soiboshiさんの評価レビュー

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ひときわ輝く作品。

観賞手段:ビデオ/DVD、BD、劇場
原作は好きでしたが、アニメ化を知ったときには不安しかなく、
やがて公式サイトで初めて主人公のフォスを見たときは、
萌えキャラになってる……と正直ガッカリすらしてました。

が、始まってみると、すごかった。

CGだからこそできる、劇場作品なみの映像美やアクションの迫力。
どことなくオリエンタル味のある、映像にマッチした音楽。
そして宝石たちの、可愛らしさ、優美さ、背負うものの切なさ!
動くかれらに、ますます宝石の国の世界にハマっていきました。

キャストのマッチングが素晴らしく、
先生以外のキャストが全て女性であるという、ある意味
宝塚状態でしたが、これで正解であったと納得の人選でした。

宝石たちには性別がないのですが、宝石の個性として、
少年のような宝石、少女のような宝石がいるのを、
女性のキャストさんがたがうまく演じられていました。
特筆すべきはやはり、フォス役の黒沢ともよさんでしょう。

この作品は半プレスコで作られていますが、
黒沢さんの演技は自由で、そこから映像を膨らませた部分も
大きかったようです。まさに主人公のフォスフォフィライトが
作品を引っ張っていったのだとも言えます。

どんな仕事にも向かず、鉱物として割れやすため戦闘もできない。
落ちこぼれで、口から生まれてきたようなフォスは、300歳目前に、
ようやく仕事らしい仕事を与えられる。

そんな折、自分より脆く割れやすいうえ、体から出る水銀のために
周囲から孤立し、自らも孤独を選んでいたシンシャの本当の願いを
耳にすることになり、そこから徐々に変化していく。

シンシャとの約束を軸に、自分たち宝石を狩りに出現する『月人』
という謎の敵との戦いのなかで変わっていくフォスを、
黒沢さんはつぶさに表現し、ユーモアあり、シリアスありの、
生きた物語にしてくださっていました。

アニメ作品としては、原作ではまだ先のある状態の最終回は、
原作に添いつつも、物語の出発点であったシンシャとのエピソード
に原点回帰し(1話のシーンの再現など、見せかたがうまい)、
作品全体のキーにもなる、フォスにとって最重要になる新たな仕事
を表面化させることで締めくくっています。

原作の5巻にあたる内容が、ある新しい登場キャラを省いて要約
されている状態ですが、そのキャラを新たに加えても、問題なく
来期もスタートできることでしょう。

原作とアニメ、両方のファンとして、物語が幕を降ろすまでの
完全なアニメ化を切に願わずにはおれません。

宝石の国は、そういうクオリティの作品です。
宝石の擬人化だけにとどまらない、魅力的な作品です。
soiboshi
soiboshi
ストーリー
5.0
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2017-12-25 23:48:56

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