ガンダムを超える時代と人材の結節点
観賞手段:テレビ
超時空要塞マクロスというと河森正治、河森正治というとスタジオぬえ、スタジオぬえといえばSFマガジン。それが当時の自分の認識。
SF物が中心であった70年代以降のアニメ作品や玩具などで、メカニックを中心とした総合デザインや設定を請け負っていたのがスタジオぬえである。初期の中心メンバーは、松崎健一、高千穂遥、宮武一貴、加藤直之の4名。
松崎健一は宇宙戦艦ヤマトの初期アートや敵メカニックデザインを手がけ、高千穂遥はクラッシャージョウやダーティペアで現代SF小説の先駆けとなった。宮武一貴は河森正治の師匠筋のひとつに当たり、学生時代のアルバイトで書いた画がマジンガーZのEDで流れる透視図であったことは有名だ。また、加藤直之は押しも押されぬ日本のSFアートの第一人者である。
超時空要塞マクロスは、そんなスタジオぬえが、原作から練り上げ売り込みを行った一大プロジェクトである。その中心にいたのが、可変型戦闘機バルキリーをデザインした河森正治(宮武一貴と共同でデザインした)。彼がバルキリーの変形可能なモックアップで先に作り上げていなければ、本作は日の目を見なかったであろう。 河森正治は、スタジオぬえでいえば第2世代に当たる人材で、学生時代より美樹本晴彦や細野不二彦らと共に活動を行っていた。 大学卒業後、河森はスタジオぬえへ、美樹本晴彦は石黒昇のアートランドへ就職する。アートランドには板野一郎や平野俊貴など気鋭のアニメーターが在籍しており、当時として、設定とメカニックのスタジオぬえ、キャラクターデザインと作画技術/エフェクトのアートランドと鬼に金棒状態の布陣であったといえる。
マクロス以前、スタジオぬえが一般に見える形で登場する事は、SFマガジン以外ではあまりなかった。本作でスタジオぬえは、アニメファンにとり大きな存在となり、アニメにとっての“設定”や“デザイン”の重要さが認知されることとなった。この流れは、エヴァンゲリオンのガイナックスにも大きな影響を与えている(蛇足だが、同人集団であったDAICON FILMは、TV版マクロスの下請仕事をしたことで、人材がまとまりプロ集団ガイナックスへとつながった)。
日本のSFアニメ界を語る上で、超時空要塞マクロスは、機動戦士ガンダムを超える人材の結節点であるといえよう。
以上、多分に私的に改変された記憶も混ざっていると思うので、実際の事象との食い違いがある場合には、ご寛容のほどお願いします。
- ストーリー
- 4.5
- 作画
- 3.0
- キャラクター
- 4.5
- 音楽
- 5.0
- オリジナリティ
- 5.0
- 演出
- 4.5
- 声優
- 3.0
- 歌
- 5.0
満足度
4.0
いいね(0)
2013-10-20 20:27:02