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「日常感」を大切に……作品のテーマと“リアリティ”の表現
──話は作品の方に戻ります。キャラもストーリーもゼロから作り出すオリジナルアニメですが、結末はもう決まっているのでしょうか?宇田:最終回は、早い段階で決めました。逆に最初に、こういう決着にしたいんだというのが決まったので、そこから逆算して、登場人物などのいろんなことを決めていっているんです。
──長いストーリーになりそうですね。宇田:長いスパンでの展開を予定して構成しているので、1クール(全12-13回、約3か月)のアニメ作品に慣れた方が、ここまでの『マジンボーン』の展開が遅いと感じられるのもわかります。でも全体の話からしたら、そんなにのんびりやっているわけじゃないんですよ。それにこの作品では、時間をかけて日常芝居をきちんとやっていきたいんです。主人公たち、翔悟を含めたみんなが、ちゃんと生活にリアリティがあるように描写したい。そうでないと、この作品で考えているテーマや、最終話の決着の付け方にはつながっていかないので。
──リアルな「日常感」を、かなり重視されているんですね。演出で意識されたことは?
宇田:演出上気をつけたのは、「尋常じゃない出来事が目の前で起きているとき、どういうリアクションをするのか?」ということです。目の前で大きな石が砕けたり、着ぐるみショーみたいな怪人が現れたら……びっくりはするけど、いきなり宇宙人だとかは思わないと思うんです。でも、その相手にいきなり襲われたら、そりゃあ動転もするでしょう。翔悟は空手をやっていて、それなりに対抗する能力のある子ですが、それでもあんな事態に直面したら、手も足も出ないんじゃないかな、と……。1話と2話は、僕が絵コンテを切ったんですが、そういうことを考えながらやりましたね。
鷲尾:日常感が一番出るのは、ファンタジーな出来事が起きたところよりも、実は細かい描写だったりするんですよね。たとえば、自分のうちの近所にいきなりブラジル人がやってきて、ジャグリングのピンを飛ばしてきたら、あんまり関わりたくないですよね?(笑) いきなりアフリカ人が庭を掃除していて、お父さんと仲良くしていたら驚くでしょう? あれこそがやっぱり、日常感なんだと思うんです。
──しかもその変なところに、登場人物がちゃんとツッコんでくれますよね(笑)。
鷲尾:そう。それ自体が変なことだというのを、まわりとの関わりの中できちんと見せるっていうのは、意外と大事なことなんです。「これ、普通はやっぱりそう思うよな」と観る人が思ってくれないと、日常感って出ないんです。そういう細かいシーンやリアクションを、ちゃんと積み上げるっていうことこそが、何よりも、リアリティを感じてもらえる理由だと思います。またそれをていねいにやるんですよ、宇田監督は。そういうのが好きだから。
──登場人物の中で、ボケとツッコミの役割分担というと……?
宇田:みんなでツッコんで、みんなでボケてますね。ボケ倒しているのはルークだけです。
鷲尾:天然な感じですよね。最初の設定では、あんなキャラじゃなかったと思うんだけど。変だな(笑)。パフェを食べさせてからじゃないですか?
宇田:ああ、あれは6話までのシリーズ構成を担当された羽原大介さんの責任だ(笑)。
鷲尾:6話までのシナリオを書いていただいた羽原さんは、映画『パッチギ』や『フラガール』で脚本賞を受賞した方です。市井の人々や庶民のナマのセリフを、すごく大事にされる方なんです。で、気取った人を、それだけで済ますのはいやだと(笑)。それでルークが、ただクールなだけのキャラにはならなかったんですね。羽原さんは、次のNHKの朝ドラ『マッサン』の脚本のために抜けられて、7話からは、『トリコ』をやっていた村山功さんに入ってもらっています。キャラクターのナマっぽさは、羽原さんのシナリオの力も大きかったですね。
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