soiboshiさんの評価レビュー

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話数が足りなかったのでは。

観賞手段:CS/BS/ケーブル、試写会
ベルセルクは、本格ダークファンタジイとして、
長くそして多くのファンの心をつかみ続けている作品。

原作は原作者の生きているうちには完結しないのではと
まことしやかに囁かれ、Twitterには打ち切りとデマが流れるほど。
青年誌ヤングアニマルにて隔週の不定期連載で、
現在38巻目(2016年秋現在)。佳境には入ったが、
ストーリイとしてはまだまだ途中である。

かつての友であり最大の仇である男を追い求める黒い剣士、
主人公・ガッツの熾烈を極める旅は続く。
現実世界と異形の魔物たちが蠢く世界の狭間を生きるかれは、
人ながら人ならざるような力を、その身を削りながらも
尋常ならざる大剣にたぎらせ、進んで行く。

20年ほどまえに黄金時代篇が一度深夜アニメ化し、
数年前には同篇が三部作として劇場版として作られている。
黄金時代篇とは、主人公・ガッツの黄金時代とその終焉を
描いている長編エピソードであり、生半可なファンタジイには
真似できないような内容となっている。

今回のテレビシリーズは、黄金時代篇後の物語で、
全話映像化プロジェクトの一環でもある。

制作者側はこれまでの映像化作品を非常に大切にしており、
キャストは劇場版を踏襲、音楽も劇場版を担当した鷺巣詩郎氏、
劇場版の主題曲や深夜アニメ版を担当した平沢進氏を起用。
作風は劇場版と同様CGを全面に取り入れたものとしている。

さて、今回のアニメ化についてだが、
原作者・三浦建太郎氏とスタッフが、かの出崎統氏を
リスペクトしているというだけあり、止め絵を効果的に使用
したり、全体的には影に斜線を入れるなど特徴ある技法を
取り入れている。
なお三浦氏は3話の脚本を自ら手がけている。

CGは甲冑や武器の質感がやはり得意分野で素晴らしい。
人間の動きには少々ぎこちなさが残るので問題ではあるが、
回を重ねるごとに改善されていくと思われる(思いたい)。
視聴する側も慣れる部分もある。
他作品だが、シドニアの騎士の例もある。

ストーリイは、いささか走りすぎている感があった。
近年のアニメに多い12話完結という区切りに無理があった
のではないだろうか。
ベルセルクの根底にあるのは複雑で濃厚なドラマなので、
長い時間をかけてしつこいぐらいの描写をしてほしかった。

あっという間に終わった印象が強く、非常にもったいない。
ベルセルク初見の人にはわかりづらかったのではないか。
黄金時代篇以外の作品の初めての映像化だったので、
期待が大きかっただけに、少々歯がゆさの残るできとなった。

ちなみにOP曲の映像では、黄金時代篇を垣間見られる。
とても上手くまとめられており感嘆する。

先述にもあるように、全話映像化プロジェクトなのである。
にもかかわらず、黄金時代篇の次に存在する
ロストチルドレン篇が飛ばされている。劇場版にでもなれば
いいが、これはかなりの痛手ではないだろうか。

原作と同様に、長い目で見守りたい。
soiboshi
soiboshi
ストーリー
4.0
作画
4.0
キャラクター
5.0
音楽
4.5
オリジナリティ
5.0
演出
4.0
声優
5.0
5.0
満足度 4.0
いいね(0) 2016-09-28 23:07:08

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