新海誠、新作「言の葉の庭」イベントでアニメ技術の未来についてコメント! 「制作のスピードは一向に上がりません(笑)」

2013年05月13日 10:430

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5月31日に公開となるアニメ映画「言の葉の庭」だが、10日にアップルストア銀座でトークイベントが行われた。




 

「言の葉の庭」は、「秒速 5センチメートル」「星を追う子ども」などのアニメ作品で知られる新海誠さんの最新作。今回は、靴職人を目指す高校生・タカオと謎めいた年上の女性・ユキノとのラブストーリーで、まるで小説を読んでいるかのような言葉遊びなどが楽しめるドラマになっている。原作・監督・脚本は新海誠さん、作画監督・キャラクターデザインは土屋堅一さん。このほかのスタッフやストーリーについては作品詳細にて。


劇場公開を記念して10日にアップルストア銀座にて行われたトークイベントには監督の新海誠さんが登場。約80人の定員に対して100人以上のファンが押し寄せるほどのにぎわいとなった。また、作品についてはもちろん、アップルストアという会場にちなんでテクノロジーにまつわる制作観も語られるなど、貴重なトークイベントとなっていた。


以下、トークの一部。

 




・新海誠コメント


『言の葉の庭』には絵としての見どころがたくさんあって、「発明」と言えるような表現技術も盛り込まれています。そもそも僕は初めから、制作動機として〈技術〉がありました。パソコンがなければ、映画は作っていないです。今回の作品は〈雨〉がテーマだから、デジタル技術で雨を作っています。キャラクターなんかは最初に紙に書くんです。それで、「1カットに100枚だとさすがに多いな」となると、カット毎の枚数を減らしていく。それなのに、デジタルで作った雨は10万粒あったりするんです。「もう2万粒 足すか」とか言ったり (笑)。


『彼女と彼女の猫』(1999年制作)で使っていたMacintoshと比べると、パソコンのスペックはこの10年間で本当に上がった。だけど、制作のスピードは一向に上がりません(笑)。求められるスペックが上がってきているんですね。フレームレートもそうです。1秒15コマで作った『彼女と彼女の猫』は今でも問題なく見られるし、最近採用している1秒24コマにも多くの利点がある。とは言え、現状のフレームレートに留まっていては、将来的に日本のアニメだけがカクカクしてしまう可能性もあるから、踏み止まるわけにはいかない。これからはテクノロジーの進化も含めて、ますますアニメの将来を考えなくてはならないと思うし、『言の葉の庭』はそういう風に考えるきっかけになりました。ソフトをはじめとする便利なツールのおかげで、アニメの設計図であるビデオコンテは作るのが楽しくなりましたね。「作ることを楽しくしてくれる」というのが、僕が技術に求めるところです。


僕は、今あるものをどういう風に噛み砕こうか、という気持ちの方が大きいんです。将来どうなるかを考えてもしかたない。「次回作がどうなるか」とうことをよく聞かれるけれど、『言の葉の庭』が公開してみないと、次にどこに進むかは分かりません。Twitterでもメールでも、観ていただいた方に声を上げてもらえれば、次に進む道が明確になっていくと思います。とは言え、「良いものができた」という今の満足感を抱えたまま、人生を終えたい気もしますけどね(笑)。

画像一覧

関連作品

言の葉の庭

言の葉の庭

上映開始日: 2013年5月31日   制作会社: コミックス・ウェーブ・フィルム
キャスト: 入野自由、花澤香菜、平野文、前田剛、寺崎裕香、井上優、潘めぐみ、小松未可子、星野貴紀
(C) Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

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