※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
XPのサポート終了問題と「これ以上、技術を進化させない」世界。
――作品の中身についてうかがいますが、宇宙エレベーターが新しい物ではなく「過去の技術を再利用している」点がポイントかと思います。「宇宙世紀以後の千年、科学技術を進歩させていない」という絶対条件をつけました。「技術屋の都合で、物事が都合よく進むと思うなよ」とずっと以前から考えていて、その問題がWindows XPのサポート終了ではっきり露見しましたね。たかが一企業の都合で公文書まで見られなくなったとしたら、一体どこに落とし前つけるつもりなのか、ということです。経済論でいうと、みんな判で押したように「イノベーション、イノベーション」と言い続けているけど、その結果、何を使い潰すことになるのか。今回の『G-レコ』の設定を引き合いに出すと、そのような話が、簡単にできてしまう構造になっています。
――それを狙って、『G-レコ』の設定を考えたのですか?
以前から狙っていた設定なんだけど、Windows XPの問題がドンピシャで来てくれたんです。社会インフラになったアプリケーションは、それ以後に出てくるハードウェアすべてに対応しなくてはならない――そういう「インフラ規制法案」を作りたいとまで思ってるんです。こういう話を、今こうしてリアルに話せるようになったおかげで、『G-レコ』の「これ以上、技術を進化させてはならない」設定が生きてきました。これから先、50年はこの話ができるでしょうね。
――この先50年ですか(笑)。問題は、今の我々には、この問題の解決をつけられないからです。解決法は、『G-レコ』を見た子どもたちが50年後に見つけてくれたらいいな……と思ってます。だって、今の大人に「インフラ規制法案」みたいなものが作れると思いますか?
――無理でしょうね。だから、大人が『G-レコ』を見る必要はなくて、子どもに見てほしいのです。
――『G-レコ』の対象年齢は?
10歳から15歳。だって、それ以上の年齢の人は見ても役に立てられないと思いますよ。みんな、黙ってスマホやってるだけでしょ? そういう人たちには改善能力がないからです。「どうせ見てもわからないだろう」というほど、馬鹿にはしていません。「わかるよ、そうだよね」と共感はしてくれるだろうけど、じゃあ、改善する能力があなた方にあるかと言われたら、ないでしょう? というだけの話です。
Facebookを立ち上げるぐらい勘を働かせられる人間でないと解決不可能だと思うんだけど、僕が今話している問題はFacebookを立ち上げるより、ずっと困難なんです。今あるものを改革するというのは、なまじ簡単なことではない。なまじ簡単なことではないとわかるからこそ、声高に「なぜWindows XPを使えなくしたんだ、馬鹿野郎め!」とわめいても、そりゃあ無駄ですよね。改革のできるオピニオン・リーダーが出てくるとしたら、最低50年はかかるよね、と思ったから『G-レコ』を作りました。
――タイトルの意味が、少しわかってきました。そう、だから『レコンギスタ』なんです。
――『∀ガンダム』のときは、一度更地にしてしまいましたが……。また更地にするわけにはいかないから、今回は『レコンギスタ』しよう、ということです。