※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
カップリング曲も、想いを伝える大切さを歌っています
──2曲目は、May’n featuring 千菅春香による「本当の声をあなたに預けたくて」。「アクエリオンロゴス」のエンディングテーマです。この曲は、ハードな曲ですね。
May’n この曲も「アクエリオンロゴス」のストーリーに沿っていて。言葉というものを軽く見過ぎているようなシーンが劇中によく出てくるのですが、ちゃんと声や言葉に責任を持つべきだというのが、曲のテーマになっています。言葉というものの、実体がないからこその重みが、歌詞には表現されていると思いました。
──タイトルからも察せられるように、送り手にも受け手にも、何かしらの覚悟が強いられるのが、言葉のやり取りなのかなと。
May’n それに加えて、もし私がいなくなっても、私の思いが声によって相手に届いて、ずっと残ってほしいというテーマもあって。この先の展開にリンクしている内容になっています。
──ツインボーカルで歌うということに、しっかりと意味のある曲だと感じました。千菅さんのボーカルはいかがでしたか?
May’n レコーディングは別々におこなったのですが、それがいい結果をもたらしたと思います。デュエットには相手に寄り添うよさがある場合もありますが、この曲は100%と100%のぶつかり合いが必要でした。相手のボーカルをむしろ意識しないほうが、戦いのアグレッシブさが出るということで、私も千菅さんも、寄り添うことなくボーカルを戦わせました。千菅さんはキュートな声の癒やし系というイメージがあったので、こんなにかっこよく仕上げてくださって、うれしかったです。
──3曲目の「ゼロ分のゼロ」は、オンラインRPG「ワールド エンド エクリプス」の主題歌ですね。May’nさんらしい力強いボーカルが聴ける曲です。
May’n 自分の求めている未来が手に入れられる可能性が、すごく低かったとしても、自分の気持ちを信じていきていきたいという、強い意思を歌った曲です。May’nの楽曲には、はい上がる強さみたいものをテーマにしたものが多くて、この曲もその中のひとつになりました。「ゼロ分のゼロ」というあり得ない数字に望みをかける。そんな過酷な状況が表現されています。
──1曲目から3曲目まではシリアスな曲がならび、4曲目になってちょっとホッとできる曲がきます。「コイトゲ」は爽やかな恋愛ソングで、May’nさんのボーカルもかわいらしいものになっていますね。
May’n この曲は「こいいぬ。」というマンガのイメージソングです。学生同士の恋愛が描かれた作品なので、ポップに作り上げました。その頃はすごく悩んだり悲しかったりしても、後から振り返ったら、なんであんなことで悩んでいたんだろうって思えるのが、若い頃の恋愛じゃないですか。だから、切ない気持ちを歌っていても、ポップさを忘れないようにしました。
──歌詞には、好きなのに近づけないモジモジした雰囲気があるんですよね。
May’n そうなんです、かわいいんです。でも、大人になっても、自分の恋心を相手に伝えられない時はありますよね。ちゃんと自分の言葉と声で想いを伝えたいというテーマは、「夜明けのロゴス」にも通じているのではないかと。今回は、言葉で想いを伝える大切さを歌った4曲が並んだシングルになったと思います。
復帰直後の武道館ライブは、今までにないほど高まりました
──「夜明けのロゴス」のジャケット写真は、なんと富士山で撮影されたそうですね。
May’n 10月末のロケだったので、本当に寒かったです! 五合目まで車で行って、それから、この衣装のまま六合目まで登って撮影しました。風が強かったので、崖のそばに立つと落ちてしまいそうで(笑)。この服のなびきも自然の風なんです。むしろ風が弱くなるのを待って、撮影したくらいでした。
──富士山は風が強いですからね。でも、苦労の甲斐があって、日本で撮ったとは思えないような荒涼とした雰囲気のジャケット写真になったと思います。
May’n 夜明けのイメージにふさわしいジャケットになりました。風も背景も、すべてが自然のままなので、私自身もスタジオでは出せない表情になったような気がします。生と死を見つめる、みたいな(笑)。
──かっこいいです。そして、年明けの1月27日には、日本武道館でのライブを全曲収録したBlu-ray「POWER OF VOICE」が発売されます。
May’n あの8月の武道館ライブは本当に楽しくて。後から映像を見ても、私がすごく幸せそうな表情をしているんです(笑)。ファンのみんなに、心から「ただいま」が言えたライブになって、最初から最後までテンションがずっと高かったのを覚えています。
──10周年記念ライブであり、復帰第一弾のライブだということで、セットリストにも相当こだわったのではないでしょうか?
May’n そうですね。まずひとつは、最初から絶対に泣くと思ったので、1曲目に明るい「Ready Go!」を持ってきました。ハッピーな曲で、「心配かけてごめんね、もう元気だよ」というメッセージを伝えたくて。でも、イントロでまんまと泣きそうになってしまいました。それから、10周年ということで、May’nになる前に本名の中林芽依でリリースした3曲が新たなバージョンで収録されているのも特徴です。会場のみんなが、ワーッと沸いてくれたのがうれしかったですね。
──ライブが終わった直後は、どんなお気持ちでしたか?
May’n また始まった、という感覚がありました。今日の私のベストができたという気持ちとともに、すぐに次のライブを早くやりたい、次はもっともっといいものができるという気持ちになって。終わった直後に、そんな前のめりな自分を感じたのは、あの日が初めてでした。
今の私は、まだまだこれから、という気持ちで溢れているので、今後もよろしくお願いします。
──まだ10歳ですからね。
May’n はい、11歳に向かってがんばります(笑)。
May'nプロフィール
2008年に、TVアニメ「マクロスF」で銀河の歌姫シェリル・ノームの歌を担当し、ブレイク。2009年1月に1stミニアルバム「メイン☆ストリート」をリリースし、高い評価を得る。同年5月6日には、May’n名義での1stシングル「キミシニタモウコトナカレ」をリリース。以降、多くのアニメ主題歌を歌い、「夜明けのロゴス」を含めて12枚のシングルと4枚のフルアルバムを発表している。世界を股にかけるライブツアーもコンスタントにおこなっている、アニメソング界のトップランナーだ。
デビュー10周年を迎えた2015年には、8月にベストアルバム「POWER OF VOICE」をリリースすると同時に、同タイトルの10周年記念ライブを開催した。
■12thシングル「夜明けのロゴス」 TVアニメ『アクエリオンロゴス』新OP
レーベル:FlyingDog/2015年
12月16日発売
初回限定盤(CD+DVD) 1800円+税
通常盤(CD) 1600円+税
〈収録曲〉
01. 夜明けのロゴス
02. 本当の声をあなたに預けたくて/May’n featuring 千菅春香
03. ゼロ分のゼロ
04. コイトゲ
※各曲のInstrumentalも収録
■May’n 10th Anniversary Special Concert BD at Budokan
「POWER OF VOICE」
レーベル:FlyingDog/2016年1月27日発売
Blu-ray Disc 7000円+税
全23曲収録
※映像特典として、「POWER OF VOICE DOCUMENT 2015年8月26日@日本武道館」も収録
(取材・文/鈴木隆詩)