本作の原作は小説ですが、昨年発売されたゲーム版の前編をアニメの放送前にプレイしました。
シュヴァルツェスマーケンのアニメ版はわずか12話の中に色々なものを詰め込みすぎているという感じが否めません。
アニメ全12話の合計の視聴時間をあわせても、ゲームの前編「紅血の紋章」をクリアするには至らないでしょう。
大部分のシーンがカットされています。
冷戦とBETA大戦という組み合わせはとてもユニークで、味方も信用できないという状況はとても緊張感があります。
秘密警察のシュタージは実際に東ドイツに存在し、亡命する人間を捕まえたり、西側のことを広めようとする人を処刑したり色々やっていました。
政治的対立など、ストーリーの根底にあるものはとても面白いです。
しかし、シュヴァルツェスマーケンのストーリーをしっかり受け手側に伝えるという点においては、アニメよりゲームのほうが上手く出来ています。
アニメの方が映像的にはリッチなはずなのに、アージュのゲームの演出の方が戦闘に迫力がある気がしてなりません。
BETAとの戦闘はどう考えてもゲームの方が迫力があります。
そして当然ですが、与えられる情報量が違い過ぎます。
また、12話という限られた話数や全体的なクオリティを見ると、このアニメの制作費はだいぶ制限されてしまっており、壮大なストーリーをそれに見合った品質で描ききれていません。
そして何よりも大前提。
この作品は、ゲームの「マブラヴオルタネイティヴ」をクリアした人向けのスピンオフとして書かれた小説だということです。
シュヴァルツェスマーケンの小説を買っていた人は、ほぼ間違いなくマブラヴオルタネイティヴをプレイしていることでしょうから、戦術機、強化装備、BETA、そしてあの世界の細かな情報は既に知っています。
ゆえに、本作の中であえて説明をしていないのだと思います。
個人的には、シュヴァルツェスマーケンを含むマブラヴシリーズはミリタリー要素がもっとマニアックに描写されている印象があるのですが、このアニメだとちょっとロボットアニメ寄りになっているのが残念です。
ポテンシャルはそこそこ高い作品ですが、アニメでそれを最善の形で伝えることはできていないと思います。
あとは・・・avex色が強すぎますね。
ちなみに、トータル・イクリプスはゲームもアニメも駄目駄目なのでスルーしていいです。