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挿入歌を作るのは、主題歌よりも得意かも
──9曲目の「バイバイオーライ」は、TVアニメ「COPPELION」の最終回のみに使われたエンディング曲です。
KATSU 実はオープニング曲の「ANGEL」よりも早く、「COPPELION」のために最初に作ったオープニング用の曲が、「バイバイオーライ」なんです。でも、原作にある、新宿で主人公たちが新たなスタートを切る場面が、アニメでは最終回になりますと聞いていて、「バイバイオーライ」はむしろそのシーンで流れてほしいなと。それで、オープニング曲提出の期限まで少し余裕があったので、もう1曲作らせていただいたんです。
──それが「ANGEL」で、「バイバイオーライ」は希望通り、最終回で使われたと。
KATSU 最終回用エンディング曲というのは発注になくて、こちらが勝手に思い描いたことだったので、うれしかったですね。「COPPELION」は3.11を機に一度アニメ化が中断した、現実の日本社会の状況と切り離せないテーマを扱った作品なので、震災後しばらくしてからの制作再開がうれしくて。こんな時代だからこそ作る価値があるアニメだと思っていたので、主題歌作りにも力が入りました。
atsuko 普通は、発注されてもないのに、「この曲を最終回に使って」とは言えないです。でも、GoHandsさんとは「K」でもごいっしょさせていただいてましたし、信頼していただけたのかなと。KATSUのすごいところは、ダメ元で相手に自分の希望をストレートに伝えられることです。
KATSU それは全て作品のためだから。
atsuko 作品をより良くすることだけを考えているんだよね。
──曲で作品を盛りたてたいという熱意ですね。「その時、蒼穹へ」は「蒼穹のファフナー EXODUS」の挿入歌で、第9話のいいシーンで使われましたね。
atsuko 一騎と総士が大活躍するシーンですね。もともとあのシーンで使うことを前提に書いた曲で、音響監督の三間(雅文)さんが編集して、素晴らしい使い方をしてくださいました。本来はボーカルが入っている部分をあえて抜いたり、サビに行く前に2人のセリフをタイミングよく挿みこんだりしているので、私たちが作った時とは曲の印象が違って聞こえるんです。自分たちの曲のはずなのに、オンエアでは全く新しい曲を聴いているようで、衝撃的でした。
KATSU 挿入歌は使われるシーンに合わせて作ることが多くて、僕らはかなり得意だよね。主題歌よりも得意です(笑)。
atsuko テーマがより限定されていて、ピンポイントで合わせた詞と曲が作れるので。「その時、蒼穹へ」は、OPの「イグジスト」とEDの「暗夜航路」を作った後で、自分の中のファフナー因子が活性化されていたということもあって、すごく作りやすかったです。
「ソイヤ」に日本人の遺伝子が刺激されました
──11曲目の「二十四節気恋唄」が、アルバム唯一のオリジナル曲ですね。和風の曲で、季節を表す日本古来の言葉がたくさん使われています。
atsuko 久しぶりに書いたオリジナル曲で、なぜこうなった? という感じですよね(笑)。実は私は去年から「アニぱら音楽館」という番組に出演していて、そこでいろいろな曲をカバーする機会をいただいているのですが、最近はボカロ曲を歌うことが増えまして。今まで、みずから進んで聴こうとは思わなかったボカロ曲に対して、自分なりの理論ができ上がっていったんです。それを試してみようと思いました。
──atsukoさんならではのボカロ理論とは、どのようなものですか?
atsuko メロディは同じラインの繰り返しが多いとか、歌詞には西洋、東洋問わず、文学を題材にした難しめの言葉が多いとか、そこに生々しい恋愛のイメージが入ってくるとか。難しい言葉を使っていても、サビの歌詞を同じにすることで、メロディとともにスッと頭に入ってくるんですよ。これは効果的だなと思って、ボカロ曲をangelaがナマで作ったらどうなるだろうと思いました。
──そこでテーマにしたのが、日本の四季だったと。
atsuko いろいろ調べて、情緒溢れる言葉を知ることができて勉強になりました。1年の季節の流れを恋愛に重ねて、KATSUに和風のアレンジをお願いして。「ソイヤ」という掛け声を入れたいと言ったら、ダサいからイヤだと断られました(笑)。
──え、でも入ってますよね、「ソイヤ」。しかもけっこうな量が。
atsuko そうなんです。レコーディングの時にその場にいたスタッフみんなをマイク前に集めて、KATSUが「じゃあ、ソイヤ録るよ」と。ダサいと言いながら、ノリノリでした(笑)。
KATSU 楽しくなっちゃって、曲のいろいろなところに入れちゃいました。実は編集でカットしてカットして、それでもあれだけの量の「ソイヤ」が残ったのが完成版です(笑)。
atsuko ダサいと思いつつも、やっているうちにトランス状態に入っていくんですよね。これは祭における日本人の盛り上がりと同じような気がしました。遺伝子レベルで、「ソイヤ」に刺激されたのかもなと(笑)。
KATSU そうそう、盆踊りは、今で言うダンスフェスなんだと(笑)。
atsuko さらにニコニコ動画感を出したいと言ったら、KATSUがすごいアイデアを出してきたんです。
KATSU ニコ動に「シドニア」を和太鼓で叩いている動画がアップされていて、それが衝撃的にかっこよかったので、この人に「二十四節気恋唄」にも和太鼓をいれてもらいたいと。ネットを通じてコンタクトを取って、快く引き受けていただきました。
atsuko すごくいい感じになりました。
KATSU 今回のツアーには台湾、香港も入っているので、日本の文化を発信してきたいですね。