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7月に放送が始まるTVアニメ「有頂天家族」より、原作者コメントなどの新情報が到着した。
「有頂天家族」は、ノイタミナ枠でアニメ化された「四畳半神話大系」でおなじみの森見登美彦さんによる小説を原作にしたアニメ作品。京都を舞台に、狸と天狗と人間が入り乱れて繰り広げる波乱万丈のコメディドラマで、「さよなら絶望先生」「じょしらく」の原作者・久米田康治さんが自身の作品以外としては初のキャラクター原案を担当。アニメーション制作は、「true tears」「花咲くいろは」「TARI TARI」といったオリジナル作品で高評価を得てきたP.A.WORKS。同スタジオ旗揚げ時からのメンバーであり、「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」の演出や「東のエデン」の副監督を務めた吉原正行さんが初のTVアニメ監督を務める。
今回、原作者・森見登美彦さんからアニメ化についてのコメントが到着。また、森見さんは、6月16日に日本最古の歌舞伎劇場である京都南座で行われる先行プレミアイベントへのゲスト出演も決定した。ちなみに、同イベントでは、ラジオ関西のアニメラジオ番組「青春ラジメニア」のパーソナリティーである岩崎和夫さんと南かおりさんが司会を務めるため、原作者とアニメ製作陣とのクロストークもおおいに盛り上がりそうだ。
このほか、月刊コミックバーズ2013年6月号(4月30日発売)ではコミカライズが連載スタート。これにあわせて、追加キャラ/キャストが発表されている。
・森見登美彦コメント
『有頂天家族』アニメ化にあたって
今を去ること十年前、京都は北白川の四畳半において私が孤独にふくれていた頃のこと。夜半、牛丼でも食べようかしらんと下宿を出て、静かな住宅街を歩いていくと、街灯の下を駆け抜けて側溝に隠れた毛深きものあり。「なにやつ!」と覗いてみたら、一匹の狸がキョトンとこちらを見上げていたのであった。
その運命的瞬間に天啓を得た『有頂天家族』という作品が、十年の歳月を経て、スタッフの方々が創意工夫を凝らされた一大アニメーションへと、気宇壮大な化け術を披露するまでに至ったのは驚嘆すべきことである。原作の一行一行にこだわる映像化にあたって、スタッフの方々の御尽力はまことに凄絶、鬼気迫る「阿呆」というべきであり、それもそのはず監督自身なにやらフンワリと狸っぽい気配がなきにしもあらず。狸気濛々たるアニメの放映を、原作者として心待ちにしている次第である。
「そんなに素晴らしいアニメがあるなら強いて原作を読む必要はあるまい」と考える人がいるのも当然だが、この世で真にスバラシイ人物とは、アニメを讃えて原作を読み、原作を讃えてアニメを観てくれる人である。そうとも。アニメと原作をあわせて楽しめる広々とした心を持つことが現代日本における紳士淑女の嗜みであるという点にあらためて読者諸賢の注意を喚起するとともに、京都に暮らす毛深きものたちの今後益々の活躍を祈念して、今日のところは筆をおく。
二〇一三年三月二十一日
原作者森見登美彦記す