にゅまさんさんの評価レビュー

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ルパン初劇場版にして最大スケール!!

観賞手段:劇場
劇場版ルパンと言うと「カリ城」ばかり取り沙汰されるが、本作も埋もれさすには惜しい傑作であり、MX4D版の公開が再評価につながる事を切に願う。
「カリ城」の頃に宮﨑駿が作劇上の悩みとして「もはやルパンが盗む価値のある宝など無い」事を挙げていたと聞くが、本作を見直してみると既にこの時点でその課題にぶち当たっていたのだと気づく。宣伝的には「賢者の石争奪戦」と言う触れ込みだったが、実際はルパン自身が賢者の石を欲した訳ではなく、あくまで不二子に頼まれての事。ルパン自身は不二子奪還が主目的だった。
怪盗物語のエンタティメントの限界を、当時から見据えていて作られた作品だったのだ。
 そして当時世に出て間もないクローン技術ネタを作品のキーに持ち込み、しかも複製劣化による限界の存在を盛り込むなど、決して上澄みだけを掠め取った訳ではない事も見せる。
 最近でこそ「超長寿命で人類歴史の節目に干渉してきたボスキャラ」はよく見るパターンの一つではあるが、1978年に商業アニメでそんな敵を提示出来たというのは物凄い。少なくとも、自分は本作より以前の商業アニメにそんなキャラの存在は覚えが無い。
 しかもそんな敵が、延命の限界を避ける為にあらゆる技術に頼り、それでも無理と悟ったときに最後に求めたのが不二子の愛情という寂しさ。名画芸術品などを燃やし尽くす炎に照らされた、神であった男の哀れさにはなんとも言えない感慨が湧く。
 今から振り返ってもこれ以上のスケールの作品は無く、そしてルパンの範疇を超えた様々な元ネタの起源の一つとして、本作の先見性は評価されるべきと思う。
にゅまさん
にゅまさん
ストーリー
4.5
作画
4.5
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
4.5
声優
4.5
4.0
満足度 4.5
いいね(0) 2017-09-10 20:56:15

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