ホビー業界インサイド第2回:個人作品からプラモデルへ~メカトロウィーゴの起こした小さな奇跡 プロモデラー、小林和史インタビュー

2015年08月20日 11:000

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“ゆるく遊ぶ”キャラクター文化とのマッチング


――ここに1/12ウィーゴがありますけど、販売するんですか?

小林 いえ、このウィーゴは自分で大きなサイズが欲しくなったので、3Dプリンターで出力して仕上げた一品モノです。「ガレージキットにして売ってほしい」という方もいるのですが、今年夏のWFで発表されたように、千値練さんから完成品トイとして商品化されることになりました。なので、1/12ウィーゴのガレージキット化は難しくなってしまった。それでも「キットになるのを待ってます」とおっしゃってくれる方がいて……。


――コアな固定ファンも、いるわけですね。

小林 そのいっぽうで、女性の方が「初めてプラモデルを作ります」と、ウィーゴのキットを手にとってくださる。それと、千値練さんの35メカトロウィーゴが出たとき、ドールや可動フィギュアがウィーゴを抱えているとか手を引いているとか、プラモデル界隈では考えつかない遊び方をしている方が、すでに何人もいたんです。

――スケールを無視して、人形遊びに取り込んでいるんですね。

小林 1/35スケールとして作りましたから、僕は1/35の人形と組み合わせることしか想定していなかったんです。だから、自分とは縁遠い趣味の方たちが、こんなに自由な遊び方をしているのかって、ビックリさせられました。元々の設定を知らず千値練のトイを買っていただき、ドールと組み合わせて遊ばれている方は、ウィーゴを「人間が抱えられるほど小さなロボット」と認識していますから、ハセガワさんのプラモデルを買って作られた際に「え? ウィーゴって中に子どもが乗ってるの?」と驚いてらして(笑)。もちろん、バリバリにプラモデルを作ってきた方たちは、1/35スケールを意識して手を加えておられて、どちらも拝見してとても楽しいですね。


――「江ノ島ウィーゴ」として、ご当地アイテムに改造している人もいましたね。

小林 そう、ボディに江ノ電の路線図まで描いてあって、驚きました。パロディ的にアレンジする方も多いですね。

――おのおののユーザーの好みや技術を、反映させやすい素材なんでしょうね。

小林 近年、商品本来の設定やスケールを無視して、自由にプラモデルやフィギュアで遊ぶ時代になってきたように思えます。そこへたまたま、シンプルで改造しやすいウィーゴが発売された。もともとこれがどんなロボットなのか知らない人の方が多いですから、「ウィーゴなら、何をしてもいいよね」と、自由な改造の素材にしてもらったり、一緒に旅行へ連れて行ってもらっている。もし、ウィーゴの完成品トイやプラモデルが5年前に発売されていたら、ここまで自由に遊んでもらえなかったかもしれません。時代の空気と、たまたまマッチしたんでしょうね。



(取材・文/廣田恵介)

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