声優によるアキバ系アレンジの萌え落語! 小林ゆう「モエオチ!」イベントレポート+CDレビュー

2012年08月27日 16:300

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声優によるアキバ系アレンジの萌え落語! 小林ゆう「モエオチ!」イベントレポート+CDレビュー声優・小林ゆうさんによる落語ライブ&握手会が8月5日に秋葉原のアキバ☆ソフマップ1号店で開催された。




これは、落語CD「モエオチ!」の発売を記念したイベント。CDには、大の落語好きだという小林ゆうさんが、古典落語をアキバ系にアレンジした"女子萌え落語"4話を収録。

萌え系などのネタやこれまで演じてきたキャラクターのセリフなどがポイントとなっている。

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イベントでは、ステージが高座&座布団といった落語家向け仕様に。出囃子とともに着物姿で登場した小林さんは、「死神」をベースに非モテ男性と死神のやりとりを描いた「タヒネ申~彼女いない暦=享年」を披露。声優らしく、声色を変えて複数キャラを演じ分けたり、体を張ったダイナミックなアクションなど、全身で"女子萌え落語"を表現していた。

ちなみに、小林さんは床に額をこすり付けるほど深々とお辞儀をしていたが、これは小林さんが尊敬している故・立川談志さんに倣ったものだという。

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以下、落語に詳しいライター(価格.comマガジンのスタッフ)によるCDレビュー。なお、8月16日からはiTunes配信が始まっている。



◆小林ゆう「モエオチ!」レビュー

akiba20120802-4987.jpg最近にわかに女子の間で落語ブームらしい。女性誌が読者を集めて落語会開いたり、女子落語アニメ「じょしらく」がオンエアされるなど、どうも女子の間で落語に対する興味は高まってきているようだ。そんな中、声優の小林ゆうさん(筆者はよく知らないが)が「モエオチ!」なる落語CDを8月1日にリリースした。そのサンプル版を入手したので、ひとまず落語好きな筆者が、その内容を簡単にレビューしてみようと思う。

この「モエオチ!」のCDには、落語の演目が4話収録されている。その内容は下記の通り。


・『微レ存~フルボッコの神降臨(寿限無)』
コミケに初デビューする妹キャラ漫画家と年間3000冊はマンガを読むという姉キャラ自称漫画評論家が客ウケする漫画タイトルを生み出すというお話。原案はあの有名落語の『寿限無』。小林ゆうの声優としてのハイレベルなスキルが堪能できる超絶早口の現代版モエモエ『寿限無』。

・『タヒネ申~彼女いない暦=享年(死神)』
人間誰にでも来ると言われている”モテキ”が全くこない男に遂に来た“モテキ”。しかし、悲しいことに死神に恋焦がれあえなくその一生を終えてしまうという、夏にぴったりの怪談話。

・『じゅうまん怖い~リア充野郎は逝ってよし~(まんじゅう怖い)』
イケメンで背が高くて、仕事が出来る完璧な男 タツヤをめぐる合コン落語。完全無欠に見えるタツヤだが唯一怖いなものがあるという。それは、”言葉使いが荒くて、すぐ手が出る 気の強い女”。いつもタツヤを妬んでいる男たちは、タツヤ に”強烈なドS女”をあてがい日ごろの復讐に燃えるが、どうも様子がおかしい。実は、タツヤは、”真性ドM男”だったのだ。

・『シー・バハマ~なんてったって地下アイドル~(芝浜)』
涙ものの「芝浜」に未来型○○ロボットが登場。地下アイドル ノン子ちゃんの熱狂的ファンの和菓子職人のマコト。安易に夢を叶えてくれるロボットに頼ろうとするが、かあちゃんの献身的な愛情で立派な和菓子職人に成長する。地下アイドルのノン子ちゃんも自力で夢の大舞台に立つことになる。



このように、「モエオチ!」には、落語をある程度知っている方なら一度は聞いたことのあるだろう有名な演目をパロった4話が収録されている。なお、本作のサブキャッチには「小林ゆうが古典落語を演ったら萌えちゃった!」とあったので、このCDを聴く前は、すっかり上記の話の元になった古典落語を、まあほぼそのままなぞりつつ、萌え要素を入れたりするのかと思っていたら、内容はまったく違っていた。

たとえば、最初の『微レ存~フルボッコの神降臨(寿限無)』だが、元の話はかの有名な「寿限無」である。「寿限無」の話の内容は、生まれた子どもが長生きできるように縁起のいい名前をつけたい父親が、お寺の和尚さんに相談に行き、結果としてやたらと長い名前がついてしまった、というものだが、この『微レ存~フルボッコの神降臨~』には、子どもも出てこないし、和尚さんも出てこない。登場人物は女子高生の先輩・後輩の2人で、名前をつける対象は後輩が初めて描いた「マンガ」。しかも、そのマンガをコミケに出すために、先輩にマンガの内容を見てもらうというところから話が始まる。もちろんそこに流れているモチーフは、「寿限無」同様、やたらと長ったらしい名前(オタ臭のする要素を取り混ぜた長い名前)ということになるのだが、表面上の話としては元の「寿限無」とはほとんど関係ない。はたして、こんな設定でおもしろいのか?と思われるだろうが、意外にこれがおもしろいのだ。下手に、元の古典落語を意識していないだけに、ネタの思い切りがよく、ほぼ新作落語として聴くことができる。もちろん、オタク文化の背景を知らないとなかなか笑えないが、多少なりともそういった面の知識があれば、結構ウケること間違いなしだ。

なお、このCDの「演者」である小林ゆうさんだが、声優だけあって、登場人物の声色を1人で自在に使い分けているのはさすが。そういう意味では、さまざまなキャラを演じ分ける声優さんは確かに落語に向いているかもしれない。声優ファンにとっては、ちょっとした落語入門にいいんじゃないだろうか。

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