アニメ業界ウォッチング第14回:「まぐろの日」などで話題の店舗「アニメイトAKIBAカルチャーズZONE」で生じている、新しいコミュニケーションとは?

2015年10月24日 10:000

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アニメグッズは、コミュニケーションツール!


広報 今のアニメグッズは、キャラクターの描かれていない、シンプルなデザインのものも多いんです。知らない人が見たら、普通にオシャレな携帯ストラップなんですけど、知っている人が見たら「あれ、あなたもそのアニメ、好きなの?」と、話題がひろがる。知らない人同士が、好きなものについて語り合うキッカケになるんです。ですから、一見するとオシャレなアイテムなんだけど、実はアニメのモチーフになっているグッズが、女性には人気がありますね。

──いかにもアニメっぽいグッズを持って歩くには、心理的な抵抗のある人には向いていますね。

広報 それと、日用品としてちゃんと使えるか、お金に見合った品質かどうかに関して、女性はシビアだと思います。その点、好きなアニメがモチーフで、日用品として使えて、なおかつコミュニケーションツールとしても使えるグッズは、理にかなっているわけです。

──すると、男性はもっとストレートにグッズを好むとか?

店長 男性の中にも、グッズをコミュケーションツールとして楽しむ方はいらっしゃいます。ただ、まったく私の主観なのですが、「自分の部屋に飾る」「自分の空間の中で楽しむ」方が、男性には多いという印象をもっています。

──ひっそりと「俺だけの世界」を充実させる方向でしょうか?

店長 机のまわりをグッズで飾ったり、寝ると、天井にお気に入りのキャラのポスターが貼ってあったり……買われるものを見ていると、そういう楽しみ方をしてらっしゃるのかな? と、想像できます。


──アニメ好き・ゲーム好きをアピールするには、一般社会の中でハードルがあるような気がしますが、そこはどう思われますか?

店長 昔にくらべると、多くの先人たちの努力のおかげで、ハードル自体は下がっていると思います。そうした中で、当店のような入りやすいお店が、ファンの方の助けになっているならうれしいです。

広報 アニメイトの各店舗では、スタッフがエプロンに、好きなアニメ・キャラの缶バッジを付けています。すると、お客さまのほうから「私もそのキャラ、好きなんです。どこに置いてありますか? オススメのグッズは?」と、会話をひろげてくださる。やはり、自分の好きなものを愛好している同志と出会えることは、めったにありませんから、双方にとって貴重な場になっていると思います。

──AKIBAカルチャーズZONE店では、期間限定のイベントもやられているようですが?

広報 店内に仕切られたスペースがありまして、テーマを決めて、グッズを集めたり展示会を行なったりしています。まだ開店1年しかたっていませんし、いろいろと新しいチャレンジを試しているところです。たとえば、海外のお客さまがいらっしゃるので、英語版コミックを置いています。スタッフも、少しは英語で対応できます。また、制服も他店と同じエプロンではなく、当店だけ青いポロシャツにしています。

店長 商品だけでなく、施策などの部分で、お客さまも私たちも、いっしょに楽しめるお店をめざしています。


「人との関わり」を持って帰れるお店


広報 当店の施策はユニークでして、まったくアニメと関係ないことを、突発的にやるんです。

──ああ、ツイッターに「10月10日はまぐろの日」「ご期待ください」と告知していましたね?

店長 ご存知でしたか(笑)。

広報 まったく、アニメと関係ありませんけれど(笑)

──たしか、レジで「まぐろ」と言えばいいんでしたよね? あのキャンペーンは、何だったのですか?

店長 そう聞かれましても、どう答えればいいのか……(笑)。10月10日に、当店のスタッフに「まぐろ」と言っていただくと、くじ箱を「ご期待ください」と差し出します。アタリを引かれたお客さまに、高級まぐろ缶をプレゼントさせていただく、アニメとまったく関係ない施策でしたので。

──渡すのは、普通のまぐろ缶ですか?

店長 いえ、高級まぐろ缶です。

広報 実は、「まぐろの日」の前に、「佐藤さんの日」があったんです。

店長 3月10日は「佐藤さんの日」なので、「全国の佐藤さん、アニメイトAKIBAカルチャーズZONEに来てください。砂糖をさし上げますよ」という施策でした。加藤さんは「加糖」ですから、複数プレゼントしまして、武藤さんは「無糖」なので、「申し訳ございません、ありがとうございます」と頭をさげました。とにかく、お客さまに楽しんでいただきたい一心で、スタッフ一同、がんばりました。

広報 ただお買い物をするだけでなく、砂糖までもらえたら、人に話したくなりますよね。このお店は、ヘンなことをしても、街が受け入れてくれるんです。秋葉原には「面白いネタがあるなら、いっしょに乗っかっちゃおう」という精神性があって、街があったかいんですね。しかも、アニメイト秋葉原ではなく、AKIBAカルチャーズZONE店でやったことが見事にハマって、大きな話題になりました。お客さまもスタッフも、いっしょに楽しみたい気持ちが強いお店なんです。アニメショップなのに、アニメと関係ないやりとりができて、それが自慢話になる。お店でグッズを買うだけでなく、「買ったときに、まぐろって言ったよ」と話のネタを持って帰れる、面白いお店であり続けたいんです。

──そういうアイデアは、店舗のスタッフが決めるんですか?

店長 スタッフはもちろん、社員と話しているとき、パッと「これ面白い!」と、アイデアが出てきたりします。お客さまが「まぐろ!」と言ってくださったら、こちらも「ご期待ください!」と、真摯に答える。そうしたお客さまとスタッフとの受け答えは、リアル店舗でしか成り立たないことですよね。人と人との関わりあいを大事にしたい……と、常に考えています。私たちも、楽しく働きたいですからね。



(取材・文/廣田恵介)

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