本来のターゲットである小学生男子からはもちろん、そのストーリー性とキャラクターの魅力で、20~30代の男女からも注目度上昇中のテレビアニメ『マジンボーン』。アキバ総研2014春アニメ実力ランキングでは、1位を獲得した。
その魅力をひも解くために、企画の中心となった東映アニメーションのプロデューサー・鷲尾天さんと、アニメ制作の柱であるシリーズディレクター(監督)・宇田鋼之介さんのお2人にインタビュー。作品の秘密と、スタッフ陣の思いを、たっぷりと語っていただいた。
→「マジンボーン」はダークヒーロー物だった!宇田監督×鷲尾Pインタビュー 前編はこちら
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人気漫画家が1ヶ月間、アニメーター修行!?
──キャラクター原案の村田雄介先生が、『マジンボーン』第12話(2014年6月17日放送)に、作画で参加されました。どんな作業を担当されたのでしょうか?鷲尾:村田先生とアシスタントのお2人で、合計11カットの原画を描いていただいています。一連の動き全部を、レイアウト(画面構成)から動画マンに渡すところまで、原画マンとしての仕事をすべて担当していただきました。
──どのようにしてそれが実現したのでしょうか?
鷲尾:キャラクター原案の作業が少し進んだところで、集英社のパーティーで、村田先生と初めてお会いしたんです。キャラクター原案について、こちらの希望などをお伝えしたんですが、そのときに初めて、「僕、アニメーターもやってみたいんですけど」と言われまして。「いつでもどうぞ。でも、本当に? お仕事のマンガがお忙しいんじゃないですか?」と、半信半疑だったんですが……。結局、連載されている集英社とも相談しながら、1か月近く大泉の東映アニメーションのスタジオにお越しいただくことになりました。東映アニメーションには別棟で泊り込みの出来る部屋があるので、そこに泊まっていただいて。一応、集英社さんとは話をしたので大丈夫なんですけど、「となりのヤングジャンプ」連載の『ワンパンマン』の更新が遅れているのを見て、ちょっとドキドキしていました。
──村田先生は、なぜアニメーションをやってみたいと思われたのでしょうか?宇田:ご自身がWeb上で発表されているマンガの中で、Web公開であるのを利用して、gifアニメっぽいコマ割をしているところがあるんです。単行本の『ワンパンマン』とWeb公開の『ワンパンマン』では、ちょっと違うところがあったりするんですよ。
鷲尾:ご本人がおっしゃっていたことですが……。紙媒体であれば、今のマンガの形態でいい。でも、デジタルでWebで公開する以上、デジタルをもっと活用した方法でマンガをやるべきじゃないか。そう考えると、究極のかたちは「動くマンガ」=「アニメ」かもしれない。それで、アニメの基礎を学びたい……ということでした。
──村田先生には、東映アニメーションで何をやっていただいたんですか?
宇田:ひと月、自分の仕事を空けてこちらにおいでになるのが、どれだけ大変なことかは想像できるので、それでも来ていただけるのであれば、いろいろ学んでいただいたうえで、「やはり『マジンボーン』のアニメ本編をやってもらえたらいいね」という話を、鷲尾プロデューサーとしていました。
鷲尾:第12話はちょうど、宇田監督が絵コンテを切った回なんです。それもあって、一番コミュニケーションが取りやすいということで、第12話でご参加いただくことになりました。絵はもうものすごくうまい方なので、あと必要なのは、アニメーションの作法をきちんと理解していただくことでした。それをお教えするのは、やっぱり宇田監督が一番ふさわしいだろうということで。
宇田:僕や、社内の別のアニメーターが指南役として付いて、いろいろ学んでいただきました。たとえば、アニメーションで演技をさせるときの考え方だとか。こう動かしたらこう不自然に見えるとか。マンガとアニメーションの一番の違いは、マンガは漫画家さんが完成まで手をかけられる。でもアニメーションの場合は、途中で人に作業を渡すもので、自分で完成までは手がかけられない。そのとき次の作業の人に、どうやってきちんと伝達事項を伝えるべきか、とか……。そこが、一番学んでいただいた部分じゃないかなと思います。
──マンガもアニメも、新しいツールをとりこんで、どんどん進化していることを感じるお話ですね。<「マジンボーン」グッズのプレゼントキャンペーン!7月16日まで!!>