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3つの物語を描いた2期の締め方
――1期の《アインクラッド》編は《ソードアート・オンライン(SAO)》。2期前半の《ファントム・バレット》編で《GGO》。2期後半の《キャリバー》編、《マザーズ・ロザリオ》編では1期の《フェアリィ・ダンス》編の舞台となった《アルヴヘイム・オンライン(ALO)》で物語が展開されていきますが、これら作中の舞台となるゲームによって世界観の違いを出すのに苦労されませんでしたか。いやー面倒くさいですよ(笑)。でも監督として最初に注力するのは世界観なんです。まずはコンセプトアートの堀(壮太郎)さんと2人で、世界を創っていく作業を先行してやりました。そこが一番楽しかったですね。堀さんにはまず自由にイメージボードを描いてもらいました。例えば《GGO》の街並みも、あんなに大きなペン先みたいな建物があると原作には書いていないんです。ただ世界観を示すのにわかりやすい構造物があったほうがよいので、そういう街の形状になりました。『ブレードランナー』以降のSF的な建物を生み出したいと言ってオーダーしたのですが、美術が大変すぎると怒られてしまいました(笑)。
――本作にはシリーズ構成がクレジットされていませんが、どのように構成を詰めていきましたか。原作を大きく改編するわけではないので、俺と原作の川原さんとプロデューサーで大まかな方針をつくって、なるべく流れを崩さずに話を割っていく、というという形でやっていきました。短編の《キャリバー》編を間に挟んだのは、時系列順ですし、《マザーズ・ロザリオ》編に入る前のエピソードなのでちょうどいいなと。それと1期から出ているキャラクターをきちんと出せるストーリーなのが一番大きいですね。
ただ、《マザーズ・ロザリオ》編の新キャラクターたちの取り扱いには気を遣っていて、特にユウキは細心の注意を持って扱っています。とかくシリアス展開を嫌う世の中ですから、なるべくバランスを取りたいなと。
――バランス、ですか。ええ。俺としては監督として余分な主張を込める気はあまりなくて、原作で表現されていることをよりわかりやすく、より広げて伝えていきたいと思っています。そのさじ加減を選んでいるという感じですね。
――2期の中で《マザーズ・ロザリオ》編はどのような位置付けになりますか。《ファントム・バレット》編は、1期の《アインクラッド》編で4000人も死んでいるという結構忘れられがちな話が、キリトの目の前に突きつけられる物語でもあるわけです。《マザーズ・ロザリオ》編では、ユウキのエピソードにアスナがどう向き合っていくのかが重要になると考えています。あまりユウキのほうに焦点を当てすぎても話がそれてくるので、バランスが難しいところです。
また2期全体を見たときに、《ファントム・バレット》編、《キャリバー》編、《マザーズ・ロザリオ》編をまとめた終わり方を用意するべきだろうという考えは当初からありました。どうなっているのかは本編のお楽しみ、ということで・・・