2014/12/6開催、川尻善昭監督ミッドナイトフェスにて初公開された、川尻監督による獣兵衛の新作です。それぞれが5分程度の短編で、三番勝負と題して三人の刺客との戦いを描いています。
いわばアクションシーンだけのダイジェストなので、ストーリーや敵の素性等に関してはほとんど情報がありません。それでも、ここまで魅せられるのが川尻監督であり、獣兵衛なのだと実感する濃密さでした。
雪原、川沿いから空中、そして森から海岸と、全く異なるロケーションで戦うのも見どころ。オリジナルにあった夢十郎との竹林での戦いを彷彿とさせるような切り取り方です。どんな場所でも、どんなに得体の知れない怪人が相手でも、獣兵衛はまあ相変わらず強い! そして格好良い!
川尻監督は、もともと十番勝負だったところを飽きるから三番に減らしたと仰っていましたが、正直三十番でも、五十番でも、百番でも観ていたいくらいです。
また、獣兵衛の台詞は一切ないのですが、なんと山寺さんが息芝居をされています。箕輪豊さんいわく「天才の無駄遣い」。でも、ファンにとってこんなに嬉しいことってありません。
セルアニメ時代にあそこまでの完成度の作品を手がけられた川尻監督が、デジタル時代に作る獣兵衛。短編でここまでの多彩な演出を見せられてしまっては、新作長編を期待せずにはいられません。マッドハウスさん、是非。