曲を送って。
石川 それを僕がアレンジして、彼(松井)が歌詞を付けて。
松井 パリからイタリアへ移動する特急電車の車中で作業しました。
石川 と言うとオシャレに感じるでしょ? でも、実際は大変です。席でパソコンを立ち上げて、鍵盤まで出して。
松井 他の乗客に、写真を撮られたりしながら、作業してました(笑)。
──ボーカルに大竹佑季さんを起用されたのは?
松井 大竹さんには仮歌を歌っていただいたのですが、そのイメージが強くて、最終的に彼女でいきたいなと。
フジムラ 声質が曲調にすごく合っていました。
松井 曲をほぼ完成形まで作りこんでから、ボーカル録りをやったんです。ひと通り録り終わって、通して聴いてみた時に、大竹さんが「もう1回だけ歌わせてください」と。その後で録ったテイクがすごくよかったんですよね。結局、その1回をまるまる切らずに使っているんです。
フジムラ スタジオレコーディングで、頭から終わりまで通して歌ったものがCDになるというのは、本当に珍しいことで。
石川 1曲通して自分の歌を聴いたことで、つかんだ何かがあったんでしょうね。職人芸だなと思いました。あれはすごかった。感動しました。
僕らはみんな、「TM NETWORK」世代ですから
──「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」には、挿入歌で参加されていますね。
松井 僕らの親の世代の昭和の名曲を、僕らの憧れた世代のアーティストが、現代のアレンジでカバーしたものを、毎回流していくという。「コンクリート・レボルティオ」の世界観にはぴったりなんですけど、すごいメンバーが集まっていて、びっくりしました。
──それを集めたCD「神化・傑作曲集」が、すでに発売されています。テクノボーイズは「空に星があるように」(2話)と「幻想レボリューション」(6話)の2曲です。
松井 制作は6話の「幻想レボリューション」のほうが先でした。これはカバーではなく新曲ですが、最初から松岡英明さんのボーカルありきで作った曲です。彼(石川)が作りました。
石川 松岡さんのボーカルが映える曲で、なおかつ昭和のイメージ、グループサウンズのイメージ、そしてテクノボーイズの持ち味を損なわない曲という。
松井 松岡さんの声には、低いところの魅力と高いところの魅力が別々にあるので、それをどちらも使いたいなと。まずは低いところから入っていって、サビでは高いところに突きぬけたかっこよさがあって。テンポにも緩急があって、僕らが知っている松岡英明さんの魅力を、彼(石川)が全部詰め込みました。
石川 僕は80年代の日本の音楽をそこまで聴き込んでいないので、むしろ80年代的な音のイメージにブレがなかったと思います。
松井 そこを逆に80年代邦楽をめちゃくちゃ聴いて育ってきた僕と彼(フジムラ)がアレンジして。僕はグループサウンズも好きなので、それっぽいギターのフレーズも加えました。それに松岡さんが歌詞を付けてくださって。この曲の仮歌は僕が歌っているんです。松岡さんのモノマネをして(笑)。
フジムラ 仮歌でモノマネをするの好きやね(笑)。「櫻子さん」の「DOKURO」もそうだし。
松井 「DOKURO」は全開でシャウトしました。「幻想レボリューション」は、松岡さんにこんな感じで歌ってほしいなというのを歌にして。
石川 僕の歌って、こんなふうに聞こえているんだって、ご本人はおっしゃってました。
松井・フジムラ ははははは(笑)。
──「空に星があるように」は、いかがでしたか?
松井 昭和の名曲ですね。この曲をカバーしたことを、ウチの父親がよろこんでくれそうなくらいの。
石川 「ボーカルは誰がいい?」とプロデューサーに聞かれて、「やれるものなら、宇都宮(隆)さんで」と。「TM NETWORK」、大好きなので。
松井 本当に歌っていただけることになって、うれしかったですね。僕らは全員がTM世代ですから。学校に通いながら歌ってましたから。でもこの曲は、彼(石川)が最初にアレンジして、その次に彼(フジムラ)が手を加えて、僕のところに来た時は「もう入れる音ないよ」って言われるような状況で。
フジムラ 最初の石川くんのアレンジに宇都宮さんが「すごくいい」っておっしゃってくれて、そんなことを言われたら、もうこれ以上いじれないよと。でもテクノボーイズらしい音も入れておきたいなと。
松井 それを彼(フジムラ)が入れたら、本当に加える音がなくなってしまったんです。だけど記念だと思って、ちょっとだけ自分の音を入れました。
石川 この曲も、松井くんが宇都宮さんのモノマネで仮歌を歌ったよね。あれ、どう思われたんだろう?(笑)
松井 愛が伝わったと信じてる(笑)。
石川 たしかに、宇都宮さんは曲を愛してくださって、「ハモを入れようよ」って、最初の予定になかった提案してくださったくらいで。こちらとしては、「本当にいいんですか?」と。
松井 すばらしいボーカルでした。
フジムラ 松岡さんもそうなんですけど、長く活動してこられたボーカリストなので、声に対するこだわりというか突き詰め方がすごかったですね。
松井 そういう意味では「櫻子さん」の大竹さんも冠さんもすごい。今期は、すばらしいボーカリストとたくさん仕事ができたクールだったと思います。