アニメ制作会社の群像劇—プロデューサーが語る「SHIROBAKO」Blu-rayヒットの理由

2015年07月01日 10:000

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特典映像の劇中劇は、新番組第1話級のハイレベルな完成度に


――劇中劇の「えくそだすっ!」の30分版がパッケージ第3巻の特典映像として収録されましたが、こちらはどのように作られたのでしょうか?

川瀬 あれはP.A.WORKSの中で完全に別班を作って制作していきました。「えくそだすっ!」であれば、第3巻のリリースは2月になるとわかっていて、そうすると本編制作期間中に作らなくてはならないので、同時進行する余裕はないし、本編チームが作ってしまうと絵柄も近くなってしまいます。「えくそだすっ!」はあくまで武蔵野アニメーションの人が作っているという作品であるので、別班のほうが印象も変わっていいだろうと。もちろん、「SHIROBAKO」の作中のものではあるので、監督は水島さんでなくてはいけなくて、その結果として彼の仕事は2倍になっているんですけど、これは本人がよろこんでやっていることですから仕方ない(笑)。ただ、吉原正行さんという監督経験がある方が絵コンテ・演出を担当してくれたので、お任せできた部分も多かった気がします。

――第7巻には「第三飛行少女隊」が収録されますが、どんな内容になっていますか?

川瀬 いやもう、すごい内容になっていますよ! 3DCGを使っているのでそのあたりのチームも大変です。「木下監督ってホントにヒドイなぁ!」って水島監督もおっしゃっていました(笑)。実際のアニメでも第1話ってクリエイターが特に力を入れるから、けっこう派手めに作られますよね。

 

――そうですね。

川瀬 だったら「当然、ムサニさんもそうするはずでしょう」と、どこかのおかしな監督が考えてしまったんです(笑)。そこまで現実に沿っているわけです。だから実制作でも手を抜く訳にはいかないということもあって、毎月のリリースを楽しみにしてくれた方には申し訳ないんですが、ちゃんと作りたいので1か月延期させてもらうという形を採りました。そのご期待にそえる内容にはなってくれていると思います。

――これらの劇中劇が特典として収録された巻は定価で1万円を超える形になりましたが、その結果、客離れをおこすといった点での心配はありましたか?

川瀬 それに関しましてはOVAで別売りしたらとか、「えくそだすっ!」あり・なしの2バージョン出したらという意見もあるかと思うんですけど、これはあくまで劇中劇という位置づけの作品なので、あくまで本編を楽しんでくれた方が、「劇中のあの作品ってどんなフィルムなんだろう」という興味を持ってもらって、そのまま見ていただけるように、BD/DVDの特典に入れ込む形を提案させていただいたという形です。

――まさに商品としての"パッケージング"ですね。

川瀬 そういうことです。だからこそあえて「えくそだすっ!」なしバージョンは作らなかったんです。もちろんビジネスとしては、なしバージョンを作ることで「高いから買わない人」を取りこぼさないという選択肢もあったかもしれないんですけど、この作品のファンの方は本質としてそこをまるごと楽しんでくれるだろうなと、勝手な信頼感を持っていました。単なるオマケレベルだったら、お値段据え置きでやるんでしょうけど、ガチでお金をかけて1本作ってしまったので、「すいませんが余分に出していただけませんか?」と(笑)。その代わり、クオリティ含めてきちんと楽しめるものになっていると思います。


――また、9月には作品のイベントも開催されるそうですね。放送期間中のイベントも相当な盛り上がりを見せたようですが、いかがでしたか?


川瀬 当初、この作品ってイベントをするタイプではないかなと思っていたんです。イベントのチケットよりも、分厚いブックレットをよろこんでくれるようなストイックなファンが多いのかなと。でもその考えが変わったのは12月に前半戦の一挙上映会を開催した時でした。役者5人に登壇してもらって、僕が司会進行を担当したんですが、熱量がものすごかったんです。これは感覚的なものですが、そのときにこういうイベントも望まれているんだと思いました。上映会が終わった後も、もっと黙々と見るのかなと思ったら「みんなで見るとより楽しいね」という形で満足していただけた感想も散見されたので、せっかくだからイベントを開催したほうがいいんじゃないかなって流れになったんです。それは今年に入ってからだったと思います。ただ、パッケージ発売も進行している中、会場を探したりする時間も含めると7巻がギリギリのタイミングでした。だから、9月のイベントはリリースも完結するので最後にみんなでお祭をしましょうかという感覚ですね。あとは、オープニングとエンディングを担当してくれた奥井雅美さんと石田燿子さんには、作品のイベントとして歌ってもらう機会がずっとないままだったので、そこも含めてみなさんで楽しみましょうと。最終巻までご購入頂いた方がイベントに来ていただいて、「あ~楽しかった」と、この作品をまるごと楽しんだご褒美みたいな形になればと思って組ませていただきました。

――最後に作品を応援してくれたファンの方にプロデューサーからのお言葉をいただけますか。

川瀬 女の子を主人公にした職業モノでアニメ制作会社という作品は、プロデューサーの僕からしてもなかなかない内容だったと思います。アニメ業界という、興味はあるけれども、ちょっととっつきにくい題材の作品を水島監督が作ったことを皆さんが面白がってくれた結果として、今の状況があるということについて非常に感謝しています。まだリリースは続いていきますが、ここまでご購入いただいた方がいらっしゃるのであればぜひ最後まで楽しんでいただき、もう一度、放送で味わった感動を味わってもらいたいなと思います。


<川瀬浩平氏プロフィール>

ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント アニメ事業部チーフプロデューサー。代表作は「食戟のソーマ」、「selector infected WIXOSS」、「とある科学の超電磁砲S」など。


2015/7/29 ONSALE!!

「SHIROBAKO」第7巻<初回生産限定版>
Blu-ray+Blu-ray/DVD+DVD \11,800(税抜き) 収録話数:19話~21話+OVA


初回生産限定版特典
・キャラクター原案ぽんかん⑧描き下ろしイラスト三方背ケース
・キャラクターデザイン関口可奈味描きおろしデジパック仕様
・劇中劇アニメーション「第三飛行少女隊」第1話
・特製ブックレット(40P予定) ・スペシャルイベント優先販売申込券

<イベント概要>  

【日程】2015年9月20日(日)※時間未定

【会場】神奈川芸術劇場

【出演(敬称略)】

木村珠莉、佳村はるか、千菅春香、髙野麻美、大和田仁美、石田燿子、奥井雅美

※出演者は変更になる可能性がございます。

 

商品仕様・スペック

<映像特典>

『山はりねずみアンデスチャッキー』ノンテロップオープニング

2ndノンテロップエンディング ver.4

木村珠莉制作現場潜入レポート

『SHIROBAKO』のSHIROBAKOが出来るまで! ~その7 背景美術編~

『SHIROBAKO』のSHIROBAKOが出来るまで! ~その8 撮影編~

 

<音声特典>オーディオコメンタリー

第19話&第20話 松倉友二(J.C.STAFF)&堀川憲司(P.A.WORKS)&永谷敬之(INFINITE)

第21話 米澤円(佐藤沙羅役)&葉山いくみ(安藤つばき役)&川瀬浩平



(取材・構成/日詰明嘉)

画像一覧

関連作品

SHIROBAKO

SHIROBAKO

放送日: 2014年10月9日~2015年3月26日   制作会社: P.A.WORKS
キャスト: 木村珠莉、佳村はるか、千菅春香、髙野麻美、大和田仁美、西地修哉、松岡禎丞、山岡ゆり、吉野裕行、茅野愛衣、松風雅也、中原麻衣
(C) 「SHIROBAKO」製作委員会

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