にゅまさんさんの評価レビュー

集団劇でのキャラの立て方や絡ませ方が旨く、近年安定して高品質の作品を生み出してきた水島監督ならではのアニメ業界モノ。事前の話題に上ら無かったとは言え、始まってみれば期待通りの面白さである。
　実体験を元にしたエピソードも織り交ぜつつ、手描きとCGのせめぎ合い等今だからこその業界テーマも触れながら、きちんとエンターテイメントとして仕上げてくるのは見事だ。
　久々の２クール作品と言うことで「えくそだす！」を終えた武蔵野アニメーションが、今度は体勢も新たに制作デスク・宮森として原作モノに取り組む形で後半を迎える。主人公５名がそれぞれ前半とは立場を変えて取り組む事で生まれるエピソードは実に楽しみだ。

(以上、13話放映時点。以後、完結後。)

　前半が企画立ち上げ後のアニメの作り工程を舞台にしていたのに対し、後半は企画成立直後からの各話制作に入る以前の段取りにも注目し、更にムサニの新メンバーによるドラマとアニメ制作の先達達の姿により、主軸になるヒロイン宮森の夢の目指す先を見付けるまでの物語を、実に丁寧に描ききった。
　また、宮森以外のヒロイン４名についてもそれぞれのポジションを得るドラマがあり、木下監督の過去作失敗の痛手から再起する物語をはじめとした、各スタッフや関係者それぞれのドラマがあり、各々の「アニメを作ることの意味」が描かれて、それらが最終的に宮森の出す答えに結び付いていく。
　沢山のスタッフによって紡がれたアニメは、それを受けた視聴者の想いも巻き込んで完成する。アニメファンとして胸を張れる大きな物語が、また１つアニメ史に刻まれたと思う。