soiboshiさんの評価レビュー

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心奪われる不思議な作品。

観賞手段:テレビ、動画サイト
ネタバレ
ストーリイは、高校生が吹奏楽部を盛りあげて頑張る、
という至極シンプルなものなのですけど、そこがいい。

新入生である主人公の久美子が入部した吹奏楽部は、
久美子が入学するまえに部内で一悶着があり、
やる気のある部員がごっそり辞めてしまっていた。
部内は当然ダラダラのバラバラ。
そこへ、新しい担当として、滝先生が赴任してくる。
滝は問う。「全国大会を目指しますか。目指しませんか」
ここからかれらの歯車が動き出すのです。

ところどころに視聴者の青春時代をうまく突いてくるような
エピソードを絡めてキャラクタアにスポットを当てながら、
ストーリイは進んでいきます。
頭脳派とも言えそうな滝の指導のもと、吹奏楽部は徐々に
生まれ変わっていく。皆がやる気を出して団結していく……

この流れが、視聴していて実に瑞々しく清々しい。
自分にも似たようなことがあったとか、こういう子いるいる
とか、だよねー、みたいな親しみもどんどん湧いてくる。
高坂さんはちょっと稀だけど、それでもやっぱり、
こういう子いそう、判るなー、可愛い、頑張れ、となる。

主人公の久美子は、役どころも声の演技も素晴らしい。
流されやすく、はっきりとした自分の意志を持たないような
彼女が、回を追うごとに変わっていく。
ユーフォニアムを姉の影響で始め、続けてきただけに見える
彼女が、自分がどれだけユーフォニアムが好きかと自覚し、
もっとうまくなりたいと悔し涙を流すまでになる。

作品の放送まえ、久美子のビジュアルを見て、
アニメにしては肉感的だなぁとか、面白い髪型だなとかしか
正直印象に残らなかったのでしたが、視聴してみるとまぁ、
なんとも個性的じゃないですか。

部員が大勢いるので登場人物も多めでしたが、
クラスメイトの加藤ちゃんと緑(本名は、さふぁいあ!)を
はじめ、気弱だけど頑張る部長、思考の読めない副部長、
幼馴染の塚本くんなど、書き始めるときりがないほど、
等身大の高校生であるメンバーばかりで、
よく描ききっていたのではないでしょうか。
中世古先輩とリボンちゃんのエピソードは秀逸ですね。
そういうかれらが全国大会を目指して頑張るのです。

ストーリイのたどり着くところは、ふたつしかありません。
最終回の、地区予選であるコンクールへの出場で決着します。
栄冠輝くか否か。それは視聴した人の楽しみにしておきますが、
どちらにせよ、この作品はよい作品だったと言えましょう。
そんな魅力が、久美子たちの姿にはありました。

1期だけではもったいないですね。
というか、久美子たちの青春は永遠に続くようにも思えます。
観てよかった作品。楽器に興味がない人にもオススメしたい。
不思議なノスタルジーと、輝きを感じられることでしょう。
soiboshi
soiboshi
ストーリー
4.0
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
4.5
演出
5.0
声優
5.0
4.5
満足度 5.0
いいね(1) 2015-07-04 23:51:22

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