――登場人物のしゃべり方がアニメ版と似ていたように感じました。何か特別な演技指導はあったのでしょうか?
平坂さん(=著者・平坂読さん)から、「アニメは原案からの解釈で作られているので、なぞったりせずに映画は映画なりの解釈で作ってほしい」という話が最初にあったんです。小説やアニメを知らない人でも楽しめるようにと。だから、これをやるって決定したとき、アニメ版は見ないでおこうと決めましたし、みんな(キャスト陣)にも見せないでおきました。でも、原案がしっかりしているので、セリフ回しとかを突き詰めていくと必然的に同じようなキャラクターになってくるんだと思います。そして、それは原案のキャラクターの魅力だと思います。
――オリジナルキャラの生徒会長・西園寺はキャスト(栗原類さん)ありきでの登場ですか?
いえ、後からです。敵というか、わかりやすい部分が欲しくて、原案だと女の子なんですが、彼女も小鷹よりなので、その辺も映画ならではということで。あとは、小鳩も原案の金髪からリアルな方向(=黒髪)へ、と。
――柏崎星奈の父・柏崎天馬も強烈なキャスティング(石原良純さん)ですね。原案とは一転、とても厳格な父親で。
テイストというか、全体のトーンとして、前半は「くだらねぇなぁ、コイツら(笑)」といったかんじを見せて、いつの間にかディープな部分に行くっていう作りになってます。
キャストも美男美女揃いだとは思いますが、原案のようにすべてが"陽"でパーっとしたかんじの人を起用すると、やっぱり、「なんだかんだでリア充じゃん!」て感じてしまうので、なんかちょっと背負ってそうな人たちをキャスティングしたという感覚はありますね。
――思い入れのあるキャラは?
やっぱり、夜空ですね。小鷹が気づいて成長するという話ではあるんですが、その根底には夜空の想いがあると思うので、そういうのを背負いつつ…ってなんかサムライ的じゃないですか!(笑) しゃべり方もそうですし、強がりの性格とか、弱みを見せないところが好きですね。
――CGのデキはいかがでしょう?
CGは終盤を中心に使っていますが、予算規模を考えると結構無理してます(苦笑)。あとは、気づかないようなところに使ってます。学園内に時計台があるんですが、アレは全シーンともCGです。もともと西洋っぽい作りの小学校なんですが、宗教色を感じるほどではなかったので、十字架の塔を加えようと。
――サービスカットが結構多いですね。生徒会の女子とか。
えぇ、まぁ、アレ(生徒会の女子)はもう完全に男目線で(笑) 何もしなくても出てくるだけでうれしくなるような。…個人的な趣味ですけどね(笑) あと、生徒会長=白ランっていうのは完全に「うる星やつら」の影響です。
――アニメ版だと部室内のシーンは安心して観ていられたんですが、映画はどこのシーンでも目が離せないですね。
部室が彼らの生きる場所、むしろそこでしか生きられないとして、バーチャル(=ゲーム世界)はそれを大きくしただけなんです。部室は理想の世界、バーチャルも理想の世界で、彼らしかいませんし。だけど、そこを最後は壊して部室も失って、外と繋がり出す。こもっている状況からちょっと外に出てみるといったように。べつに「成長しなきゃいけない」というわけではないですが、少しだけ繋がるというか。
――ロケはいかがでしたか?
撮影期間は1ヶ月(普通の映画と同じくらい)で、スケジュールも予定通りでした。真夏の設定ですが5~6月くらいに撮って、11月上旬に初号試写。楽しい青春モノができたと思います。
――小説から映画を作る上での難しさとは?
キャラクターにはラノベゆえの行動というか文字ならではの動きがあって、それを生身の人間がやるときにどの程度までリアルに残すかっていう部分ですね。あとは、感情の中間が無くて180度ガラリと態度が変わる(例:笑っていたのに急に激怒する)っていうのがラノベでは成立するんですが、普通の人間はそこまで急変できないので、そのへんの"マンガ的なキャラクター"をウソくさくなくリアルに――「まぁ、こういう変なヤツもいるよな」って思えるレベルで表現するのも難しかったですね。役者の力に依るところも大きいと思います。そういったキャラがそこに自然に存在すれば、どんなことをやっても物語は成立するわけですから。だからこそ、キャラクターの内面を重視しています。
――最後に、アキバ総研の読者にメッセージを。
約2時間で、ある意味、すごくストレートな青春モノになっていると思います。そして、生身の人間だからこそ、人間にしかできないからこそ引き立つ部分が多くあると思うので、そのあたりを楽しんでいただければと思います。
――本日は、どうもありがとうございました。
映画「僕は友達が少ない」
2月1日(土)よりロードショー
瀬戸康史・北乃きい/大谷澪/高月彩良/神定まお/久保田紗友/山田萌々香/栗原類/渡辺大/石原良純
(C)2014映画「僕は友達が少ない」製作委員会