soiboshiさんの評価レビュー

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駆け抜けた良作。

観賞手段:BD
ネタバレ
終わってしまって寂しくなるなぁとなる良作。

制作がおなじWIT STUDIOさんなので、
和製『進撃の巨人』+『屍者の帝国』テイストで来たな、
と思っていたのですが、面白いものは面白いですね。
テレビ放送前に劇場で限定公開もするほどの
力の入れようでしたし、荒木監督が魂の全てを
視聴者にぶつけてきた作品なのではないでしょうか。

日本ぽい国に突如カバネが現れて、人々を恐怖と混乱の
どん底に陥れる。しかも噛みつかれた者もカバネ化してしまう。
小野不由美の『屍鬼』が思い出されます。
カバネと人間のあいだの存在であるカバネリは、
食事として人間の血を必要とする。人狼のようです。

進撃も屍者の帝国も大好きなので、
期待をしながら観ましたところ、
OPの素晴らしさ、カッコよさにシビレまして、
簡単に作品にのめりこんでしまいました。
OPは重要ですよ。物語の始まりですからね。

主役の生駒は、過去に妹をカバネに殺されてしまい、
以降「カバネをぶっ殺したいです!」的精神で友人の逞生と
ともに武器の研究や自らがカバネになる方法を研究し続けて
いました。そしてカバネを倒せる強力な武器を作るとともに、
カバネでも人間でもないカバネリになることに成功します。

しかしなんというか、どことなく頼りなく、
繊細ですぐ落ち込んで泣いちゃうし、
元気な年下の娘っ子である先輩カバネリの無名に
ボコボコにされたりなど大丈夫なのという状態。

まぁでも、そこはさすがに主人公なので、
(もともと思い込みの強いところもあるし)
精神的・肉体的にもどんどん頼り甲斐が出てきます。

カバネリとして初めて人の血を摂取するシーン、
走る装甲列車のうえで、惣領の娘・あやめ様の手から
血を口にするシーンは、なにかの儀式めいて
美しさを感じました。

その後、カバネ化を抑えるため、食事のために、
竹筒の水筒で血を持たせられるのですが、それを
おべんとう、と呼んでいたのが可愛くて好きですね。

登場人物は多いですが、ひとりひとりが丁寧に
人間味あふれるかたちでよく描かれており、
人びとの息遣いを感じました。
スチームパンク、蒸気や歯車の匂いと生活する人間の、
弱いながらもたくましい生活感がよかったです。

最終話を観るにあたり、判りにくかったところも
いくつかありました。

無名ちゃんが助けられるのは予想の範疇だったのですが、
生駒がいつどのような形でカバネリを人間に戻せる薬を
摂取したのか。

ひとつは無名ちゃんを助けるためとして生駒が持っていた。
だが生駒のぶんは?
美馬様がひとつ持っていたので、サシの勝負の際に、
美馬様が生駒になにかを感じて託したのでしょうか。

あと、美馬様の破壊衝動が判りづらかったです。
判らなくもないがきみはどうしたいんだ、という感じが。
そのへんがもったいない気がしました。

作品全体としては、今期いちばんよかったです。
ものすごいパワーと魅力がありました。
soiboshi
soiboshi
ストーリー
4.5
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
4.5
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2016-07-02 00:07:29

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