せれにゃさんの評価レビュー

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「作らないで欲しかった最終章」

観賞手段:テレビ、BD、動画サイト
ネタバレ
結論から言うと、シンフォギア4期と5期の最終章は作るべきじゃなかった。
3期でコンテンツを畳んでおけば、ここまで劣化することはなかった。

良かった点は、

・そのシーンだけ切り取れば良い話に見える
・EDが名曲
・日高のり子さんの演技が素晴らしかった

これくらいだろうか?
褒めるところが非常に少ない。

悪いところは、

・話の展開のためにキャラクターを操り人形劇しか見えない
・見せたいシーンを雑にくっつけているためにあいだの展開がご都合主義に見える
・よく練られていない後付け設定や設定矛盾がある
・過去作オマージュのサービスシーンのために本編の内容が薄くなっている
・意味深に先伸ばしした伏線を放置

特に敵勢力であるノーブルレッドは酷かった。
人間に戻りたいという願望や過去に人体実験を受けた被害者という同情要素は結構だが、10万人の一般人をヘラヘラしながら虐殺したり、自らも失敗作の烙印を押されたにも関わらずオートスコアラーを見下したり、誇り高いという設定が完全に死んでいた。3人の中で唯一エルザだけはあまり不快に見えなかったが、単にキャラ付けが薄味なだけでやっていることはあまり変わらない。

この3人がすぐに退場すればまだよかったが無駄に出番が多く、しかもキャラとして意味のあるシーンが少ない。目的に対する計画性もほとんど感じられず、自分達の運命さえ左右するような要素を第三者に頼りきったり、完全に運頼みにしていたり、とても必死に生きようとしているとは思えない行動が多かった。頭が極端に悪いのである。ただ物語を動かすためだけに動いていたようにしか感じられなかった。

3人の掘り下げが弱いのも問題だが、裏設定を全て網羅してもなおエピソードが弱く、こんなやつらのワガママのために虐殺が起こったと思うと怒りすら覚える。なぜ弱いかと言えばノーブルレッドの境遇がマリアらと近い上、幼稚であっても善のために動いた彼女らと比べ、ノーブルレッドはあくまで個人的な理由で戦っているからだ。何よりヴァネッサは事故さえ起きなければエルザやミラアルクを虐げていた側の研究者なのだ。ノーブルレッドの結束は視聴者が想像で補完するしかないのだが、悪行三昧の言動を見て同情が不快を上回るには強力な脳内補完が必要になる。
本来であれば本編がやるべき問題を視聴者に丸投げしているのだ。
マリアらがある程度許されたのはマリアが自分の罪を背負い、その上で世界のために戦うという強い意志を示しているからであり、それ以上の罪を犯しておいてヘラヘラしている以上ノーブルレッドに光など見えないのだ。

私が思うにXVは様々なスタッフが好き勝手に自分のシンフォギアを盛り込み、それを吟味せずノーブルレッドという接着剤でくっつけただけの作品だと思う。過去作のオマージュが大量に出てきたりしたのもそのせいだ。ファンサービスのつもりかもしれないが、ファンにとっての1番のファンサービスは最終章を綺麗に終わらせることだと理解していないのならもう筆を折って欲しい。特に原作者は過去に自身のゲームで全く同じことをやっている。何も成長していない。

アマルガムの発動、キャロル復活、シェムハの解放。これらは全てノーブルレッドが関わった結果起きた事象だ。そのどれもが、事象を起こすために都合よく動いたとしか思えない。特にシェムハ復活の流れは下の下だと思う。
神の力を制御しなければならない理由をヴァネッサに理解できないはずがない。制御を弱めたらどうなるかもそうだ。その暴挙を、訃堂に裏切られた腹いせで行ったのが笑える。しかも案の定シェムハに攻撃され驚きながら死ぬ。バカなんじゃないか?
展開のためにキャラのIQを突然下げるのは脚本能力が無いと主張するようなものだ。

まだまだあるが敵との因縁が薄いのも話がつまらない原因だ。これは5期に限ったことではなく、3期頃からだんだんと広がっていった病気だ。
3期のオートスコアラーや4期のサンジェルマン達は、直接的な因縁こそ薄いものの装者達の超えるべき壁という役目があったから破綻なく盛り上がる戦闘になっていた。
しかしノーブルレッドは弱い。汚ない手を使っても弱いのだ。
覚醒前のノーブルレッドはほとんど弱いものイジメしかしていない。その上で装者との因縁が薄いのだ。唯一翼とミラアルクの因縁は濃いと言えば濃かったが、それをうまく活かすことすらしなかった。あれも翼の精神を不安定にさせるためだけの舞台装置だったのだ。

これはあくまで例だが、例えば学校で響の監視していたエルザを、切歌と調が転校生と勘違いする。初めて同世代の子に親切にされたエルザは、「楽しい」という感情を思い出す。そのまま1期9話のデート回オマージュで遊ぶ3人。3人で変顔をするプリクラを撮り、エルザは初めてお腹を抱えて笑うのだった。しかしそこでヴァネッサからの通信。自分の立場を今一度思い出したエルザはふたりを不意討ちして逃走。切歌と調は落胆するが、未来の「ふたりはその子のことをどう思ってるの?」という問いかけで、「あのときのエルザの笑顔は嘘じゃなかった」と確信し、彼女を不幸なレールから救うために戦う。

一方でエルザは、ヴァネッサとミラアルクが苦しみながら戦っているのに、自分だけ「楽しい」を感じてしまったことに罪悪感を覚え、「自分が幸せになっていいのは3人一緒に人間に戻ってからじゃないとダメであります!」と、より意固地になって装者に襲い掛かるようになる。本当にこれでいいのか?そう自問自答しながらもノーブルレッドの絆を選ぶエルザ。そんな彼女の献身は、完全な怪物になるという最悪の結末をむかえることとなった。絶望し自暴自棄になったエルザだが、それでも大切に保管している変顔プリクラと、ふたりに買ってもらった髪留めだけは最後まで捨てなかった。

互いの感情をぶつけ合う決戦。自分を殺す気のない攻撃に激怒するエルザであったが、ふたりの目的が自分の怒りを受け止めることだと気付き動揺する。ふたりはエルザと戦うためではなく、友達になりに来たのだ。
アマルガムの力をも攻撃ではなく防御に使ったふたりにエルザは完敗した。

こういうストーリーが1つあるだけでエルザ戦の重みが変わるのだ。
因縁は一方的ではなく双方に感じさせるべき。
因縁すらない戦闘はもはや虚無なのだ。

尺がないと言う人間もいるが、本来長編アニメの負荷を軽減するためにする変身バンクを13話しかない1クール作品で1話に数回流す作品だ。尺が足りない訳がない。

まだまだ語りたいことは山ほどあるが、これ以上踏み込むと文字数が足りなくなるためこれで終わりとする。

最後に、評価点はこれ以上低く出来ないために1点にしているが本当は0点だということを伝えておきたい。

以上
せれにゃ
せれにゃ
ストーリー
1.0
作画
3.0
キャラクター
1.0
音楽
2.5
オリジナリティ
3.0
演出
1.0
声優
3.5
2.5
満足度 1.0
いいね(1) 2020-01-15 21:10:10

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