soiboshiさんの評価レビュー

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RPGのなかの日常

観賞手段:ビデオ/DVD、劇場、動画サイト
物語の出発点としては、SAOやログホライズンに似たもので、
気づいたら異世界に紛れ込んでいた的なパターン。

しかし、SAOやログホラと違うのは、主人公が一般人なこと。
パーティーのみんなが一般人の集まりだということです。
みんなレベルが低くて、弱い敵を倒すのにも命からがら。

しかも経験がないから、異形のものといえど、
命を奪うことに関しての躊躇もあり……というところなどは、
無人惑星サヴァイヴにおいて、食べるために初めて生きものを
罠にかけるシーンが思い出されます。

命の駆け引きをリアルに行わなければならない環境で、
寄せ集めのパーティーである主人公ハルヒロたちは、
大事件をきっかけに、繋がりかけていた絆に綻びをきたし、
致命的なピンチを迎えます。

そんなバラバラになりかけたパーティーに迎えられた神官の
メリイは、深刻な問題を抱えており、打ち解けようとしない。
ハルヒロたちは困惑しながらも、なんとか生き抜こうとする……

淡い水彩画のような、見た目はやさしいが厳しい世界。
そこで生きるパーティーのメンバーひとりひとりの姿を
じっくり描き、ドラマティックな歌や音楽も多用して、
ときにリリカルなまでに美しく残酷に雰囲気を織りあげていく。
ほかにはなかなかない作品に仕上がっています。

決して派手ではない。ハルヒロたちは初心者パーティーで、
超人的なアクションやエフェクトバリバリの大魔法が
展開されるわけでもないけれど、そこがいいところなのです。
1日1日を生きていくパーティーの姿が見えるようです。

ストーリイの展開も、目新しいわけではない。
それでも、ハルヒロたちの姿が上手く描けているから、
観ていて引き込まれる魅力があり、愛着も湧きます。

死と隣り合わせの戦いや葛藤を重ねながら、
まえを向いて歩いていくしかない。
グリムガルは灰と幻想の世界。
けれど、異世界にいるハルヒロたちと視聴者は、
とても近いところにいるのでは、という気さえしてきます。

原作小説は2016年現在続いていますし、
今作のエピソードは、まだ序盤でなのではないでしょうか。
同様の素晴らしいクオリティでの続編が待たれます。
1話から観られてよかったと喜びを感じられる良作です。

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朗読劇×音楽のスペシャルイベント、
灰と激奏のグリムガルに行ってきました。
新しい情報はありませんでしたが、
作品の魅力がはち切れんばかりに詰まっていました。
このもようは映像化するので、行けなかった人や、
テレビシリーズを熱演で網羅したい人はいかがでしょうか。
soiboshi
soiboshi
ストーリー
5.0
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
4.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2016-06-21 12:29:29

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