少女と銃というのはわりとありがちな題材ではあるものの、一線を画しているのが「ガンスリンガー・ガール」です。
舞台はイタリアで、テロリスト等の反政府組織への対抗策として、肉体に障害のある少女を集め、体だけサイボーグ化し、さらに「条件付け」と呼ばれる洗脳を施して、殺し屋として育てている「社会福祉公社」が本作の中心となる場所です。
少女+武器という組み合わせを用いたエンターテインメント作品へのアンチテーゼのようにも取れるテーマです。
敵は犯罪組織、されどこちらも少女を洗脳して駒として使っている。
一方で少女たちはもともとは満足に動ける体ではなく、改造してもらったことで体の自由を手にしている。だけど洗脳され、銃を持って戦うことに疑問を抱かないし、条件付けによって寿命が縮んだり脳に障害が出たりといった負の側面もある。
モラルを問うこのテーマは、放送から10年以上経った今だからこそ再評価され、ガンスリンガーガールは多くの人が見るべき作品だと断言します。
一方で、アニメのクオリティも2003年としては高い水準です。
ガンアクションの描写は特に優れているように思えます。
銃の表現も当時でこの品質は素晴らしいの一言。
また、体が改造され、訓練されているからこそ銃を使いこなせるという部分も説得力があります。
個人的に、キャラクターデザインと陰影がとても気に入りました。
近年ではあまり見られなくなった表現だと思います。
声優陣も皆素晴らしい演技をされていて味があります。
カタルシスを得られるような作品ではありませんが、興味を唆るテーマとアクション、そして人間ドラマが見られました。
このアニメ1期の作品のテイストや漫画からアニメに落としこむ際のディレクション、この辺りが素晴らしいなと思ったのですが・・・
なぜ2期で制作スタジオが変わった・・・・
なぜ2期でキャラクターデザインを変えた?
なぜ2期で声優陣を変えた?
そういう意味で、アニメは必ずしも原作のキャラクターデザインを忠実に再現する必要はないのではないかと思わせてくれた稀有な作品でもありました。
[2016-02-24 00:59:09]